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エボラ出血熱 エボラしゅっけつねつ Ebola haemorrhagic fever

11件 の用語解説(エボラ出血熱の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

エボラ出血熱
エボラしゅっけつねつ
Ebola haemorrhagic fever

エボラウイルスによる感染症。感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律で1類感染症と定義される。ウイルスの保有動物は齧歯類やコウモリなどが考えられている。「エボラ」の名は,ウイルスが初めて分離・採取された患者の住んでいた,コンゴ民主共和国 (旧ザイール) の村を流れる川の名に由来する。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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知恵蔵2015の解説

エボラ出血熱

エボラウイルスによって起こる感染症。血液、汗などの体液、嘔吐(おうと)物、便などの排泄(はいせつ)物に接触することでヒトからヒトへ感染し、潜伏期間2~21日間を経て、発熱、脱力感、頭痛といったインフルエンザに似た症状が現れて発症する。その後、嘔吐や下痢、発疹、肝機能や腎機能に異常がみられ、更に悪化すると出血しやすく止血しにくい状態(出血傾向)に陥ることがある。
1976年にスーダンで初の症例が見つかってから、アウトブレイク(地域的に限定された流行)は20数回起こっており、最高で90%にも上る致死率の高さで知られている。世界保健機関(WHO)によれば、2014年1月を起点とする西アフリカのアウトブレイクは、その患者数で過去最大規模のものになった。35週を経た8月31日の時点で患者数は3685人、このうち53%が死亡している。エボラウイルスの五つのタイプのうち、致死率が最も高いザイール型であるとされている。
予防ワクチンや確立された治療法はまだなく、患者は疑いがある段階の人も含め隔離した上で、既存の抗菌薬や輸血、輸液などによる対症療法が行われている。だが致死率が高いことから、WHOは2014年のアウトブレイクに際し、予測できない副作用について患者と医療者の間でインフォームド・コンセントを得るなどの条件付きで、未承認のワクチンや治療薬の投与を認めた。
潜伏期間中は感染しないが、発症した患者は感染力を持つ。初期症状がマラリアラッサ熱にも似ているため臨床症状のみでは確定診断は下せないが、ウイルスの遺伝子検査の結果を待つ間にも感染が拡大していくので、疑いのある患者は全て隔離し、接触時は完全に防護してケアに当たる必要がある。
日本の感染症法においては、一類感染症に指定されており、診断した医師は直ちに保健所に報告することが義務付けられている。なお、エボラウイルスを取り扱える施設のバイオセーフティレベル(格付け)は、WHOの指針により最高位の4とされているが、日本国内にはまだレベル4の施設はない。
出血傾向を示さない症例もあることから、EVHD(Ebola virus hemorrhagic fever:エボラウイルス出血熱)ではなく、EVD(Ebola virus disease:エボラウイルス病)という呼称が用いられることが多くなってきている。

(石川れい子 ライター / 2014年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

エボラ出血熱

エボラウイルスに感染して起こる。高熱や頭痛などの後、嘔吐(おうと)や下痢、出血などの症状が出る。致死率が高い。患者の血液など体液に触れた際、傷口や粘膜などからウイルスが入って感染する。ワクチンや治療法は開発途上で確立しておらず、症状を軽くする治療が主だ。 2014年に西アフリカギニアリベリアシエラレオネで感染が広がり、欧米でも発症が確認された。WHOによるとこれまでに1万1315人が死亡。日本で発症者は見つかっていない。

(2016-01-19 朝日新聞 朝刊 2外報)

出典|朝日新聞掲載「キーワード」
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デジタル大辞泉の解説

エボラ‐しゅっけつねつ【エボラ出血熱】

エボラウイルスの感染による、致死率の高い急性の感染症。突然の発熱・脱力感・筋肉痛・頭痛・のどの痛みなどに始まり、嘔吐・下痢、腎機能や肝機能の低下がみられ、さらに悪化すると出血しやすくなる。発症した患者の血液・体液・排泄物などに接触することで人から人へ感染する。潜伏期間は2日から3週間。エボラウイルス病。EVD(Ebola virus disease)。EHF(Ebola hemorrhagic fever)。
[補説]名称は、ザイール(現コンゴ民主共和国)のエボラ川近くに住む患者からウイルスが発見されたことに由来。1976年以降、中央アフリカ諸国でしばしば流行が確認されている。

