ドイツの哲学者、数学者。家業の仕立屋を12歳のときから手伝う。15歳から、働きながら哲学、科学を独学し、1748年スイスで名家の家庭教師となり、その家の図書を利用して研究を行う。1756~1758年オランダおよびフランスを訪れる。その後、科学者としての職を求めてドイツ各地を訪れ、著作を出版、1765年ベルリン・アカデミー会員となる。生涯に200近い研究論文と16の著書を発表した。それらは多くの分野にわたり、当代一流の博学者と目された。哲学の研究では、ライプニッツの影響下に、科学知識が数学と同等の精確さをもつための条件を探究した。主著は1764年の『新機関』である。物理学を数学と同等の精確なものにするために、測光学、湿度測定、高温測定の分野で貢献した。『測光学』(1760)では光度のコサイン則(ランベルトの法則)を発表している。『湿度測定』(1774)では湿度計の理論を述べ、『高温測定』(1779)では放射と反射について論じるなど多くの実験物理学的成果をあげている。天文学では、彗星(すいせい)の軌道や天体力学のほか、1761年に出版された『宇宙論書簡』において、銀河の形状と階層構造についての仮説を提示したことで知られる。
数学においては、円周率と自然対数が無理数であることを連分数を用いて証明したほか、画法幾何学、等角写像など地図投影および双曲線関数の導入、非ユークリッド幾何学の先駆的仕事もしている。
[高田紀代志]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…輝度の単位はこのほかアポスチルブ(記号asb。1asb=(1/π)cd・m-2),ランベルト(記号L。1L=(104/π)cd・m-2),フットランベルト(記号fL。…
※「ランベルト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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