馬酔木(俳句雑誌)(読み)あしび

日本大百科全書(ニッポニカ) 「馬酔木(俳句雑誌)」の意味・わかりやすい解説

馬酔木(俳句雑誌)
あしび

俳句雑誌。水原秋桜子(しゅうおうし)が従来雑詠選を担当していた俳誌『破魔弓(はまゆみ)』(1922.4創刊)を自ら主宰することになり、1928年(昭和3)7月『馬酔木』と改題した。秋桜子は青畝(せいほ)、誓子(せいし)、素十(すじゅう)とともに『ホトトギス』4Sの一人であり、課題吟選者でもあったが、『ホトトギス』の写生主義に飽き足らず、1931年10月号の『馬酔木』に「自然の真と文芸上の真」と題する論文を掲げて『ホトトギス』を脱退し、新興俳句運動を興した。やがて新興俳句が無季容認に傾くころにはこれと決別して、有季伝統の俳句にとどまり、流麗清新な作風に昭和10年代もっとも華やかな近代俳句の花を咲かせ、その門下からは加藤楸邨(しゅうそん)、石田波郷(はきょう)、滝春一、高屋窓秋など俊秀が数多く輩出した。戦後に至ってさらに著しく発展し、1981年(昭和56)秋桜子没後は堀口星眠がこれを継承し、俳壇を代表する大雑誌として重きをなしている。

村山古郷

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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