(読み)ズイ

デジタル大辞泉 「髄」の意味・読み・例文・類語

ずい【髄】

動物の骨の中心にある黄色の柔らかい造血組織骨髄
植物の茎の中心部の、維管束に囲まれ、柔組織からなる部分
物事の中心。要所奥義神髄
ついには事実の―をうしない」〈逍遥小説神髄
[類語]中心目玉核心基軸心臓

ずい【髄〔髓〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]ズイ(慣)
骨の中心の軟らかい部分。「髄液骨髄
中枢神経組織。「髄膜脊髄せきずい脳髄
物事の中心。「心髄神髄精髄
[名のり]すね・なか

ずん【髄】

《「ずい」の音変化》物事の中心。まんなか。
「虎の―にさし当て」〈浄・反魂香

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精選版 日本国語大辞典 「髄」の意味・読み・例文・類語

ずい【髄】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 骨の中心にある柔軟な組織。骨髄。
    1. [初出の実例]「髄 宣累反上、骨中脂也、保禰乃奈豆支」(出典:新撰字鏡(898‐901頃))
    2. 「若し骨焦がれ髄(ズヰ)燃えずば、汝は男子にあらじ」(出典:即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉歌女)
  3. ( から ) 身体、心などの最も奥深いところ。
    1. [初出の実例]「牀頭不閑交一レ睫、入髄寒声可厭無」(出典:菅家文草(900頃)四・老松風)
  4. 植物の茎の中心部で、柔組織からなるもの。草本の茎では中空のことが多く、髄腔(ずいこう)と呼ぶ。
    1. [初出の実例]「芦(よし)の髄(ズイ)より天上のながめして脇目ふらざるから」(出典:談義本・艷道通鑑(1715)一)
  5. 学芸・技術などの奥深い肝要なところ。要所・かなめとなるところ。奥義。妙所。神髄。骨髄。
    1. [初出の実例]「髄をうること、法をつたふること、必定して至誠により、信心によるなり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)礼拝得髄)
    2. 「竟(つい)には事実の髄(ズヰ)を亡ひ」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上)
    3. [その他の文献]〔李咸用読修睦上人歌篇詩〕

ずん【髄】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ずい(髄)」の変化した語 )
  2. 物のまん中。中心。
    1. [初出の実例]「印可の筆を与ふれば修理はいただき墨を染め、虎のすんにさし当、四五けん間を置なから、筆引方に従って」(出典:浄瑠璃・傾城反魂香(1708頃)上)
  3. まっすぐなこと。一直線上。
    1. [初出の実例]「よそで女ごの肌ふれさせぬ秘伝が有。伝授しましょ、あの男のおなかの臍(へそ)のずんに印判すへたがよいわいの」(出典:浄瑠璃持統天皇歌軍法(1713)三)
  4. ちょうどその見当。ちょうどその所。
    1. [初出の実例]「内の首尾を窺ふは、丁度此ずん、此辺(このあたり)」(出典:浄瑠璃・和田合戦女舞鶴(1736)軍勢玉の小桜)

すね【髄】

  1. 〘 名詞 〙 骨の中の脂。ずい。
    1. [初出の実例]「髄 須年」(出典:新訳華厳経音義私記(794))

髄の補助注記

「新撰字鏡」は「骸 骨枯也 身骨摠名 須禰汁」とある。

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普及版 字通 「髄」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 19画

(旧字)髓
23画

[字音] ズイ
[字訓] すね

[説文解字]

[字形] 形声
旧字は髓に作り、隨(随)(ずい)声。〔説文〕四下に「骨中の脂(あぶら)なり」とあり、骨の髄をいう。いわゆる脳味は脳髄という。わが国では髓をまた「すね」とよむ。

[訓義]
1. ずい、骨のずい、脳のずい。
2. ものの中心にある精髄のところ、よいところ、よいもの。
3. すね。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕髓 保祢乃奈豆(ほねのなづき) 〔名義抄〕髓 スネ・ホネノナヅキ 〔字鏡集〕髓 スネ・スイノアナ・ホネノスヂ・ホネノナカノアブラ・ホネノナカノアナ・ナヅキ・スヂノアナ

[語系]
髓ziuai、dziuaiは声義近く、ともにものの中心にあって、その活力をささえるものをいう。

[熟語]
髄海・髄脳
[下接語]
玉髄・筋髄・血髄・骨髄・心髄・神髄・真髄・精髄・石髄・赤髄・脊髄・洗髄・丹髄・透髄・得髄・入髄・脳髄・錬髄

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「髄」の意味・わかりやすい解説


ずい

高等植物の茎や根において維管束が環状に配列している場合、維管束環に囲まれた内部の基本組織を髄という。トウモロコシなどの単子葉植物のように多数の維管束が茎の中心部にも散在している場合や、原生中心柱をもつシダ植物の茎では髄はみられない。多くの根では中心部を木部が占めていて髄はないが、単子葉植物の根のように放射維管束の木部の数が多い場合には、中心部が柔組織からなる髄となっていることが多い。茎の髄は茎頂分裂組織下部の髄状分裂組織に由来し、縦断面でみると、多くは縦方向に連なる多数の細胞列からなる。髄は柔組織からなるが、細胞壁が肥厚したり木化することもある。また、髄はしばしばデンプンやタンパク質などの貯蔵組織となることがあり、樹脂道、粘液道、乳管などの分泌組織を含むこともある。さらには、シュウ酸カルシウムの結晶やタンニンなどを含む異形細胞が点在することもある。髄の組織内には多少とも細胞間隙(かんげき)が存在するが、トクサ、トウゴマなどの茎では髄の中央部にとくに大きな細胞間隙があり、これを髄腔(ずいこう)という。髄腔は、髄における細胞の分裂や成長が比較的早く終了し、ついで周囲の他の組織が成長するとき、髄の組織が壊されてできるものである。イネやモウソウチクなどの単子葉植物でも茎の中心部は髄腔となっている。これらの植物では、多くの場合、節間は長い中空な髄腔であるが、節の部分には板状に髄が残っている。また、節間部分の髄腔がところどころで水平な薄膜状に残る髄組織によって仕切られていることがあり、これを階段状髄腔という。藻類や地衣類などでも、体のつくりが比較的複雑で、その中央部と周辺部とで構造的な相違がある場合、中央部を髄または髄層とよぶことがある。

[相馬研吾]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「髄」の意味・わかりやすい解説


ずい
pith

植物の茎では維管束が円筒状に形成されているが,その内方,中心部にみられる柔組織を髄という。皮層の柔組織とは放射組織 (射出髄) によって連結している。木本植物ではこの部が貯蔵組織となるものが多い。草本植物のなかには茎の急激な生長により,この部が破壊されて髄腔となるものがある (例:イネ,タケ,トクサ) 。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【柔組織】より

…柔細胞parenchymatous cellからなる植物の組織をいう。茎・根の皮層・髄,葉の柵状組織・海綿状組織,維管束の木部柔組織・師部柔組織,果実の果肉,塊茎・塊根その他の貯蔵組織などはすべて柔組織である。柔細胞にはさまざまな形のものがあるが,一般的には球形に近いものが多く,平均14面をもつといわれる。…

※「髄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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