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フランスのピアノ奏者。ショパン演奏に一時期を画した。パリ音楽院を卒業,翌1897年デビューして輝かしい成功をおさめた。その後ワーグナーに傾倒してバイロイトに行き,1902年《神々のたそがれ》と《パルジファル》のパリ初演を指揮。05年チェロのカザルス,バイオリンのティボーと結成したカザルス・トリオは,20世紀最高のピアノ三重奏団といわれた。17年母校のピアノ教授に就任したが意見が合わず辞任,19年エコル・ノルマル・ド・ミュジックを創立,後進の育成に力を注いだ。52年来日。テンポ・ルバートを極度に活用したショパンのほか,フランク,ドビュッシー,ラベルの近代フランス音楽の解釈に独特の詩情をみせた。
執筆者:岩井 宏之
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フランスのピアノ奏者。テンポ・ルバートを極限まで利用、ショパン演奏に一時期を画したほか、シューマンやドビュッシーでも独自の境地を示した、20世紀前半を代表する大家の一人。スイスのニヨンに生まれ、幼時パリに移る。パリ音楽院を卒業した翌1897年にデビューしたが、ワーグナーに心酔してバイロイトに行き、ワーグナー研究に没頭、帰国後は指揮者としてワーグナーの楽劇のパリ初演に尽力した。1905年、チェロのカザルス、バイオリンのチボーとカザルス三重奏団を結成、室内楽の普及に大きく貢献。17年パリ音楽院の教授に就任したが、教育方針をめぐって学校当局と意見が対立、辞任。19年エコール・ノルマル・ド・ミュジックを創立して院長となり、後進の指導と育成にあたった。その間、独奏者としても活躍を続け、世界的な名声を確立。52年(昭和27)に来日したが、そのときはすでに技巧が著しく衰えていた。しかし熟成したロマン的感覚に根ざしたその演奏は、聴き手の琴線に触れることが多く、その片鱗(へんりん)は残されたレコードで味わうことができる。
[岩井宏之]
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