競売(読み)キョウバイ

デジタル大辞泉 「競売」の意味・読み・例文・類語

きょう‐ばい〔キヤウ‐〕【競売】

[名](スル)複数の買い手に値をつけさせて、最高価格を申し出た者に売る方法法律では、「けいばい」とよびならわされている。せり売り。「競売に付す」
[類語]競り売り競りオークション

けい‐ばい【競売】

法律で「競売きょうばい」のこと。

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精選版 日本国語大辞典 「競売」の意味・読み・例文・類語

きょう‐ばいキャウ‥【競売】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 売り手が一定の期日に買い手を集め、競争で値をつけさせて、最高価格を申し出た人に売ること。国の機関が行なうものは公売ともいう。また、現在、法律では普通「けいばい」と読む。せりうり。オークション。
    1. [初出の実例]「果穀菜蔬の市を開きて競売をなす」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉一)
  3. 担保物件を債権者などの申し立てに基づいて、裁判所または執達吏競売法によって売り払うこと。けいばい。
    1. [初出の実例]「本社所産の良馬十二頭を出し、夫より群馬競売を始む」(出典:東巡録(1876)〈金井之恭〉一)

けい‐ばい【競売】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「けい」は「競」の漢音 ) 現在の法律用語で「きょうばい(競売)」をいう。→きょうばい

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「競売」の意味・わかりやすい解説

競売(けいばい)
けいばい

一般には「きょうばい」ともいう。売り主が多数人に対し目的物についての買受けの申し出をさせ、最高価額の申し出人に対して承諾を与えて売買すること。競売には、私人が行う私競売と、国家機関が行う公競売とがある。民事執行法上の競売、国税徴収法による競売が後者の例である。

 民事執行法上の競売には、債務名義に基づく強制執行手続における競売(強制競売)と、担保権の実行としての競売および換価のためのみのいわゆる形式的競売(共有物分割、限定承認の競売等)とがある。前者の強制競売はかつては民事訴訟法第6編に規定され、後者の担保権の実行としての競売(任意競売)および換価のためのみの競売は競売法に規定されていたが、規定の不備(とりわけ競売法の規定は不十分)が甚だしかったため、これら二つを統合し、理論と実務の両面から、強制執行、競売制度の合理化、近代化を図り、その機能を充実させることを目的として、1979年(昭和54)に制定されたのが民事執行法である。したがって同法には、一方で強制競売としての不動産の競売(45条以下)および船舶の競売(121条で不動産競売の規定が準用)の規定があり(動産は入札またはせり売りのほか最高裁規則で定める方法)、他方で、担保権の実行としての競売(181条以下)および換価のための競売(195条で担保権の実行としての競売の例による)の規定がある。

 国税徴収法による競売(公売)は、滞納者の差押え財産を換価する手続で、国税徴収法がその方法を定めている。

 ところで、とくに不動産競売については1990年代後半からその数が増え始めた。住宅ローンが払えなくなった、自宅を担保にした事業が失敗したなど90年代の不況によるものとみられている。また、最低売却価格が市価の2~3割は安いとあって、不動産業者だけでなくいわゆる素人(しろうと)が入札参加者に加わり間口が広がる傾向にある。裁判所によっては物件情報をファックスで24時間検索できる情報提供システムを採用している。問題点としては、買う前に部屋に入って調べることができない、ローンは使いにくい、などがある。また、暴力団がからむ例もある。第三者が占有していればさらに安くなることもあるため、ここに目を付けて占有役と落札役に分かれて安く買いたたくという例もある。

