スクリーン(英語表記)screen

翻訳|screen

デジタル大辞泉 「スクリーン」の意味・読み・例文・類語

スクリーン(screen)

ついたて。間仕切り。網戸。また、幕。
映画・スライドなどを映して見るための白い幕。また、映画の画面。
2から転じて》映画。また、映画界。
写真製版で、平版凸版の網目やグラビアの升目を作るために用いる、透明なガラスまたはフィルム面に直交する細線を引いたもの。
製紙やパルプ製造で、原料中の異物を除去するための装置。
[類語](3映画シネマキネマ活動活動写真幻灯銀幕スライドムービーフィルムサイレント映画無声映画トーキーアニメーション

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「スクリーン」の意味・読み・例文・類語

スクリーン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] screen )
  2. 布を張ったついたて。
    1. [初出の実例]「屏風(スクリーン)の陰にはいって、大急ぎで普段着に着更へて」(出典:大道無門(1926)〈里見弴〉一番鶏)
  3. 映画、スライドなどを投影するための、白色、または銀色の幕、または面。映写幕。銀幕。
    1. [初出の実例]「それを射徹す強い光線がスクリーンの面へ銀のやうに燃え上るのだ」(出典:ア・マリア(1923)〈谷崎潤一郎〉四)
  4. 映画の画面。また、映画の世界。映画界。銀幕。
    1. [初出の実例]「スクリーンでは、ナンシーキャロル・リチャードアーレンのラブシーンである」(出典:浅草(1931)〈サトウハチロー〉浅草微笑罪)
  5. 印刷製版において、写真、絵画など、濃淡のある原稿を表現できるように網点に変換するのに用いるフィルムまたはガラス板。網目スクリーン。〔モダン用語辞典(1930)〕
  6. 謄写版印刷機の、上部のわくに張った、目のあらい布。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スクリーン」の意味・わかりやすい解説

スクリーン(映画用語)
すくりーん
screen

映画用語としては、(1)撮影用フィルターlight screen、(2)カメラ内の焦点ガラスfocusing screen、(3)映写幕projection screenなどをさすが、単にスクリーンという場合は映写幕のことをいう。映写用スクリーンは、布、紙、合成樹脂などの表面に、光の反射効率のよい塗料を塗布したものが多いが、良好な映写スクリーンの条件としては、(1)映像を鮮明に映し出す、(2)色再現が忠実、(3)反射率が高く、広い角度から平均に明るくみえる、(4)見やすさという点で観客席に対して適当な指向性をもつ、ことなどが必要である。

[高村倉太郎]

スクリーンの種類

一般に使用されているスクリーンは次の3種である。

〔1〕ホワイト・スクリーン 純白で色再現が良好であり、指向性がほとんどないので、スクリーンに対して広い角度から映写画面を見ても、明るさがあまり減少しないことから、劇場やホールなどで広く使われている。

〔2〕シルバー・スクリーン(銀幕) 金属粉を塗布したもので、色再現、反射率ともに良好、指向性は中くらいだが、映写光源が弱かった初期のころは、反射光率をあげるために劇場などで多用されていた。映画スターのことを銀幕の女王などとよんでいるのはスクリーンが銀色であったことに由来している。3D映画(立体映画)は、映写の際に偏光フィルターを使用するため、映写光量の減少を補うためにシルバー・スクリーンを使用して反射光率をあげている。スクリーンに、スピーカーの高音が減衰するのを防ぐための細かい穴が、全面にあいているものもある。

〔3〕ビーズ・スクリーン、パール・スクリーン デーライト・スクリーンともいわれ、反射、指向性ともに強い。映写する場所があまり暗くならない教室などで使用するのに便利だが、指向性が強いため、スクリーンの横手方向からはあまりよくみえないなどの欠点がある。色再現もやや劣るといわれる。このほか細い紐(ひも)状のスクリーンを一面に張り詰めた特殊なスクリーンもある。

[高村倉太郎]

スクリーン輝度

スクリーンに投影される映像の明るさは、明るすぎても暗すぎても良好な映像の再現は得られない。一般に現在の常設館設備で快適な映像を得るための明るさは、映写機にフィルムをかけずに空写しの状態で、スクリーン中央部の輝度7~17フート・ランバードの範囲といわれている。

