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タバコ(煙草) タバコNicotiana tabacum; tobacco

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

タバコ(煙草)
タバコ
Nicotiana tabacum; tobacco

ナス科の多年草であるが,温帯で栽培すると一年草になる。熱帯アメリカの原産で高さ 2mほどになり,太い茎に大きな厚い葉を互生する。短い葉柄の基部には翼があってなかば茎を抱く。茎や葉に粘りけのある腺毛を密生する。夏に,茎頂に大きな円錐花序または総状花序を出して,深いらっぱ形の花をつける。花は昼間だけ開き,長さ3~4cmの花筒の上部は5裂して星形に開く。この葉を乾かして発酵させ,喫煙嗜好料とする。多数の品種が知られ,キューバ,トルコ,フィリピンなどで栽培される葉巻用の葉の広い品種群と,シガレット用の葉の細い群とがある。日本で栽培されているのはバージニア系とメリーランド系に大別される。なお,本種以外の同属の植物は約 100種あり,南北アメリカ,オーストラリア,熱帯アジアなどに分布する。そのうち北アメリカ産の N. rusticaはヨーロッパでたばこ用として栽培されている。製造たばこは,喫煙用たばこ,噛たばこ,嗅たばこに大別され,喫煙用は紙巻き,葉巻き,刻みなどに分けられる。乾葉中には4%程度のアルカロイドが含まれているが,その主成分ニコチンは猛毒である。タバコの栽培は南北アメリカのインディアンによって始められ,医薬用や儀礼用として広く愛用されていた。コロンブスらの探検家によって 16世紀後半に医療品としてヨーロッパに持込まれたが,たちまち全ヨーロッパに喫煙の風習が広がり,日本や他の東洋諸国にも普及したのは 17世紀初頭という早さであった。日本におけるタバコの栽培は,「たばこ専売法」 (昭和 24年6月施行) により日本専売公社の許可が必要とされ,たばこの製造,販売も公社の独占であったが,1985年4月公社は「日本たばこ産業株式会社」として民営化され,同年4月1日施行の「たばこ事業法」により,たばこ製造を除き,外国たばこの輸入と販売が自由化された。喫煙によるニコチンおよびタールの人体への影響が近年大きな問題となり,日本においてもニコチン分の少い種類が喜ばれ,タールを防ぐフィルターつきが,紙巻きのほとんどの種類を占めている。

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百科事典マイペディアの解説

タバコ(煙草)【タバコ】

熱帯アメリカ原産のナス科の多年草。しかし温帯では一年草。高さ1〜2.5m,葉は卵形で互生し,長さ60cm内外,夏,漏斗形の淡紅〜白色の花を総状につける。高温の地を好むが温床の利用により温帯北部でも栽培される。ただし多湿条件には不適である。普通,早春に播種,苗を移植し,夏収穫。乾燥させた葉は樽(たる)につめられ1〜2年堆積,発酵を促し,のち工場で発酵,加熱,加香などして味付けされる。世界生産量の1/5以上は米国で,ほかに中国,インド,ブラジル,トルコなどが主産地。甘味ある黄色種,軽いバーレー種,香り高いオリエント種,葉巻種などが主。日本では葉巻種以外はほとんどの品種が栽培され,茨城,福島,熊本などが主産地。主成分はニコチン。葉を重ね巻いた葉巻(シガー),細かく刻み,煙管(きせる)やパイプで吸う刻みタバコなどもあるが紙巻(シガレット)が一般的。味を柔らかくするためのフィルター付紙巻も作られている。また特殊なものに,鼻に粉をすりつける嗅(かぎ)タバコ,香料などを加えおし固めた噛(かみ)タバコなどがある。 喫煙はアメリカ・インディアンの風習であったが,コロンブスの新大陸到達後,ヨーロッパへ伝来。以後,各国に広まった。日本へは16世紀にポルトガル人がもたらしたといわれ,たちまち普及して,煙管,タバコ入れ,タバコ盆などの喫煙具も発達した。明治以後,タバコ生産は一段と発達したが,政府はまず1876年にタバコ税を課し,1904年には製造から販売までを国家が独占する専売制をしいた。この制度は1949年以後は日本専売公社が運営,1985年4月以後は専売制の廃止に併い日本たばこ産業が製造・販売。 タバコの成分のうち特に人体に悪影響を与えるのはニコチンとタール分で,強度の喫煙によりニコチン中毒が起こり,タール分は肺癌(はいがん)の発生に関係するとされる。少なくとも統計的にはタバコ(特に紙巻)常用者に,肺癌発生率が高いことが明らかにされている。なお日本では法により未成年の喫煙は禁止されており,1972年から米国の例にならって有害表示がなされている。また,非喫煙者がタバコ煙にさらされ吸煙を強いられている状態は受動喫煙と呼ばれ,その危険性が指摘されている。→嫌煙権
→関連項目きせる(煙管)コロンブス嗜好作物

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世界大百科事典 第2版の解説

タバコ【タバコ(煙草)】


【作物としてのタバコ】

[種類,形状]
 ナス科タバコ属Nicotianaの植物で,通常一年草。タバコ属は現在65種が発見され,多くはニコチン,アナバシンなど数種類のアルカロイドを含んでいる。現在栽培されているのはそれらのうちニコチンを主アルカロイドとするタバコN.tabacum L.(英名tobacco)(イラスト)とマルバタバコN.rustica L.(英名Aztec tobacco)である。後者は旧ソ連など限られた地域にしか栽培されておらず,栽培タバコのほとんどは前者である。

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世界大百科事典内のタバコ(煙草)の言及

【岩谷松平】より

…西南戦争で店を焼かれた後上京し,1878年薩摩名産品を商う〈薩摩屋〉を開店。その後岩谷商会を設立,84年ごろ薩摩名産の国府葉を原料にした口付き紙巻きタバコ〈天狗煙草〉の製造販売を開始した。彼は宣伝のために銀座の店舗を屋根から壁まで真っ赤に塗り,自身も赤い洋服,赤い帽子で赤塗りの馬車に乗って人目を引いた。…

【癌】より

…肝臓癌は東南アジアやアフリカにも多いが,この場合は,肝炎ウイルスとともにアフラトキシンによる食物の汚染も重要視されている。インドなど,タバコやビンロウの実や葉をかむ習慣のある地方では口腔癌が多発している。エジプトやイラクに膀胱癌が多いのは,エジプトジュウケツキュウチュウ(住血吸虫)症がその誘因をなしている。…

【煙】より

…煙は一般に物質の不完全燃焼によって発生するが,その発生機構および成分は非常に複雑である。たとえばタバコの煙は,主として巻紙の炭化部分より少し後方で起こる蒸発・熱分解過程で発生した成分が空気中で急冷され凝縮の結果生じる。1cm3中に1010個程度の煙粒子を含み,粒径は0.2μm前後である。…

【ニコ】より

…不幸にも本書は大量に売れ残り,出版者は扉のみ1621年と刷り直した偽装再版を作って残部をさばこうとした。なおリスボン滞在中ニコは新大陸渡来のタバコを入手して王母カトリーヌ・ド・メディシスに献上し,世上フランスにタバコを初めてもたらしたのは彼とされた。自らの辞典にもその名をもとにニコティアーヌnicotianeの名で説明があり,またニコチンの名も後に彼にちなんでつけられたものである。…

【ニコチン】より

タバコNicotiana tabacumに含まれるアルカロイドで,C10H14N2,分子量162.23。タバコ葉中ではリンゴ酸塩またはクエン酸塩として存在し,乾燥含量は1~8%。…

※「タバコ(煙草)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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