灯火具の一種。〈ぼんぼり〉は〈ほんのり〉の語の転訛で,灯火を紙や布の火袋(ほぶくろ)でおおい,火影のほのかにすいてさだかならぬをいったという。〈ぼんぼり〉は,はじめ広く灯火,茶炉(さろ)などに取りつけたおおいのことであったが,ついで小型の行灯(あんどん)をいうようになり,後にはもっぱら紙・布などをはった火袋を取りつけた手燭(てしよく)または燭台を呼ぶようになった。手燭や燭台はろうそくを用いる灯火具で,普通には灯台のように裸火をとぼしたが,その炎が風のためにゆり動かされ,吹き消されたりするのを防ぎ,かつ失火のわざわいを避けるために,行灯のようにこれに火袋を取りつけた〈ぼんぼり〉が考案された。〈ぼんぼり〉の火袋には,ふつう口のひらいた六角筒のものが用いられたが,また円筒形,ナツメ形,ミカン形のものなども行われた。〈ぼんぼり〉の手燭はもっぱら臨時の手元・足元の照明に利用され,〈ぼんぼり〉の燭台は常夜灯として座敷などにすえおかれた。今でも3月の雛祭の飾段や園遊会の会場などに装飾灯として用いられている。
執筆者:宮本 馨太郎
一般には雪の洞穴(ほらあな)をさすが,雪の洞穴を生活や登山活動などに利用することもいう。世界の多雪地では冬期の貯蔵庫など各種の用途に利用され,日本の東北地方の〈かまくら〉もこの一つと考えられる。登山用に利用して成功したのは,1929年ドイツ隊のヒマラヤ・カンチェンジュンガ登山が最初で,以後,雪中露営の方法として活用されるようになった。近年では,雪洞を利用するとテントなしで装備も軽量で行動できるので,積極的に前進基地として利用する登山計画もたてられるようになっている。雪洞は積雪が多い雪の斜面に穴を掘るわけだが,雪崩の危険や風向などに対する判断,天井の沈下による埋没などを考えながら数人の生活空間をつくり出す必要があり,労働量も大きく,かなりの技術を要する。洞内は外気より4~5℃暖かいが,炊事などによる酸素の消費などもあり,洞穴の換気にはとくに注意しなければならない。雪面の傾斜や雪質により各種の形態がある。
執筆者:徳久 球雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
雪の洞穴、または雪に穴を掘って住むこと。世界の多雪地で冬期の貯蔵庫など各種の用途で利用され、秋田県の「かまくら」などもこの変型といえよう。登山の雪中露営の方法としては1929年、ドイツ隊がカンチェンジュンガ登山に用いたのが初めといわれる。テントなしで装備も軽量で行動できることから、単に避難用、倉庫用などだけでなく、積極的に雪洞やイグルーを前進基地として利用する前提で登山計画をたてることも少なくない。
積雪が豊富で、雪崩(なだれ)の危険のない斜面に穴を掘るわけだが、数人が生活できるような空間をつくりだすためには、かなりの労働量と熟練が必要である。したがって雪洞の製作は冬山登山のたいせつな技術の一つである。天候によっては、天井が沈下したり、風雪で入口が埋没したりすることもある。洞内の換気にはとくに注意が必要で、炊事などによる酸素の消費を、換気を完全にすることで防がなくてはならない。
[徳久球雄]
灯火具の一種。手燭(てしょく)または燭台に紙、絹布などをはった火袋(ほぶくろ)を取り付けたもの。これを「ぼんぼり」というのは、「ほんのり」の語の転訛(てんか)で、灯火を紙、絹布などで覆い、火影がほのかに透いてさだかならぬをいったという。初め広く灯火、茶炉(さろ)などに取り付けた覆いのことであったが、ついで、小形の行灯(あんどん)をいうようになり、のち、もっぱら紙、絹布などをはった火袋を取り付けた手燭、燭台をよぶようになった。その火袋には、普通、口を開いた六角筒のものが用いられ、ほかに円筒形、棗(なつめ)形、蜜柑(みかん)形のものなども用いられた。雪洞の手燭は、もっぱら臨時の手元・足元の照明に利用され、雪洞の燭台は、常夜灯として座敷などに据え置かれた。いまでも雪洞の燭台は、3月の雛(ひな)人形の飾り段や園遊会の会場などに装飾灯として用いられている。
[宮本瑞夫]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…水晶珠の大型のものを装束念珠(しようぞくねんじゆ),装束数珠と呼ぶなど,種別による名称もある。扇には,畳んだ時に先端が広がっている中啓(ちゆうけい)と,中啓より先端の狭い雪洞(ぼんぼり)とあり,いずれも骨は朱塗が多い。これらと別に,ヒノキの薄板を連ねて作った檜扇(ひせん∥ひおうぎ)もしばしば用いられる。…
※「雪洞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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