ケレス(読み)けれす(英語表記)Ceres

翻訳|Ceres

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケレス」の意味・わかりやすい解説

ケレス(小惑星)
けれす
Ceres

小惑星。1801年1月1日、イタリアシチリア島のパレルモ天文台長ピアッツィ発見した第一号小惑星。数学者ガウスにより軌道が計算され、火星木星の間で太陽の周りを公転する新惑星であることが確かめられた。軌道の半長径2.77天文単位(4億1400万キロメートル)、離心率0.078、軌道傾斜角10.6度、公転周期4.6年である。衝のころの平均光度は7.9等で、直径は1003キロメートルと求められており、表面反射能は0.054でかなり暗い色をしている。2006年以降、国際天文学連合(IAU)総会で定義された準惑星となる。

[村山定男]



ケレス(古代ローマの女神)
けれす
Ceres

古代ローマの古い穀類の女神。今日知られる限りでは、ローマ固有の祭祀(さいし)をもつこの女神の聖所は確認されていない。つまり、ケレス崇拝は完全にギリシア的であり、ギリシアの影響によって成立したといわれる。紀元前496年にギリシアのデメテルディオニソスの宗教がローマに移入され、さらにその3年後、初めてケレスの神殿がアウェンティヌスの丘に奉献されると、ローマ古来の女神の姿は失われ、今日知られているようなデメテルと同一視されたケレス崇拝ができあがった。

 またそれまでローマの諸神殿はエトルリア人の方式を手本としてきたが、ここに初めてギリシア様式およびギリシアの絵画や彫像による装飾が用いられたという。デメテルなどの穀類や酒の神々が迎え入れられたのは、ローマがエトルリアとの戦争により国土が疲弊し、飢饉(ききん)に襲われたからで、このことから、ケレスは大地母神と類似した性格をもっていたことが知られる。ケレスの祝祭はケレアリアCerealiaとよばれ、4月19日がその祭日であった。

[伊藤照夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケレス」の意味・わかりやすい解説

ケレス
Ceres

準惑星の一つ。かつて小惑星に分類され,そのなかで最大とされたが,2006年以降準惑星に分類されることになった。直径 910km,公転周期 4.6年。 1801年1月1日ジュゼッペ・ピアッツィが発見。その後見失ってしまったが,数学者カール・フリードリヒ・ガウスによって最小二乗法による軌道計算がなされ,同年 12月 31日にウィルヘルム・オルバースが再発見した。

ケレス
Ceres

ローマ神話の女神で,ギリシア神話のデメーテルと同一視された。作物の生育と成熟を司る母神として,地母神テルスと密接に結びつけられていたが,デメーテルの影響で,ディオニュソスと同一視されたリベルやペルセフォネと同一視されたリベラの両神とともにギリシア的な祭祀を受けるようになり,デメーテルとまったく同化した。

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