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スコポラミン scopolamin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

スコポラミン
scopolamin

ヒヨスチンともいう。アトロピンと同様,ベラドンナ,ロート,マンダラ,ヒヨスなどのナス科の植物の葉や根に含まれるアルカロイド副交感神経遮断剤である。抗アセチルコリン作用はアトロピンと同じである。中枢神経系に対しては,アトロピンがまず興奮的に作用し,次いで抑制に移るのに対して,スコポラミンは最初から抑制的に作用する。主として運動機能の興奮を抑制し,睡眠を誘発するが,感覚機能抑制作用はない。臨床的には,鎮痙,鎮静の目的のほか,精神病の発揚状態,パーキンソン症候群のように筋強直や振戦をきたす疾患,麻酔前投薬,消化性潰瘍などに,臭化水素酸スコポラミンが用いられる。副作用は一般の副交感神経遮断剤と同様である。

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百科事典マイペディアの解説

スコポラミン

化学式はC17H21O4N。鎮痛・鎮静薬。アトロピンとともにナス科植物などに含まれるアルカロイド。散瞳(さんどう)作用,中枢神経抑制作用が強い。
→関連項目チョウセンアサガオロートエキス

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世界大百科事典 第2版の解説

スコポラミン【scopolamine】

ナス科のヒヨスヨウシュチョウセンアサガオに含まれるアルカロイド。1分子の水を含んで結晶し,水にはあまり溶けないが,有機溶媒には可溶。左旋性を示す。薬理作用としては,抗コリン作用と中枢神経作用がある。抗コリン作用はアセチルコリンに対する拮抗作用で,副交感神経の伝達を遮断する。アトロピンの作用に似るが,散瞳作用は強い。中枢神経作用としては,鎮静作用により,まず疲労感,次いで眠気を起こし,眠りに導く(1~3mg)。

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大辞林 第三版の解説

スコポラミン【scopolamine】

多くのナス科の植物に含まれるアルカロイドの一種。副交感神経抑制薬。中枢抑制作用もみられ、時に幻覚作用も起こす。臭化水素酸スコポラミンとして鎮痙・乗り物酔いの予防などに用いられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

スコポラミン
すこぽらみん
scopolamine

ナス科の植物のヒヨスの種子や葉、ヨウシュチョウセンアサガオ、シロバナチョウセンアサガオの種子などから得られるアルカロイドの一つで、ヒヨスチンhyoscineともよばれる。
 ヒヨスチアミンとともに存在し、日本薬局方にはスコポラミン臭化水素酸塩水和物として収載されている。副交感神経遮断薬で、その作用は一般的にアトロピンより速く、消失も速い。鎮けい剤として麻薬と併用して用いられる。代表的なものにアヘンアルカロイドスコポラミン注射液、弱アヘンアルカロイドスコポラミン注射液がある。麻酔前投与薬としても用いられ、また、特発性および脳炎後パーキンソニズムを適応とする。
 また、スコポラミン臭化水素酸塩水和物の注射液のほか、誘導体であるブチルスコポラミン臭化物(錠剤、注射液、坐薬(ざやく))、メチル硫酸N‐メチルスコポラミン(錠剤)が、それぞれ胃・十二指腸潰瘍(かいよう)などのけいれん性疼痛(とうつう)の緩和に繁用されている。[幸保文治]

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世界大百科事典内のスコポラミンの言及

【チョウセンアサガオ】より

…チョウセンアサガオやD.inoxia Mill.の花を洋金花(ようきんか),種子を曼陀羅子(まんだらし)という。ヒヨスチアミンのほかにスコポラミンscopolamineを含む。花は麻酔作用が強く,中医方で他の生薬と配合して筋肉注射による外科手術用全身麻酔剤とし,また胃痛,リウマチ性関節痛に用いられる。…

【ハシリドコロ】より

…根茎は生薬のロート根(こん)となり,ベラドンナの日本産代用品とする。有毒成分は複数のアルカロイドで,ヒヨスチアミンhyoscyamine,スコポラミンscopolamineなどを含み,胃痛,胃痙攣(いけいれん),十二指腸潰瘍などに用いられるロートエキスやアトロピンatropine(ヒヨスチアミンのラセミ体)の製造原料とする。 ハシリドコロ属はヨーロッパ,ヒマラヤ,東アジアに7種が知られ,すべて有毒植物である。…

【ヒヨス】より

…葉からとったヒヨスエキスが薬用となる。鎮痛・鎮痙(ちんけい)作用のあるアルカロイド,ヒヨスチアミンおよび少量のスコポラミンscopolamineを含む。アルカロイドの原料植物として世界各地で栽培される。…

【自律神経薬】より

…臨床上の用途としては,瞳孔散大,制汗,胃酸分泌抑制,消化管運動抑制,気道分泌抑制などがある。天然アルカロイドとして,アトロピン,スコポラミンがあるが,それらの化学構造を変換して多数の合成代用薬がつくられている。
[自律神経節興奮薬ganglion stimulant agent]
 自律神経節細胞を興奮させる天然アルカロイドとしては,ニコチンとロベリンが古くから知られている。…

【チョウセンアサガオ】より

…チョウセンアサガオやD.inoxia Mill.の花を洋金花(ようきんか),種子を曼陀羅子(まんだらし)という。ヒヨスチアミンのほかにスコポラミンscopolamineを含む。花は麻酔作用が強く,中医方で他の生薬と配合して筋肉注射による外科手術用全身麻酔剤とし,また胃痛,リウマチ性関節痛に用いられる。…

【ハシリドコロ】より

…根茎は生薬のロート根(こん)となり,ベラドンナの日本産代用品とする。有毒成分は複数のアルカロイドで,ヒヨスチアミンhyoscyamine,スコポラミンscopolamineなどを含み,胃痛,胃痙攣(いけいれん),十二指腸潰瘍などに用いられるロートエキスやアトロピンatropine(ヒヨスチアミンのラセミ体)の製造原料とする。 ハシリドコロ属はヨーロッパ,ヒマラヤ,東アジアに7種が知られ,すべて有毒植物である。…

【ヒヨス】より

…葉からとったヒヨスエキスが薬用となる。鎮痛・鎮痙(ちんけい)作用のあるアルカロイド,ヒヨスチアミンおよび少量のスコポラミンscopolamineを含む。アルカロイドの原料植物として世界各地で栽培される。…

【有毒植物】より

…そのため昔から宗教儀式に用いられた形跡がある。ナス科のチョウセンアサガオ,ハシリドコロなどはスコポラミンやヒヨスチアミン(アトロピン)などのアルカロイド成分が副交感神経の働きを抑え,大量では中枢を麻痺させるので瞳孔の散大,口渇,腹痛をおこしついには狂騒の果てに痙攣を生じ心臓麻痺による死を招く。世界にさきがけて全身麻酔を行った華岡青洲の通仙散には,チョウセンアサガオの葉が用いられた。…

※「スコポラミン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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