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百科事典マイペディアの解説

エボラ出血熱【エボラしゅっけつねつ】

エボラウイルスを病原体とする,致命率の高い出血性熱病。1976年,アフリカのコンゴ民主共和国のエボラ川周辺で大流行したことから,この病名がつけられた。これまでコンゴ民主共和国のほか,スーダンでも発生。
→関連項目感染症予防法

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家庭医学館の解説

えぼらしゅっけつねつ【エボラ出血熱 Ebola Haemorrhagic Fever】

[どんな病気か]
 齧歯類(げっしるい)やコウモリが保有していると考えられているエボラウイルスの感染でおこります。ウイルスで汚染されたものに触れたときに、皮膚の小さな傷から感染することが多いのですが、重症な人からの飛沫感染(ひまつかんせん)もあります。
 アフリカ中央部に常在します。
[症状]
 潜伏期間は4~16日で、高熱、腰痛(ようつう)、眼球結膜炎(がんきゅうけつまくえん)、咽頭炎(いんとうえん)、せきをともなう胸痛(きょうつう)などがおこります。ついで嘔吐(おうと)、下痢(げり)(血便(けつべん))が始まり、歯肉出血(しにくしゅっけつ)、鼻出血(びしゅっけつ)などの出血傾向がみられるほか、かゆみのない斑(はん)や丘疹(きゅうしん)のような発疹(ほっしん)が全身に現われます。
 病人の約半数は、4~10病日ごろに強い中毒症状と播種性血管内凝固症候群(はしゅせいけっかんないぎょうこしょうこうぐん)(「播種性血管内凝固症候群(DIC)」)で死亡しますが、もちこたえると3週間以降回復にむかいます。
[治療]
 この病気の回復期にある病人の血漿(けっしょう)の注射が有効です。

出典|小学館
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大辞林 第三版の解説

エボラしゅっけつねつ【エボラ出血熱】

〔エボラ(Ebola)は患者の住んでいた村の川の名〕
1976年にスーダンとコンゴ(旧ザイール)の国境付近で流行した、ウイルス性出血熱。症状が進行すると吐血・鼻出血など全身にわたって出血傾向を呈し、致命率は70パーセント以上に達する。感染症予防法で、危険性が極めて高い一類感染症に分類される。国際感染症の一。

出典|三省堂
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知恵蔵miniの解説

エボラ出血熱

エボラウイルスによる急性熱性疾患。1976年、ザイール(現コンゴ民主共和国)で初めて確認された。発症は突発的で進行が早く、下痢や嘔吐、高熱などを引き起こし、罹患者の約70%は皮膚・消化管などから出血する。確立された治療法がなく、ワクチンもない。致死率は25~90%。急性期の患者との直接接触により人から人に伝染する。アフリカ中央部での発生が多く、2000年~01年にウガンダ共和国で425名が感染し225名が死亡したのが過去最大の被害となっている。14年2月9日、西アフリカ・ギニア共和国で初めて感染が確認され、同年3月25日現在までに80人が感染、このうち59人が死亡した。約200万人が住む首都コナクリでも死亡者2名が確認されており、拡大が懸念されている。

(2014-3-26)

