動く(読み)ウゴク

デジタル大辞泉 「動く」の意味・読み・例文・類語

うご・く【動く】

[動カ五(四)]
ものの位置が変わる。移動する。「雲が―・く」「―・かないでここで待ちなさい」
地位などが変わる。異動する。「職場を―・く」「別のポストに―・く」
もとが固定しているものの一部が揺れたり振れたりする。「風で木の葉が―・く」「歯が―・く」
からだが活動する。ある働きや反応を示す。「腕がしびれて―・かない」
物事の内容・状態が変わる。変化・変動する。「相場が―・く」「世界は激しく―・いている」
他からの作用・影響を受けて、心に変化が生じる。心が動揺する。「決心が―・く」「食指が―・く」
目的をもって、ある行為を行う。活動する。行動する。「黒幕が―・く」「警察が―・き出す」「人の指図で―・くような男ではない」
機械などが作動する。機能を発揮する。「時計が―・かない」「工事が終わって電車が―・きはじめた」
(「うごかぬ」「うごかない」などの形で)変わることがない。確実である。「―・かぬ証拠」「彼の入閣はもはや―・かない」
[可能]うごける
[類語](1移る移動する移行する移す変わる遣る移転する引っ越す転ずる転出する転任する転属する移籍するくら替えする/(3振れる揺れる揺らぐ振動する上下する微動するぐらつく動かす揺らす揺する揺さぶる揺すぶる揺り動かす揺り返す揺る揺るがす揺れ震動縦揺れ横揺れ/(4活動/(5変わる化する変ずる移る変える移ろう転ずる化ける改まる変化する転化する変質する一変する一転する様変わりする豹変ひょうへんする急変する激変する変転する変動する変移する移行する推移する変遷する転変する流転する/(7運動行動躍動活躍奔走動き回る働く

いご・く【動く】

[動カ五(四)]うごく」の音変化。
「いくら言訳を云っても、坐り込んで―・かないんだもの」〈漱石道草

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「動く」の意味・読み・例文・類語

うご・く【動】

  1. 〘 自動詞 カ行五(四) 〙 物事の位置、状態が変わる。いごく。おごく。
  2. 位置、地位などが別の所に変わる。また、別の状態に移る。
    1. (イ) 静止していたものが位置を変える。移動する。
      1. [初出の実例]「恒(つね)に石(いは)の如くに、常(とき)はに堅(かき)はに動(うごか)ず坐さむ」(出典古事記(712)上)
    2. (ロ) 別の状態に変化する。変動する。また、人の地位、仕事などが変わる。異動する。「人事異動で職場が動く」
      1. [初出の実例]「僕の目的は更に動かぬ」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉六)
    3. (ハ) 一つに決まらないでいろいろに考えられる。
      1. [初出の実例]「あの衆の呑(のん)だちゃわんが、さけくさいかかいで見さしゃれ、とうごかぬ所へ気をつけられ」(出典:滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)三)
  3. 物が前後左右上下などに揺れる。ゆらぐ。振動する。震動する。
    1. [初出の実例]「秋田刈る苫手(とまで)(うごく)なり白露し置く穂田なしと告げに来ぬらし」(出典:万葉集(8C後)一〇・二一七六)
    2. 「すだれうごくけしきなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蓬生)
  4. 他の働きかけによって心がぐらつく。動揺する。また、物事に深く感じてそちらへ心がひかれる。感動する。
    1. [初出の実例]「くさのはにかかれる露の身なればや心うごくに涙落つらむ」(出典:大和物語(947‐957頃)一二三)
  5. 目的に添って、ある働きをする。
    1. (イ) 組織、機械、乗り物、からだなどがその機能を発揮する。活動する。「警察が動く」
      1. [初出の実例]「物は少しおぼゆれど、腰なんうごかれぬ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. (ロ) 意図をもって、あちこちに働きかける。運動する。「就職のために動く」
      1. [初出の実例]「我々は正義の為に動く議員ぢゃから」(出典:社会百面相(1902)〈内田魯庵〉増税)

おご・く【動】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 ( 「うごく(動)」の変化した語 )
  2. 位置を変える。うごく。
    1. [初出の実例]「揺(オコク)‐颺(あかり)として安からぬを動とす」(出典:法華義疏長保四年点(1002)二)
  3. 心などが動揺する。また、あせる。
    1. [初出の実例]「どうぞ人の見ぬ内にいにたいものと、おごく心うろつく間」(出典:浮世草子・枕童児抜差万遍玉茎(1751‐64頃)六)

いご・く【動】

  1. 〘 自動詞 カ行五(四) 〙 ( 「うごく(動)」の変化した語 ) 位置や状態が変わる。また、前後左右などに揺れる。
    1. [初出の実例]「いやいごかぬ」(出典:虎明本狂言・昆布売(室町末‐近世初))

いの・く【動】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 ( 「いごく(動)」の変化した語 ) うごく。
    1. [初出の実例]「あのやろふが格子へくっついていのきゑゑねへはな」(出典:洒落本・太平楽記文(1784))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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