かも

精選版 日本国語大辞典 「かも」の意味・読み・例文・類語

か‐も

[1] (係助詞の「か」と「も」が重なったもの。→係助詞「か」)
[一] 文中用法。係助詞的にはたらく。この場合の「か」は疑問の意を表わし、係り結びを起こす。
※古事記(712)下・歌謡「置目もや 淡海の置目 明日よりは み山隠りて 見えず加母(カモ)あらむ」
[二] 文末用法。終助詞的にはたらく。平安以後はおおむね「かな」となる。
体言用言連体形(まれにシク活用形容詞の終止形)を受ける。
(イ) 詠嘆を含んだ疑問を表わす。
※古事記(712)下・歌謡「女鳥の わが王の 織(お)ろす服(はた) 誰が料(たね)ろ迦母(カモ)
(ロ) 詠嘆を表わす。
※古事記(712)下・歌謡「御諸の 厳白檮(いつかし)が本 白檮が本 忌々しき加母(カモ) 白檮嬢子」
古今(905‐914)春下・一〇二「春霞色のちぐさにみえつるはたなびく山の花のかげかも〈藤原興風〉」
② 已然形を受けて反語の意を表わす。上代では東歌にだけ現われる。
万葉(8C後)一四・三四三七「陸奥の安太多良真弓はじき置きて反(せ)らしめ来なば弦(つら)はかめ可毛(カモ)
③ 「ぬかも」の形で、願望を表わす。
※万葉(8C後)八・一六一六「朝ごとにわが見る屋戸の瞿麦(なでしこ)が花にも君はありこせぬ香裳(かも)
[2] (副助詞の「か」に「も」が重なったもの) 副助詞的用法。近世以後「かもしれない」「かもしれぬ」などの形で用いられる。→かも知れない

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「かも」の意味・読み・例文・類語

かも[終助]

[終助]名詞活用語の連体形、まれに形容詞シク活用の終止形に付く。
感動を込めた疑問の意を表す。…かなあ。
「一つ松幾代いくよか経ぬる吹く風の声の清きは年深み―」〈・一〇四二〉
感動・詠嘆を表す。…だなあ。…ことよ。
「天の原ふりさけ見れば春日かすがなるみかさの山に出でし月―」〈古今羇旅
(多く「めかも」の形で)反語の意を表す。なんで…か(いやそうではない)。
「いにしへを仰ぎて今を恋ひざらめ―」〈古今仮名序
(「ぬかも」の形で)願望の意を表す。…てくれないかなあ。
「ぬばたまの渡る月ははやも出でぬ―海原八十島やそしまの上ゆいもがあたり見む」〈・三六五一〉
[補説]連語「かも」の文末用法より転じたもの。「か」を終助詞、「も」を終助詞あるいは間投助詞とする説もある。2は中古以降、おおむね「かな」に代わる。

か‐も[連語]

[連語]
《副助詞「か」+係助詞「も」》副助詞「3」に同じ。
《係助詞「か」+係助詞「も」。上代語》種々の語に付く。感動を込めた疑問の意を表す。…かなあ。
「あしひきの山―高き巻向まきむくの岸の小松にみ雪降り来る」〈・二三一三〉
[補説]「かも」がかかる文末の活用語は連体形をとる。

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