(読み)ト

デジタル大辞泉 「渡」の意味・読み・例文・類語

と【渡】[漢字項目]

常用漢字] [音](漢) [訓]わたる わたす
わたる。移動する。「渡欧渡河渡御とぎょ渡航渡世渡来過渡
川の渡し場。「渡頭津渡
手から手へ物を移す。「譲渡
[名のり]ただ・わたり
難読鳥渡ちょっと

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精選版 日本国語大辞典 「渡」の意味・読み・例文・類語

わたし【渡】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「わたす(渡)」の連用形の名詞化 )
  2. 海・川などで、人や貨物を船で対岸に渡すこと。また、その場所。わたしば。わたり。津。
    1. [初出の実例]「阿難の渡(ワタシ)に及びて出家せしむるなり」(出典:大唐西域記長寛元年点(1163)一)
  3. わたしぶね(渡船)」の略。
    1. [初出の実例]「ぶしはきつい。渡(ワタ)しでさへ、銭を出さぬ」(出典:咄本・譚嚢(1777)附子)
  4. わたしもり(渡守)」の略。
    1. [初出の実例]「かやうに候ものはすみ田川のわたし」(出典:河東節・隅田川舟の内(1720‐23頃)上)
  5. 船から他へ渡るのに用いる板。あゆみいた。わたりいた。
  6. 机の左右の脚の間に渡してある板。
    1. [初出の実例]「靴を卓下の渡しから踏みはづした為」(出典:故旧忘れ得べき(1935‐36)〈高見順〉八)
  7. わたしがね(渡金)」の略。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  8. 物などを人に手渡すこと。
  9. ( 径 ) 直径。さしわたし。
    1. [初出の実例]「径(ワタシ)二尺の、縁を択んで」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石〉一三)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「渡」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

[字音]
[字訓] わたる・すぎる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は度(ど)。度は席を手にもって拡げる形。此より彼に及ぶ意がある。〔説文〕十一上に「濟(わた)るなり」とあり、水を渡ることをいう。これより渡過する意となる。

[訓義]
1. わたる、水をわたる、わたり、わたし。
2. 此より彼に及ぶ、すぎる、すごす、こえる。

[古辞書の訓]
名義抄〕渡 ワタリ・ワタル・ホトリ 〔字鏡集〕渡 ホトリ・ワタル・スクフ・ユク・サル・ノリ

[語系]
渡・度dakは同声。席zyak、(遮)tjiaも関係のある語であるらしく、これは遮ること。(者)tjya、taがその系統の語である。

[熟語]
渡越・渡河・渡海・渡口・渡航渡江・渡子渡舟・渡津・渡世渡済渡船・渡頭渡杯・渡夫
[下接語]
畏渡・越渡・烟渡・過渡・海渡・寒渡・関渡・急渡・暁渡・径渡・古渡・孤渡・済渡・渉渡・譲渡・津渡・断渡・超渡・刀渡・晩渡・夜渡・野渡・

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