コレジョ(英語表記)Collegio[ポルトガル]

精選版 日本国語大辞典 「コレジョ」の意味・読み・例文・類語

コレジョ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ポルトガル語] collegio, colégio )[ 異表記 ] コレジヨ・コレジオ 聖職者養成と日本人に対する西洋文化教授の目的で設けられた、キリシタンの学校。天正八年(一五八〇豊後府内(大分市)に創設され、のち迫害のため天草長崎などに移転、慶長一九年(一六一四)まで続いた。活字印刷を用いて辞書物語を刊行するなど西洋文化の移植に大きく貢献

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「コレジョ」の意味・わかりやすい解説

コレジヨ
Collegio[ポルトガル]

イエズス会東インド巡察師バリニャーノにより,1580年(天正8)豊後の府内に設立された神学院。ヨーロッパ人イルマン(修道士)と豊後の臼杵ノビシアド(修練院)で修練期を終えた者が入学し,哲学,神学,自然科学,ラテン語,日本語と日本文学,仏法などを学んだ。戦乱と迫害のために,山口,肥前生月島の山田,長崎,千々石(ちぢわ),有家(ありえ),加津佐,天草,長崎に移動して1614年(慶長19)まで続き,キリスト教思想とヨーロッパの学問の日本移植に功績を残した。新来のヨーロッパ人宣教師に日本語を教える語学コレジヨも1580年に大村に設立されたが,坂口,神ノ浦,長崎に移動し,同じく1614年まで続いた。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「コレジョ」の意味・わかりやすい解説

コレジヨ

イエズス会東インド巡察使バリニャーノが,1581年豊後府内(現大分市)に創設した神学院。ポルトガル語で大学の意。のち戦乱と迫害により九州各地を転々と移動。同じ年に肥前大村に開設した語学コレジヨも西九州を流転した。開講科目は哲学・神学・ラテン語・日本文学など。活字印刷機によるキリシタン版出版も行った。徳川家康禁教令により1614年解散。→セミナリヨキリシタン学校

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

山川 日本史小辞典 改訂新版 「コレジョ」の解説

コレジヨ

イエズス会士養成のためのキリシタンの神学校。1580年(天正8)豊後国府内(現,大分市)にイエズス会巡察師バリニャーノによって創設された。日本人司祭養成を目的とするキリシタンの教育組織として,セミナリヨ,ノビシヤド,コレジヨの3課程が整備された。最終課程のコレジヨは1551年(天文20)のザビエル布教以来,大友宗麟の保護のもとでキリシタンの中心地となっていた府内が選ばれた。87年豊臣秀吉によるバテレン追放令のため,平戸,千々石(ちぢわ),有家(ありえ),加津佐(かづさ)を転々とし,91年天草に移ったが,97年(慶長2)閉鎖。倫理神学・日本文学・ラテン文学が講義され,キリシタン版の出版など文化的に多大な影響を与えた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コレジョ」の意味・わかりやすい解説

コレジヨ
Collegio

カトリック教会の高等教育施設の一つ。日本では天正8 (1580) 年イエズス会士 A.バリニャーノにより豊後府内 (大分市) に創設された。同 14年島津氏の侵入によって焼失し,山口に移り,さらに加津佐 (島原半島南西端) ,天草を経て長崎へ移転。聖職者の養成とヨーロッパ文化の伝達を目的として,哲学,神学,一般教養を教え,教義書や辞書,物語などの印刷出版も行なった。 (→キリシタン版 , セミナリオ )  

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のコレジョの言及

【南蛮文化】より


[教育活動]
 社会事業活動とともに特筆されるのはイエズス会の教育活動で,同会は幼児教育を重視し,1561年(永禄4)以降83年(天正11)までに200余りの教会付属の学校を設け,宗教教育を助けた。同会は教育事業を布教の手段としてではなく教会の本質的任務とみなし,79年来日した巡察師バリニャーノは日本人司祭養成の必要を痛感し,まずキリシタン子弟の教育のため有馬と安土にセミナリヨを,さらに高等教育機関として豊後府内にコレジヨを,また修道者のためにノビシアド(修練院)を臼杵に設けた。セミナリヨは6年課程で3段階のカリキュラムからなり,ラテン語,自然科学,日本文学,音楽,絵画および印刷術が教えられた。…

※「コレジョ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

世界の電気自動車市場

米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...

世界の電気自動車市場の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android