[高村倉太郎]

スクリーン・サイズ

スクリーン・サイズは、通常フィルムに記録されている画面比に合わせてスクリーンの左右に備えてある黒幕を移動させて調整するようになっている。サイレント映画のスクリーン・サイズの標準は縦横比(画面比、アスペクトレシオ)1対1.33であったが、トーキーになってサウンドトラックの分が削られたのにあわせて画面の上下を少し削り、現在は画面比1対1.37が標準となっている。

 1950年代以降は大型映画(ワイド映画)の開発に伴い、シネラマ(1対2.88)、シネマスコープ(1対2.35、現在は1対2.4)、ビスタビジョン(1対1.85)、ヨーロッパ・ビスタ(1対1.66)、70ミリ映画では画面比1対2~2.5など、さまざまなスクリーン・サイズが使われている。

[高村倉太郎]


スクリーン(印刷用語)
すくりーん
screen

印刷用語としては、印刷用の網版(あみはん)をつくるときに用いる特殊なフィルムのこと。網目スクリーンともいう。新聞の写真をよく見ると、小さい点で構成されていることがわかる。この点(網点)が大きい部分は明視の距離から見ると濃く、小さい網点部分は淡く見える。版の上に同じ厚さのインキが乗っていても濃淡のあるように感じさせている。原稿の写真を一度複写して版を作成するとき、スクリーンを感光フィルムに密着させて撮影すると網版ができる。スクリーンには、小さい同じサイズの網点が無数につくってあるが、一つ一つの網点の周囲はぼやけている。このぼけぐあいによって感光フィルムには大小の網点ができる。スクリーンの網点は1インチ(約25ミリメートル)に何個あるかで粗さ・細かさを表し、たとえば80個あるものは80線のスクリーンとよぶ。普通、80線から200線くらいまでが利用され、新聞のように更紙(ざらがみ)の場合は80線くらい、雑誌の口絵のようにコート紙の場合は175線から200線くらいまでを使う。細かい線数のほうが、写真の微妙な表現ができる。円い網点のほか砂目模様のスクリーンもある。現在では、スクリーンを用いず電子的に網点をつくっている。

[山本隆太郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「スクリーン」の意味・わかりやすい解説

スクリーン
screen

映写幕の意。白布,白壁,白色塗料面などがあり,材質は現在はビニル系がふつうだが,それ以前にはキャンバスに白色塗料(酸化マグネシウム)を塗って使用した。アルミと青銅の粉末を油性塗料に混ぜて塗布し,反射効率をよくしたシルバー・スクリーンもサイレント時代から用いられ,〈銀幕〉はその訳語である。これは,画面の明るさ,いわゆる〈ヌケ〉をよくするため,とくに大劇場で使用されるが,スクリーンの近くで斜めから見ると暗くなるのが欠点である。ほかにビーズ・スクリーン(布地の表面にガラス粒を塗布したもの),ミラー・スクリーンなどもあるが,主として16mmフィルムを明るい場所で映写するときに用いる小型のものである。ほかに背面映写用の透過式スクリーンとして,白布,スリガラス,半透明ニカワ質膜などが用いられる。トーキー時代に入ってからは,背後のスピーカーの音を通りやすくするため,直径1mm程度の穴を,約5mm間隔であけたサウンド・スクリーンを使用するのがふつうだが,このため明るさが5~8%程度失われる。

1940年代までの映画館は,縦横の比率が1対1.33のスタンダードのスクリーンを設置すればこと足りた。しかし50年代に入って,テレビへの対抗策としてさまざまなワイド・スクリーン映画が競作され始めたため,正面いっぱいに大スクリーンを設置し,左右および上部のスクリーン・マスクを作動させて,1.33のスタンダードから1.66~1.85の,いわゆるビスタビジョンサイズ,2.35のシネスコサイズ,さらに最大限の70mm映画(比率はトッドAOとテクニラマが2.13,MGMカメラ65/パナビジョンは2.65。なお,大型ネガによる純正70mmは70年代半ばで姿を消し,現在ではシネスコサイズのパナビジョンから拡大した70mmプリントが用いられている)まで,必要に応じて使いわけるようになった。