淡路剛久

『住宅金融公庫債権保全研究会著『不動産競売申立ての実際』(1997・自由国民社)』『上野隆司著『不動産競売実務の手引き』(1999・金融財政研究会)』


競売(きょうばい)
きょうばい

競売

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百科事典マイペディア 「競売」の意味・わかりやすい解説

競売【きょうばい】

法律上は〈けいばい〉といい,せり売りと同義で,売主が多数の者を集めて口頭で買受けの申出促し,最高価額の申出人と売買契約をすることをいう。個別的売買に比べ比較的高くかつ公平な価格で換価できる。競売を国家機関が行う場合を公の競売または公売という。金銭債権についての強制執行における換価は,原則として公の競売によるが,このうち不動産の競売は特に強制競売という(民事執行法45条以下)。狭義には,競売は民事執行法による公の競売をさし,民法・商法などで換価権または換価義務を認められた者が,執行官または裁判所に申し立てて開始されるものをいう。これは任意競売とも呼ばれる。
→関連項目オークション金銭執行差押え直接強制

競売【けいばい】

競売(きょうばい)

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改訂新版 世界大百科事典 「競売」の意味・わかりやすい解説

競売 (きょうばい)

〈けいばい〉とも読む。広義では,多数の買い手を集めて,動産や不動産について口頭で買受けの申出をさせ,最高価額を申し出た者との間に売買を成立させることをいう。〈せり売り〉と同義。裁判所によって行われ,強制競売と不動産競売,動産競売などがある。狭義では金銭債権の執行ないし租税の滞納処分の方法として認められる法制度上の手段をさす。これは税務官庁が行うもので,租税滞納処分の一段階として行われる公売がこれにあたる。不動産に対する競売の価格は,市場価格より低くなりがちなため,不動産に対する事件屋等の暗躍する余地が生じ,法は,そうした者の売却場からの排除処置などを規定して,公正な競売の実施を期しているが,なおその厳格な実行が望まれる。競売の結果,代金納入後,買受申出人が,競売に付された財産の所有権を取得することを競落といい,競売手続の最終段階にあたる。

 競売は,差押-換価(せり売りの段階)-配当までの一連の手続全体を意味する場合と,せり売りの換価部分のみをさす場合とがある。
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競売 (けいばい)

競売(きょうばい)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「競売」の意味・わかりやすい解説

競売
けいばい
Versteigerung

多数人が競争で値づけをし,そのなかの最高価買受け申出人に売却する方法で行う売買。 (1) 競売を国家機関が行う場合,これを公の競売または公売という。金銭債権についての不動産強制執行は,公の競売によることができるが,これを強制競売という。 (2) 狭義では民事執行法第4章の担保権実行としての競売を意味する。 (3) 形式的競売 民法または商法の規定によって競売をしようとする者の申立てに基づき,民事執行法の定めによってする競売 (195条) 。財産の保管または整理などの目的をもって,その目的物を換価するために行われる。たとえば,共有物分割のためにする競売 (民法 258条2項) ,弁済者の弁済供託のための競売 (民法 497,非訟事件手続法 83) ,商人間に行われる商事売買の自助売却に基づく競売 (商法 524,527,非訟事件手続法 126条5項) などである。この種の競売では,競売機関の任務は換価をもって終了し,請求権の満足とか責任の実現などとは無関係である。ただ手続法上,民事執行法の規定に準拠してされるため,一般に形式的競売と呼ぶのである。

競売
きょうばい

競売」のページをご覧ください。

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不動産用語辞典 「競売」の解説

競売

広義には、売主が多数の買受けの申し出をさせ、最高金額を提示したものに売買するしくみを「競売」といいます。
不動産業界においては、抵当権者が一定期間内に取得者から債務が支払われなかった場合などに実行されます。

出典 不動産売買サイト【住友不動産販売】不動産用語辞典について 情報

リフォーム用語集 「競売」の解説

競売

売り主が大勢の人を集めて買い受けの申し出を促し、最高価格の人に承諾を与えて売買すること。また、融資の返済ができない場合に、裁判所を通じて債務者の財産を処分すること。

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とっさの日本語便利帳 「競売」の解説

競売

売主が多数の買主のうち最高価の申出者に売る売買方式。法令上は民事執行法等に定めがある。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内の競売の言及

【競売】より

…〈せり売り(せり)〉と同義。裁判所によって行われ,強制競売と不動産競売,動産競売などがある。狭義では金銭債権の執行ないし租税の滞納処分の方法として認められる法制度上の手段をさす。…

※「競売」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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