タイワン(台湾)(読み)タイワン(英語表記)Taiwan

翻訳|Taiwan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タイワン(台湾)」の意味・わかりやすい解説

タイワン(台湾)
タイワン
Taiwan

中国南東,タイワン島を中心とする地域。中国のフーチエン(福建)省タイワン(台湾)海峡で隔てられる。ポンフー(澎湖)群島などの付属島嶼を含めて面積 3万6197km2。先住民はマレー系で,漢民族の移住は明代に始まった。天啓4(1624)年オランダ人が現在のタイナン(台南)市の地に極東貿易の根拠地を築いたが,永暦15(1661)年鄭成功に追われ,康煕22(1683)年清朝によって台湾府が置かれた。日清戦争の結果日本に割譲され,1946年中国領に復した。1949年タイペイ(台北)市中華民国中国国民党)政府の所在地となり,その統治が続いている。タイペイ市,カオシュン(高雄)市の 2中央直轄市がある。
東部を南北にチョンヤン(中央)山脈が貫き,その西にシュエシャン(雪山)山脈ユイシャン(玉山山脈などが並行する。主脈はいずれも標高 3000mをこえる高峰連なり,最高点はユイ(玉)山の 3952m。平野は西のタイワン海峡側に発達しており,北からタイペイ盆地タオユワン(桃園)台地タイチョン(台中)盆地タイナン(台南)平原ピントン(屏東)平原などがあげられる。ほぼ中央を北回帰線が通り,気候は亜熱帯性で,平地では冬季も降霜,降雪をみない。自給用の作物水稲サツマイモトウモロコシラッカセイ,柑橘類,野菜で,商品作物としてはサトウキビ,バナナ,パイナップル,チャ(茶)が主である。ニワトリアヒル,ブタの飼育も多い。山地は森林に覆われ,ベニヒ,タイワンヒノキなどの用材を産し,低山部では樟脳(しょうのう。→カンファー)の産出が多い。山間の盆地や緩傾斜地ではアワやサツマイモが栽培され,焼畑農業が広く行なわれた。工業は紡織,食品,セメント,木材加工,機械,化学などが 1960年代から急速に発達した。1970年代からは鉄鋼,石油化学,造船などの重化学工業化が推進され,近年は情報処理,自動車産業の発達が著しい。カオシュン市,タイチョン(台中)市には外国企業の誘致と輸出の振興をはかる輸出加工区が設けられた。住民のほとんどは初期の移民の子孫で,台湾先住民は人口の約 2%を占める。人口 2348万7000(2021推計)。

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