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室町幕府10代将軍。院号恵林院。初め義材(よしき),のち義尹(よしただ)。義視の子。9代将軍義尚が1489年(延徳1)近江で陣没したとき,義尚の母日野富子らの推挙で次期将軍に嗣立され,美濃より上洛した。90年大御所義政が没してのち幕府の実権を握り,義尚の遺志を継ぎ第2次六角征伐,河内出陣の軍を起こしたが,これが因で細川政元と対立,93年(明応2)4月政元のクーデタにより逮捕,将軍を廃立された。しかし同年越中に逃亡,99年京都奪回を企図したが果たさず周防の大内義興を頼り,1508年(永正5)義興の援助で上洛に成功し,将軍に還任した。17年義興帰国後は前管領細川高国と対立,20年細川澄元と通じたため高国との間が悪化,翌年3月淡路に出奔して将軍位を失った。なお帰洛を策したが支援する大名もなく,阿波撫養(現,鳴門市)で客死。諸国を流浪したため“流れ公方”または“島公方”と呼ばれた。
執筆者:今谷 明
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(今谷明)
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室町幕府第10代将軍。文正(ぶんしょう)元年7月30日(一説に29日)生まれ。准三宮(じゅさんぐう)足利義視(よしみ)の子。初名義材(よしき)、ついで義尹(よしただ)、1513年(永正10)より義稙と改名。前将軍義尚(よしひさ)が近江(おうみ)(滋賀県)出征中に陣没したため、日野富子らの推挙で擁立された。義尚の遺志を継いで第二次六角(ろっかく)征伐や河内(かわち)(大阪府)出陣を強行したが、将軍親裁権を強化する結果となり管領(かんれい)細川政元(まさもと)と対立、1493年(明応2)河内出征中に政元のクーデターで将軍位を剥奪(はくだつ)され幽閉されたが、越中(えっちゅう)(富山県)に脱出、のち周防(すおう)(山口県)に逃れ再起を図る。1508年細川高国(たかくに)や大内義興(よしおき)の援助で将軍に復職、細川・大内両氏均衡のうえに幕政を主導したが、義興帰国後は高国と対立、1521年(大永1)京都を出奔し、大永(たいえい)3年4月9日阿波(あわ)(徳島県)で客死した。「流れ公方(くぼう)」「嶋(しま)の公方」と称された。
[今谷 明]
1466.7.30~1523.4.9
室町幕府の10代将軍(1490.7.5~93.6.29,1508.7.1~21.12.25)。初名義材(よしき),のち義尹(よしただ)。父は義視(よしみ),母は日野政光の女(富子の妹)。法名恵林院厳山道舜。従二位権大納言。9代将軍義尚(よしひさ)没後,日野富子の支持で義尚継嗣とされ,義政死後将軍となる。奉公衆の掌握のため,義尚にならい六角高頼の討伐に出陣。さらに畠山政長の要請で河内国正覚寺へ出陣したが,細川政元に将軍職を廃されて幽閉。のち越中へ逃れ,1499年(明応8)京都回復をはかるが失敗,周防の大内義興を頼った。義興に擁され上洛後,再度将軍位につく。しかし義興帰国後,細川高国との対立から,1521年(大永元)淡路へ出奔,将軍職を廃された。阿波国撫養(むや)で死去。
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…旧国名。現在の富山県全域にあたる。
【古代】
北陸道に属する上国(《延喜式》)。北陸の地一帯は古くは越(こし)と総称されたが,律令国家の形成過程で越前,越中,越後の3国に分割された。その時期は明確ではないが,《日本書紀》持統6年(692)9月癸丑条に〈越前国司白蛾を献ず〉と見えるのが分割された国名の初見である。20年前の672年7月の記事には〈越〉とあり,おそらくこの間に3国の分立をみたものであろう。…
…しかし畠山氏の分裂抗争のため,1455年(康正1)家督を継いだ義就派の攻撃で,政長派の神保国宗が放生津城から撤退したこともある。93年(明応2)細川政元のクーデタで将軍を廃され幽閉された足利義材(よしき)(足利義稙(よしたね))は,同年6月に脱出して放生津の神保長誠(ながのぶ)のもとに拠り,再起を図って,98年まで滞在した。この間,義材の放生津御座所を越中御所,義材を越中公方と称し,放生津には幕府奉公衆や奉行人,さらに公家衆も多く下向し,また伊勢貞仍(さだより),飛鳥井雅康,宗祇らの文人も来訪,活況を呈した。…
※「足利義稙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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