(読み)ベン

デジタル大辞泉 「鞭」の意味・読み・例文・類語

べん【鞭】[漢字項目]

人名用漢字] [音]ベン(慣) [訓]むち むちうつ
むち。「鞭声教鞭
むちうつ。「鞭撻べんたつ先鞭
むち状のもの。「鞭虫鞭毛

ぶち【×鞭】

むち」に同じ。
下女、―もて打たんとす」〈沙石集・七〉

むち【×鞭/×笞/策】

馬・牛などを打って進ませるために用いる革ひもや竹の棒。刑罰として人を打つ場合にも用いる。「―を当てる」「―を入れる」
人に物を指し示すための細長い棒。
人を励ましたり𠮟ったりするための言葉行為。「愛の―」

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精選版 日本国語大辞典 「鞭」の意味・読み・例文・類語

むち【鞭・笞・策】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 馬などを打って進ませるための、竹または革製の細長い杖。
    1. [初出の実例]「忍て梳鞭(くしムチ)の貢(みつぎ)を廃めば」(出典日本書紀(720)神功皇后摂政前(寛文版訓))
  3. 人や動物を打ったり、人に物をさし示したりするのに用いる細長い棒。
    1. [初出の実例]「熊葛の韃(ムチ)以て一遍(ひとたび)打つ。打つ韃に肉著く。〈国会図書館本訓釈 韃 ムチ〉」(出典:日本霊異記(810‐824)中)
  4. 人を叱咤(しった)激励したりするためのことばや行為。
    1. [初出の実例]「その頃盛んに自己に鞭を加へてゐた」(出典:疑惑(1913)〈近松秋江〉)

ぶち【鞭】

  1. 〘 名詞 〙むち(鞭)新撰字鏡(898‐901頃)〕

べん【鞭】

  1. 〘 名詞 〙 むち。〔改正増補和英語林集成(1886)〕

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普及版 字通 「鞭」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 18画

[字音] ベン
[字訓] むち・むちうつ

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は(便)(べん)。の初形は、金文(ぎよ)の字形に含まれている旁の部分の形で(更)に近く、それが鞭の象形であろう。金文のもその形に従い、はそれを人に加えている形である。〔説文〕三下に「毆(う)つなり」(段注本)とあり、〔段注〕に「經典の鞭は皆人に施して、馬に施すを謂はず」という。馬に施すときはといい、その鞭を策といった。人に施すのは刑罰のためで、〔書、舜典〕に「鞭は官刑を作(な)し、(ぼく)は刑を作す」、また〔国語、魯語上〕「刑には鞭を用ふ」という。のち杖刑・笞(ち)刑という。鞭撻(べんたつ)はもと牛馬に施し、人を刑するに用いたが、のち人を激励することをいう。

[訓義]
1. むち、むちうつ。
2. むちうつ刑。
3. はげます。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕鞭 夫知(ぶち)、、己波之(こはし)、、豆与之(つよし) 〔和名抄〕鞭 野王案ずるに、鞭は馬索なり。无知(むち)。俗に无遲(むち)(箋注)則ち此れ當(まさ)に俗に云ふ夫遲(ふち)に作るべきに似たり 〔名義抄〕鞭 フムチ・ウツ・ハゲマス・ムチウツ 〔字鏡集〕鞭 ムチ・ハゲマス・ステムチウツ・ムチウツ・ウツ

[熟語]
鞭影鞭呵・鞭牛・鞭撃・鞭策鞭筴・鞭殺鞭尸・鞭刺・鞭春・鞭杖鞭捶・鞭・鞭声・鞭打鞭駘・鞭撻鞭笞・鞭背・鞭罰鞭辟・鞭墓・鞭鞭撲
[下接語]
一鞭・革鞭・揮鞭・挙鞭・執鞭・赭鞭・垂鞭・先鞭・短鞭・竹鞭・著鞭・長鞭・停鞭・鉄鞭・投鞭・馬鞭・秉鞭鞭・揚鞭

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

音楽用語ダス 「鞭」の解説

鞭(むち)[whip]

特殊+指定SE(効果音)専用の楽器。むちの音が必要なときに使う。ピシッとかパチッの音色で、モノを叩くのでなく空中でループした皮革同士がぶつかり発音する。

出典 (株)ヤマハミュージックメディア音楽用語ダスについて 情報

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