ワイド・スクリーン映画の最初で最大のものは,1952年9月30日にニューヨークで公開されたシネラマだが,画面サイズだけでなく,スクリーンの構造も特殊だった。中央部が奥深く湾曲し,間口20mとして全長24mという巨大なスクリーンへ,3台の映写機から一斉に交差映写して,三つの画面を横に広く継ぎ合わせるという方法をとった。そのスクリーンは,幅25mmのリボンを千数百本,互いに重なり合うように張りめぐらし,スクリーンの両端でもリボン面が正面を向くようにして,画面の乱反射を防いだ。しかし,このあまりにも大がかりなシステムはしだいに70mmにとってかわられ,スクリーンの維持管理(張り替えなど)に経費がかさむうえ,立体映画のときはメタル・スクリーンを仮設しなければならないなどの不便が多いため,しだいに姿を消しつつある。
執筆者:


スクリーン
screen
half-tone screen

印刷用語。印刷において網版(写真版)を作るとき使用する特殊のフィルムあるいはガラス板。新聞写真を見てもわかるように,印刷された写真の明るい部分は小さい網点,暗い部分は大きな網点であらわされている。このように,写真の濃淡を大小の網点に変える働きをスクリーンがもっている。スクリーンにはコンタクトスクリーンガラススクリーンの2種があり,前者はプラスチックフィルムにぼかし網点を設けたもの,後者は交線スクリーンともいって,ガラス板に黒い不透明の直線が交差した格子状に入ったものである。コンタクトスクリーンを感光板に密着して原稿の写真を撮影すると,原稿写真の明るいところは大きな網点,暗いところは小さな網点となったいわゆる網ネガティブができる。ガラス(交線)スクリーンの場合は,感光板の前にごくわずかの距離を隔てて原稿の写真を平行におき,網ネガティブを得る。新聞写真の網点が肉眼でも見え,高級印刷物の網版の網点は拡大鏡を使わなくては見えない。これはスクリーンのぼかし網点あるいは黒線があらいか細かいかによるもので,日本では1インチあたりの網点または線の数であらわす。たとえば,80線,100線,120線,133線,150線,200線などで,あらい線数の網版は表現がどぎつく,細かい線数の網版は階調が豊富である。そして粗面の紙にはあらい線数(たとえば,ざら紙には80線),平滑な面の紙には細かい線数(コート紙には133線)というような使いわけをする。また,以上の網版用スクリーンのほかにグラビアの製版に用いるグラビアスクリーンがあり,これは直交透明線とそれで仕切られた黒点をもつスクリーンで,グラビア版の小孔を形成する役目をもっている(グラビア印刷)。このほか特殊な表現(たとえば砂目)をするための特殊スクリーンもある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スクリーン」の意味・わかりやすい解説

スクリーン
screen

網版の製版に用いられるガラス板。最も一般的なのは交線スクリーンで,これは2枚の板ガラスにそれぞれ等間隔に平行線を彫刻し,黒色顔料を充填して,それぞれの直線が直角に交わるようにバルサムで張合せたもの。これを製版カメラの感光板の前に差入れて原稿を撮影すると,原稿の濃淡が大きさの異なる小さな点に分割されて感光板に写る。1インチ (2.54cm) の間にある線数で粗密を表わすが,60線,80線,100線,120線,133線,150線,200線などいろいろなものがあり,印刷機械の種類,精度,版式,用紙などによって使い分けられる。交線スクリーンのほかに単線,砂目,渦巻などいろいろな形状のものがあり,また写真版用のほかにグラビア製版用のグラビアスクリーンがある。

スクリーン
screen

映写幕。映画上映の際,フィルムの画像を投射し,拡大する幕。エジソンのキネトスコープは1人用ののぞき穴式だったが,映写機とスクリーンの発明により,多くの人々が一度に映画を鑑賞できるようになった。スクリーンの縦横の大きさの比はさまざまな方式があって少しずつ異なるが,スタンダード・サイズでは 1:1.33 ,ワイド・スクリーンでは横が縦の2倍以上になっている。 (→シネマスコープ )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「スクリーン」の意味・わかりやすい解説