エボラ出血熱

野生動物からヒトに感染しヒトの間でも広がる、エボラウイルスによるウイルス性の感染で、感染すると頭痛や発熱など風邪のような初期症状が出、やがて激しい下痢や嘔吐に見舞われ、血液が凝固できなくなり、体内や体外で出血する。死亡患者のほとんどが平均10日で死に至っている。致死率は90%に達するといわれている。2014年、西アフリカでエボラ出血熱の感染が拡大し、現地で治療に当たっている国際医療支援団体の「国境なき医師団」は、「流行が前例のない勢いで広がり、制御できない状況に陥った」と発表した。世界保健機関(WHO)が14年6月27日に発表したまとめによると、これまでに感染者や感染が疑われる患者は3カ国で635人に上り、このうちおよそ400人が死亡した。WHOは、国境を越えてさらに感染が拡大していくことに警戒感を強めており、対応策を話し合うため14年7月2日から2日間、ガーナで近隣11カ国の保健担当の閣僚を集めた緊急会合開催を決定した。

(2014-6-30)

エボラ出血熱

エボラウイルスが引き起こす急性熱性疾患の感染症であり、きわめて死亡率の高いウイルス性出血熱(VHF)疾患。ウイルス感染源は患者の血液、分泌物、排泄物や唾液等の飛沫などで、エボラウイルスの自然宿主の特定には至ってはいない。ウイルスの感染力は強く、発症は突発的で進行も早い。潜伏期は2〜21日。インフルエンザのような症状が進み、重篤化する。患者全員に共通する症状は発熱と頭痛であり、患者の80%に腹痛、咽頭痛、筋肉痛、胸部痛が、患者の70%に出血(吐血、口腔歯肉、消化管)が見られ、出血は死亡例の大部分で見られる。致死率は50~90%と非常に高く、治癒しても失明・失聴・脳障害などの重篤な後遺症を残すことがほとんど。感染予防のためのワクチンはなく、治療は対症療法のみである。2014年、西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネの3カ国で感染が過去最大規模で拡大し、8月時点で729人が死亡。また現地では、感染が広がり続けるなか、医師や看護師などが死亡する事例も相次いでおり、WHO(世界保健機関)によると、これまでに60人以上の医療従事者が死亡した。その事態を受け、アメリカ疾病対策センターは警戒レベルを最も高いレベルに引き上げ、3カ国への不要な渡航を控えるよう勧告している。また、日本の外務省も渡航の延期を勧告している。

(2014-8-4)

出典|(株)朝日新聞出版発行
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

エボラ出血熱
えぼらしゅっけつねつ
Ebola haemorrhagic fever

死亡率の高いウイルス性出血熱のひとつ。日本では感染症予防・医療法(感染症法)により、1類感染症に分類され、検疫法により検疫感染症検疫伝染病)に指定されている。1995年ザイール(現在のコンゴ民主共和国)で流行、315人が感染し77%の244人が死亡した。また1996年にはガボンで約50人が感染、約30人が死亡した。症状は、風邪のような高熱と頭痛から始まり、血管が破れ、血が固まらず、吐血や下血、口内など全身から出血する。重いと数日で死亡する。1976年スーダン南部とザイールで637人が感染、7割が死亡したのが最初の流行で、翌年、ザイールのエボラ川近くの患者から原因ウイルスが発見された。ガボンではチンパンジーから感染したといわれるが、ウイルスの自然宿主はまだわかっていない。2005年12月、ガボンの医学チームは感染するが発病しないコウモリを発見、宿主の可能性を報告した。有効な治療法はないが、血液感染のため、患者の血液に触れなければ二次感染はおこらない。アフリカでは病院の注射器や看護者を通じて感染が広がった。[田辺 功]

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世界大百科事典内のエボラ出血熱の言及

【伝染病】より


[国際伝染病]
 1977年6月10日,厚生大臣の諮問機関である国際伝染病小委員会で決められた行政上の名称で,〈国内に常在せず,予防法,治療法が確立していないため,致命率が高く,かつ伝染力が強いので,患者及び検体の取扱いに特殊の施設を必要とする特定の伝染病〉と定義されている。ラッサ熱,マールブルク病,エボラ出血熱の各ウイルス性疾患が該当する。これらはいずれも人獣共通伝染病で,サハラ以南のアフリカ諸国,とくに西アフリカに風土病的に存在するものとみられるが,院内感染での致命率が高いところから注目された。…

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