(読み)わけ

  • ▽別
  • はか・る
  • べち
  • べつ
  • 漢字項目

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

の一つ。またの名。「和気」とも書く。本来5世紀前後の天皇族の名につけられた尊称。この姓の氏族は皇別出身の伝承をもち,地名を氏とした国造が多のが特色で,畿内およびその周辺や西国に分布していた。 (→和気氏 )

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

[名・形動ナリ]べつ(別)」に同じ。
「―によき家を造りて住ませければ」〈宇治拾遺・九〉
[名・形動]
ある物事と他の物事との区別。けじめ。違い。「公私のをはっきりさせる」「男女のなく採用する」
一緒ではないこと。それぞれ違っていること。また、そのさま。「それとこれとは問題がだ」「親とはな(の)住まい」「会計をにする」
そのものでないこと。他のものであること。また、そのさま。「な(の)家を探す」「な(の)手段を講じる」
他のものと、また普通のものと異なること。また、そのさま。特別。「本給とはな(の)手当がつく」
わかれること。いとまごい。→別に
「夜に及んで―を告げ戸外に出んとす」〈織田訳・花柳春話
[音]ベツ(慣) ベチ(呉) [訓]わかれる わける わかつ
学習漢字]4年
いっしょにいたものが離れ離れになる。「別居別離哀別一別永別訣別(けつべつ)告別死別生別惜別餞別(せんべつ)送別離別
ある特徴によって物事を分け離す。それによって分けられるけじめや違い。「鑑別区別戸別個別差別識別種別峻別(しゅんべつ)性別選別大別判別分別(ふんべつ)分別(ぶんべつ)類別
それとは違った。ほかの。「別館別冊・別字・別荘別途別名
とりわけ。特に。他と異なる。「別格別懇別状別段格別特別
[名のり]のぶ・わき・わく・わけ
古代の姓(かばね)の一。皇族の子孫で地方に封ぜられたという氏族の姓。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

古代日本における有力者の称号の一つ。和気,和希,獲居,和居とも表記され,統治権を分かちあうというから出た称号で,5世紀以前の王(天皇),地方首長がひとしく名の下につけていた。別の称号のもっとも古い用例は,埼玉県行田市稲荷山古墳から出土した鉄剣銘文の中にみえる〈弖已加利獲居〉〈多加披次獲居〉などの人名に付けられている〈獲居〉である。《古事記》《日本書紀》および《和気系図》などの古系図にみえる人名に付けられている別を分析すると,別の称号は応神天皇であるホムダワケ(誉田別)のような人名が天皇の名前から消えていくことと並行して,地方豪族の人名にもみられなくなり,そしてそれに代わって天皇は〈大王〉,諸豪族は〈〉〈君〉〈直〉などのカバネ的称号を称するようになるのが5世紀後半からであったことが知られていた。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

〘自ラ下二〙 =わかれる(別)
※万葉(8C後)二〇・四三五二「道の辺のうまらの末(うれ)に這ほ豆のからまる君を波可礼(ハカレ)か行かむ」
[補注](1)上代東国方言と考えられる。
(2)用例の歌の序詞の意から「波可礼」を「ハガレ」と読み「剥ぐ」の自動詞と解し、無理やりに引き離される意とする説もある。
〘名〙 (「べち」は「別」の呉音)
① (形動) =べつ(別)
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「べちの祿」
※仮名草子・浮世物語(1665頃)一「生れ付き心々は別(ベチ)なるぞかし」
② (形動) =べつ(別)
※源氏(1001‐14頃)横笛「黄金百りゃうをなむべちにせさせ給ひける」
※浮世草子・世間胸算用(1692)二「別(ヘチ)に替った事もなけれども」
〘名〙
① (形動) 異なること。同じでないこと。また、そのさま。べち。
※名語記(1275)五「そばへ、別の戸をあけて、煙をいだす所をくどとなづく」 〔礼記‐楽記〕
② (形動) 並みと同じでないこと。特別なこと。また、そのさま。格別。べち。→別に
※名語記(1275)九「別の子細 ある歟」
③ けじめを立ててわけること。区別。差別。
※花柳春話(1878‐79)〈織田純一郎訳〉一八「尚ほ一事の在るあり以て方今の別を為す」 〔礼記‐昏義〕
④ わかれ。いとまごい。
※浮世草子・風流曲三味線(1706)三「竹様と太夫様と別(ベツ)の時にお床でたかせられた、はつねといふ一焼のあまり」 〔鮑照‐東門行〕
⑤ 花柳界で、芸者が客と交情すること。〔新時代用語辞典(1930)〕
〘名〙 令制前の姓(かばね)の一つ。皇別の氏(うじ)の姓。地方を治めた家柄の姓として多く、元来は皇族出身で、地方官として下った者が、地名に冠して用いたのがはじめと伝承される。
※古事記(712)中「其れより余(ほか)の七十七王は、悉くに国々の国造、亦和気(ワケ)、及(また)稲置・県主に別け賜ひき」
[補注](1)この「わけ」のケは上代特殊仮名遣で乙類にあたり、下二段動詞「わく(分)」の連用形名詞とみられる。
(2)四七一年のものとされる埼玉稲荷山古墳出土鉄剣銘に「乎獲居(ヲワケ)」などの例があり、「古事記」では「天石戸別(あめのいはとワケ)神」(上)「伊邪本和気(いざほワケ)命」(下)のように「別」または「和気」と表記されている。高貴な血筋を分けた者の意であり、それが地方に封ぜられた皇族にも与えられたのであろう。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

旺文社日本史事典 三訂版の解説

古代の姓 (かばね) の一つ
地方豪族に多い。大王家出身者が地方官として下り,地名と結びついた残りとされる。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

今日のキーワード

朝三暮四

《中国、宋の狙公(そこう)が、飼っている猿にトチの実を与えるのに、朝に三つ、暮れに四つやると言うと猿が少ないと怒ったため、朝に四つ、暮れに三つやると言うと、たいそう喜んだという「荘子」斉物論などに見え...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

別の関連情報