スクリーン

(1)映写幕。映写機からの映像光線を反射し,観覧可能にするもの。反射性,色の再現性がすぐれていることが必要。サイレント映画の時代から用いられたシルバー・スクリーンなどがある。〈銀幕〉はその訳語。(2)印刷製版用の網版(あみはん)のこと。
→関連項目シネマトグラフ3D

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ASCII.jpデジタル用語辞典 「スクリーン」の解説

スクリーン

内蔵ディスプレイの輝度やコントラストを調整するコントロールパネル。内蔵ディスプレイを使用するMacintoshに付属していた。

出典 ASCII.jpデジタル用語辞典ASCII.jpデジタル用語辞典について 情報

岩石学辞典 「スクリーン」の解説

スクリーン

古い岩石の狭い隔壁が,二個の急傾斜の貫入岩体に分離すること[Wright : 1924].

出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のスクリーンの言及

【バレーボール】より

…6人制でサービスがあったとき,サーバー以外の者の足がコート外に出ていたり,決められたローテーションの正しい位置が入れ違っている場合の反則。 スクリーンscreenサーバーが打つサーブコース等を意識的に相手から見えなくするサービスチーム側の反則。 ダブルコンタクトdouble contact旧ドリブルのこと。…

【屛風】より

…屛風は使われ方からみると,古代には主として間仕切り用,儀式用として用いられていたが,中世から近世にかけては装飾用として,また鑑賞用として用いられ,江戸時代からは庶民階級にも用いられるようになった。衝立(ついたて)【小泉 和子】
[西洋]
 西洋では屛風に相当するものにスクリーンscreenがある。室内に立てて人目,隙間風,暖炉の熱を遮ったり,部屋の装飾や間仕切りに使う家具の一種で,パネルが1枚だけの衝立型のものや数枚のパネルを蝶番で連結した折り畳み式のものなどがある。…

【スクリーン】より

…映写幕の意。白布,白壁,白色塗料面などがあり,材質は現在はビニル系がふつうだが,それ以前にはキャンバスに白色塗料(酸化マグネシウム)を塗って使用した。アルミと青銅の粉末を油性塗料に混ぜて塗布し,反射効率をよくしたシルバー・スクリーンもサイレント時代から用いられ,〈銀幕〉はその訳語である。これは,画面の明るさ,いわゆる〈ヌケ〉をよくするため,とくに大劇場で使用されるが,スクリーンの近くで斜めから見ると暗くなるのが欠点である。…

【バレーボール】より

…6人制でサービスがあったとき,サーバー以外の者の足がコート外に出ていたり,決められたローテーションの正しい位置が入れ違っている場合の反則。 スクリーンscreenサーバーが打つサーブコース等を意識的に相手から見えなくするサービスチーム側の反則。 ダブルコンタクトdouble contact旧ドリブルのこと。…

【ふるい(篩)】より

…金網またはそれに類する多数の穴をもつ板により,粉粒体を粒子径の大小にしたがって分離するのに使われる器具または機械装置。ふるいは穀物の選別や砂と砂利の分別などに人類の歴史とともに古くから使われてきた道具である。ふるいはほぼ同じ大きさと形の多数の穴をもつ面(ふるい面)と,これを支持する枠(ふるい枠)から成る。ふるい面はステンレス鋼,炭素鋼,ナイロンなどを素線とする織網,くさび形の断面をもつ針金(ウェッジワイヤ)や金属棒(ウェッジバー)を一定の間隔ですだれのように並べたもの,円形,長方形などの穴を多数あけた金属板,ゴムで被覆した鋼板,細い切れ目(スリット)をもつポリウレタン成形体などによって形成される。…

※「スクリーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

選挙公営

国または地方公共団体が個々の候補者の選挙費用の一部または全額を負担すること。選挙に金がかかりすぎ,政治腐敗の原因になっていることや,候補者の個人的な財力によって選挙に不公平が生じないようにという目的で...

選挙公営の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android