室町時代の成立と考えられる「朝熊山縁起」や朝熊嶽儀範(当寺蔵)などによれば、天長二年(八二五)空海が大和国
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三重県伊勢市にある寺。勝峯山兜率院(とそついん)と号する。伊勢市南郊の朝熊(あさま)山上にあって,脚下に伊勢湾,遠く中部の連峰を一望におさめる。もと禅密兼学,いま臨済宗。寺伝では,欽明天皇代に僧暁台が創建して,のちに空海が密教の道場にしたと伝え,そののち室町初期に鎌倉建長寺の東岳和尚が中興し,禅宗の寺となった。近世には鳥羽水軍の九鬼嘉隆など諸大名の崇信厚く,また伊勢参宮が盛行するにつれ,当寺は神宮の奥の院といわれて,〈伊勢へ参らば朝熊をかけよ,朝熊かけねば片参宮〉と俗謡が生まれ,多くの参詣者を集めるようになった。寺宝には藤原期の雨宝童子立像(重文),承安3年(1173)銘の陶製経筒,多数の古文書などがある。
→朝熊山
執筆者:藤井 学
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