(読み)ネヤ

デジタル大辞泉 「閨」の意味・読み・例文・類語

ね‐や【×閨/寝屋】

夜寝るための部屋。特に、夫婦寝室。「―のむつごと
奥深い所にある部屋。深窓
「思ひやり異なることなき―のうちに、いといたく思ひあがり」〈帚木
[類語]寝室寝所しんじょ寝間ねま閨房ベッドルーム

けい【閨】[漢字項目]

[音]ケイ(漢) [訓]ねや
女性の部屋。「閨怨けいえん閨房空閨孤閨
女性。妻。「閨秀閨閥令閨

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精選版 日本国語大辞典 「閨」の意味・読み・例文・類語

ね‐や【閨・寝屋】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 夜寝るために設けられた部屋。寝室。寝間。寝所。よどの。
      1. [初出の実例]「斯の謀叛(みかとかたふけむとすること)を悪みて、盗(ひそか)に其の夫を殺して室(ネヤ)の内に隠埋(う)めて」(出典:日本書紀(720)雄略七年八月(前田本訓))
      2. 「君こずはねやへもいらじこ紫わがもとゆひに霜はをくとも〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋四・六九三)
    2. 奥深い所にある部屋。深窓。婦人の部屋。
      1. [初出の実例]「父の年老い、物むつかしげにふとりすぎ、兄の顔憎げに、思ひやり異なる事なきねやのうちに、いといたく思ひあがり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
  2. [ 2 ] ( 寝屋 ) 能登半島北方海上にある七ツ島の異称。鬼の寝屋島。
    1. [初出の実例]「今昔、能登の国の息(おき)に寝屋と云ふ嶋有なり。〈略〉其の鬼の寝屋に渡てぞ鮑を取て国の司には弁ける」(出典:今昔物語集(1120頃か)三一)

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普及版 字通 「閨」の読み・字形・画数・意味


14画

[字音] ケイ
[字訓] ねや

[説文解字]

[字形] 形声
声符は圭(けい)。〔説文〕十二上に「特立の。上圜(ゑん)下方、圭に似たるり」とあって、アーチ形のくぐり戸のような門戸をいう。もと里中に設ける小門であった。〔爾雅、釈宮〕に「宮中の門、之れをと曰ふ。其の小なる、之れを閨と曰ふ」とあり、後宮に設けることが多い。のち閨房の意となる。〔漢書、張敞伝〕に「閨、夫の私」という語があり、婦人の文才あるものを閨秀という。

[訓義]
1. 独立の小さな門。
2. 宮中の小門。
3. 里中の門。
4. 奥部屋の門、婦人の室、閨房、ねや。
5. 婦人、女。

[古辞書の訓]
〔字鏡〕閨 チヒサキカド・ネヤ

[語系]
閨・圭・珪kyueは同声。戸の形が圭に似た小門を閨という。〔左伝、襄十年〕「篳門(ひつもん)閨竇(けいとう)」の篳門は柴門、閨竇は壁穴を圭形にくりあけた土室をいう。

[熟語]
閨愛閨帷・閨・閨閨怨閨閣閨閤・閨・閨秀・閨女・閨心閨帥・閨声閨闥・閨中閨庭・閨竇・閨内閨範・閨・閨房閨門・閨閾・閨裏・閨流
[下接語]
宮閨・玉閨・金閨・空閨・孤閨・紅閨・香閨・朱閨・深閨・幽閨・蘭閨・令閨

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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