風雲(読み)ふううん

精選版 日本国語大辞典 「風雲」の意味・読み・例文・類語

ふう‐うん【風雲】

〘名〙
① 風と雲。風や雲。自然の風物。自然。
※続日本紀‐養老五年(721)二月甲午「亦猶風雲気色、有于常」 〔史記‐老子伝〕
② 龍が風と雲に乗って天に昇るように、英雄豪傑が世の中に頭角を現わす時機
※六如庵詩鈔‐二編(1797)四・題友人所蔵相撲節会図「当初豈無貔虎士、風雲黯澹誰料理」 〔後漢書‐朱祐等伝論〕
③ 事の起こりそうな天下情勢。大きな社会変動。
※不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉上「維新の風雲(フウウン)際会して身を起し」

かぜ‐くも【風雲】

〘名〙
① 風と雲。風や雲。自由にゆきかうことから、消息を伝える使いにもたとえる。
万葉(8C後)一九・四二一四「あしひきの 山河へだて 風雲(かぜくも)に 言は通へど ただに会はず」
② 風に吹かれて動く雲。風によって流れる雲。
※丹後風土記逸文(釈日本紀所載)(1274‐1301)「風流之士(みやびお)独り蒼海に汎(うか)べり。近しく語らはむ思に勝(た)へず風雲(かぜくも)の就(むた)来つ」

かざ‐ぐも【風雲】

〘名〙
① 風の吹きおこる前ぶれとして現われる雲。かぜぐも。
義経記(室町中か)四「弁慶『是こそかざぐもよ』と申しも果てねば、大風落ち来(きた)る」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「風雲」の意味・読み・例文・類語

ふう‐うん【風雲】

風と雲。風や雲。また、自然。
事の起こりそうな情勢。
「維新の―に際会して身を起し」〈蘆花不如帰
竜が風と雲とを得て天に昇るように、英雄・豪傑が頭角を現す好機
[類語]天候気候天気陽気気象日和風土季候時候寒暖寒暑空模様空合い

かぜ‐くも【風雲】

風と雲。風や雲。
《風に吹かれて流れる雲を見立てて》使いの者。
「あしひきの山河へなり―にことは通へど」〈・四二一四〉
かざぐも1」に同じ。

かざ‐ぐも【風雲】

強風が吹く前兆とされる雲。かぜくも。
「是こそ―よ、と申しも果てねば、大風落ちきたる」〈義経記・四〉
かぜくも1」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「風雲」の読み・字形・画数・意味

【風雲】ふううん

風と雲。また、はげしい情勢。変幻の才。唐・李白〔猛虎行〕詩 楚人(つね)に(い)ふ、張旭の奇なることを 心に風雲をするも、世知る(な)し

字通「風」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

デジタル大辞泉プラス 「風雲」の解説

風雲

海音寺潮五郎の歴史小説。1936年刊行。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android