金剛証寺(読み)コンゴウショウジ

デジタル大辞泉 「金剛証寺」の意味・読み・例文・類語

こんごうしょう‐じ〔コンガウシヨウ‐〕【金剛証寺】

三重県伊勢市朝熊あさま山にある臨済宗南禅寺派別格本山。山号は勝峰山。開創は天長2年(825)、開山は空海。元中9年=明徳3年(1392)東岳文昱ぶんいく中興臨済宗となる。所蔵の朝熊山経ケ峯経塚出土品は国宝

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精選版 日本国語大辞典 「金剛証寺」の意味・読み・例文・類語

こんごうしょう‐じコンガウ‥【金剛証寺】

  1. 三重県伊勢市東部の朝熊(あさま)山にある臨済宗南禅寺派の寺。山号は勝峰山。欽明天皇勅命により、暁台(ぎょうだい)が開山。天長二年(八二五)空海が中興。明徳三年(一三九二)禅宗の東岳文昱(ぶんいく)が来住して禅密兼学の道場となる。所蔵する朝熊山経ケ峰経塚出土品は国宝。朝熊。朝熊岳。

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日本歴史地名大系 「金剛証寺」の解説

金剛証寺
こんごうしようじ

[現在地名]伊勢市朝熊町 岳

朝熊あさまヶ岳山頂近くにあり、山麓の朝熊の集落から約四キロ。奥院へ至る参道には木製の角柱卒塔婆が林立している。勝峰山兜率院と号し、臨済宗南禅寺派。本尊は福威智満虚空蔵大菩薩。朝熊ヶ岳は伊勢神宮鬼門にあたり神宮鎮護の霊場とされてきた。初め真言宗であったが、室町時代に東岳文(仏地禅師)が臨済宗に改めたという。

室町時代の成立と考えられる「朝熊山縁起」や朝熊嶽儀範(当寺蔵)などによれば、天長二年(八二五)空海が大和国鳴川なるかわ(現奈良市)善根ぜんこん寺で求聞持法を修めた時、赤精童子が現れて「伊勢洲朝熊の嵩に座を示す。明星在らば行必ず成就せん」と告げた。そこで空海は朝熊山へ入山し、修行したという。「伊勢名勝志」は「欽明天皇ノ時僧暁台此山ヲ創開シ天皇行幸且伽藍創造アリ、推古天皇十年厩戸皇子臨幸仏舎利ヲ納ム、聖武天皇又行幸アリ堂宇ヲ再建シ方一里ノ地ヲ賜ヒ勅願所ト定メラル、元ト諸宗兼学ニシテ一定ノ宗旨ヲオカズ、大同二年僧空海大神ノ託宣ニヨリ此山ニ上リ中興ス、元中七年僧東岳来住シ将ニ絶エントスルヲ興シ大ニ経営ス、是ニ至テ始テ禅真兼学トナレリ」と述べている。

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改訂新版 世界大百科事典 「金剛証寺」の意味・わかりやすい解説

金剛証寺 (こんごうしょうじ)

三重県伊勢市にある寺。勝峯山兜率院(とそついん)と号する。伊勢市南郊の朝熊(あさま)山上にあって,脚下に伊勢湾,遠く中部の連峰を一望におさめる。もと禅密兼学,いま臨済宗。寺伝では,欽明天皇代に僧暁台が創建して,のちに空海が密教の道場にしたと伝え,そののち室町初期に鎌倉建長寺の東岳和尚が中興し,禅宗の寺となった。近世には鳥羽水軍の九鬼嘉隆など諸大名崇信厚く,また伊勢参宮が盛行するにつれ,当寺は神宮の奥の院といわれて,〈伊勢へ参らば朝熊をかけよ,朝熊かけねば片参宮〉と俗謡が生まれ,多くの参詣者を集めるようになった。寺宝には藤原期の雨宝童子立像(重文),承安3年(1173)銘の陶製経筒,多数の古文書などがある。
朝熊山
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百科事典マイペディア 「金剛証寺」の意味・わかりやすい解説

金剛証寺【こんごうしょうじ】

三重県伊勢市朝熊(あさま)山頂にある臨済宗南禅寺派の寺。本尊虚空蔵菩薩。欽明天皇のころ教待(きょうたい)(暁台)道人が開創,空海が密教道場として中興したと伝える。伊勢神宮鎮護の寺として,宮中,幕府の尊崇をうけ,東岳和尚によって,真言宗から改宗。本堂は1609年再建のもので,桃山時代の様式を伝える。藤原期の雨宝童子立像などとともに重要文化財。
→関連項目朝熊ケ岳

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金剛証寺」の意味・わかりやすい解説

金剛証寺
こんごうしょうじ

三重県伊勢市の朝熊山の山上にある臨済宗南禅寺派の寺。中本山。山号は勝峰山兜率院。欽明天皇の頃の暁台上人の創建と伝えられ,空海が中興の祖といわれる。のち建長寺の東嶽和尚が修復して真言宗から臨済宗とした。本尊は虚空蔵菩薩。伊勢神宮鎮護の寺として,朝廷,幕府の崇敬を受けた。国宝の伊勢国朝熊山経ヶ峯経塚出土品を公開している。

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