デジタル大辞泉 「エボラ出血熱」の意味・読み・例文・類語
エボラ‐しゅっけつねつ【エボラ出血熱】
[補説]名称は、ザイール(現コンゴ民主共和国)のエボラ川近くに住む患者からウイルスが発見されたことに由来。1976年以降、中央アフリカ諸国でしばしば流行が確認されている。
エボラウイルスが原因の感染症で、致死率が高いことから感染症法で一番危険な病気に分類されている。血液や体液を介してうつる。主な症状は発熱や頭痛など。必ずしも患者が出血するわけではないことから、海外では最近「エボラウイルス病」と呼ばれる。コンゴ(旧ザイール)で流行しており、世界保健機関(WHO)は7月、ウイルスが地理的に広がる恐れがあると緊急事態を宣言した。
更新日:
出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
エボラウイルス(Ebola virus:EV)に感染することによって発症する急性ウイルス性感染症。エボラウイルスは空気感染することはなく、感染者の血液や体液および排泄(はいせつ)物などに直接触れたり、それらに汚染された注射針などを介して感染する。エボラ出血熱(Ebola hemorrhagic fever:EHF)は長い間使われてきた疾患名だが、出血症状を伴わないこともあるため、近年ではエボラウイルス病(Ebola virus disease:EVD)の呼称が使われることも多い。ラッサ熱、マールブルグ病(出血熱)、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱などとともに、ウイルス性出血熱(Viral Hemorrhagic Fever:VHF)とよばれ、致死性の高い感染症の一つとされる。日本では感染症法において1類感染症に指定されている。
エボラウイルスはマールブルグウイルスと同じフィロウイルス科に属するウイルスで、名前の由来は、最初の患者が中部アフリカのコンゴ民主共和国(旧、ザイール)を流れるエボラ川流域の住民だったことによる。自然環境でのエボラウイルスの宿主はコウモリと考えられており、ウイルスを保有しているコウモリに触れたり食したりすることでヒトに感染する。コウモリからサルなどの野性動物に伝播(でんぱ)し、そこからヒトに感染することもあると考えられる。
1976年にコンゴと南スーダンで流行をみたのが最初で、その後もコンゴやスーダンおよびガボンなど中央アフリカを中心に流行がみられ、さらに東アフリカのウガンダや西アフリカのギニアなどでも流行が報告されている。アフリカに流行が多いのは、葬式の際に死者の体に直接触れる風習によるところも大きいと考えられている。近年では2014年に西アフリカのギニアを中心に集団発生し、翌2015年にかけて複数国にまたがって流行するアウトブレイクが起こり、1万1000人以上が死亡している。
症状は通常2~21日の潜伏期間を経て、一般に突発的な高熱および頭痛、極度の倦怠(けんたい)感、筋肉痛や咽頭(いんとう)痛に始まり、嘔吐(おうと)や下痢などの消化器症状、肝臓でのウイルス増殖による肝腫脹(しゅちょう)から右季肋(きろく)部の圧痛や叩打(こうだ)痛をきたし、腎(じん)機能障害が生じることもある。さらに悪化すると吐血や下血ほか全身の出血傾向を呈するようになり、重症となると死に至る。致死率は50~90%とされる。
エボラウイルスに対するワクチンは、現在開発が進められており、WHO(世界保健機関)は、カナダ政府が開発したワクチンが、高い確率でエボラ出血熱を予防するとした臨床試験の結果を発表している(2016年12月)。このワクチンが実用化されれば、エボラウイルスの感染を防ぐ初めてのワクチンとなる。
[編集部 2017年8月21日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…
[国際伝染病]
1977年6月10日,厚生大臣の諮問機関である国際伝染病小委員会で決められた行政上の名称で,〈国内に常在せず,予防法,治療法が確立していないため,致命率が高く,かつ伝染力が強いので,患者及び検体の取扱いに特殊の施設を必要とする特定の伝染病〉と定義されている。ラッサ熱,マールブルク病,エボラ出血熱の各ウイルス性疾患が該当する。これらはいずれも人獣共通伝染病で,サハラ以南のアフリカ諸国,とくに西アフリカに風土病的に存在するものとみられるが,院内感染での致命率が高いところから注目された。…
※「エボラ出血熱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
一度利用した製品を捨てずにそのまま再使用すること。ごみの削減に重要だとされる「3R」の一つで、衣類・服飾品や家電などさまざまな品目が取り扱われている。リユース商品の専門店やイベント、フリーマーケット...