原子番号Zの原子は原子核とZ個の電子とからなり,電子は原子核のまわりを運動している。電子の運動は量子条件を満たす軌道運動に限られる。軌道には1s,2s,2pなどの名前がつけられている。1s軌道,2s軌道にはそれぞれ2個,2p軌道には6個の電子が収容可能で,その他の軌道にもそれぞれ定員があり,電子はできるだけエネルギーの低い軌道に入る。一つの電子配置においては,個々の電子の軌道運動のエネルギーは一定であるが,電子間の相互関係によって,原子全体のエネルギーは高い状態になることもあり,低い状態になることもある。ドイツのフントFriedrich Hund(1896~1997)は,1925年に原子の基底状態(もっともエネルギーの低い状態)について,原子スペクトルの実験データから,次の2項目の規則的現象を見いだした。すなわち,(1)もっともエネルギーの低い電子配置において,電子の合成スピンが最大の状態が原子の基底状態である。(2)合成スピン最大の状態がいろいろある場合は,その中で合成軌道角運動量の最大の状態が原子の基底状態である。
これをフントの規則と呼び,ごく少数の例外はあるが,一般に,原子の世界を支配している法則と見られている。今日の知識によれば,2個以上の電子のスピンや軌道角運動量がそろっている場合には,パウリの原理が働いて,電子間の距離が大きくなり,クーロン反発のエネルギーが低下して,原子のエネルギーが低くなるのである。
執筆者:伊藤 敬
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
原子の電子配置が不完全殻をなしている場合には,一般に全軌道角運動量量子数Lおよび全スピン量子数Sの異なるいくつかの準位(項)が生じるが,それらのなかでエネルギーのもっとも低いのは最大のSをもつ準位であり,また最大のSをもつ準位がいくつか存在する場合には,それらのなかで最大のLをもつものがエネルギー的にもっとも安定であるという経験則.F. Hundによって見いだされた.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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