テトロドトキシン(英語表記)tetrodotoxin

翻訳|tetrodotoxin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

C12H19N3O9フグに含まれる猛毒。一般に産卵期 (冬~春) の卵巣に多く含まれている。白色柱状晶。分解点 249℃。水に溶ける。ナトリウム能動輸送抑制による膜安定化作用があり,アセチルコリン遊離も阻害される。鎮痛運動麻痺,鎮痙作用がある。

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世界大百科事典 第2版の解説

フグ毒fugu poisonのこと。フグ食用に供する日本ではフグ毒による中毒死も多く,フグの美味とともにその恐ろしさが〈フグは食いたし命は惜しし〉ということわざにまでなっている。フグ毒の化学的な研究は1909年田原良純によって始められ,毒素にテトロドトキシンと命名された。50年,横尾晃により結晶として単離され,64年,津田恭介ウッドワードR.B.Woodward,平田義正らの各研究グループによって独立に化学構造が明らかにされた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アルカロイド系の毒素。化学式C11H17N3O8で表される。フグ毒としてもっとも有名な毒素で、フグの卵巣および一部肝臓にも含まれる毒の主要成分。フグの種によっては皮に強い毒力をもつものもある。

 フグの学名はテトロドンであり、その毒成分(トキシン)の意味から、日本の薬学者田原良純(たわらよしずみ)によって1912年(大正1)にテトロドトキシンと命名された。神経毒の一つで筋や神経に作用する。中毒症状は、食後20分から2~3時間ほどの潜伏期間を経て比較的短時間で現れ、口唇や舌および四肢末端のしびれという麻痺(まひ)症状に始まり、これが全身に広がる。重症になれば運動麻痺、さらには呼吸筋の麻痺を引き起こし、呼吸困難に陥って死に至る。

[編集部 2017年3月21日]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (tetrodotoxin) フグ毒の主要成分。大正元年(一九一二)薬学者田原良純によって抽出・命名された。

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化学辞典 第2版の解説

C11H17N3O8(319.27).フグ属の魚類,とくにトラフグSpheroides rubripesおよびマフグS.porphyreusの卵巣に存在する猛毒物質.カリフォルニア産のイモリ,ツムギハゼ,コスタリカ産のカエルなどにも含まれている.融点を示さず220 ℃ 以上で着色分解する.-8.64°(希酢酸中).pKa 8.3.有機溶媒に不溶,希酢酸水溶液に可溶.最近(2003~2005年)三つの研究グループにより,D-グルコース誘導体から不斉合成された.神経におけるナトリウムイオン透過阻止作用をもつ.強い神経毒でLD50 10 μg/kg(マウス,腹腔).[CAS 4368-28-9]

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世界大百科事典内のテトロドトキシンの言及

【フグ(河豚)】より


[フグ毒]
 フグは数多い魚の中でも特別の珍味とされているが,ときにはこれを食べて中毒を起こし,死に至ることがある。この毒は田原良純により初めて卵巣から抽出され(1912),テトラドトキシン(現在はテトロドトキシンtetrodotoxin)と命名されたが,その後津田恭介によりC12H19O9N3なる分子式ときわめて特異な構造式が明らかにされた(1962)。これは一種の神経毒で,知覚および運動の麻痺を起こし,重症の場合は呼吸麻痺により死に至る。…

【魚貝毒】より


[フグ]
 日本の動物性自然毒中毒の大半を占め,死亡率も約50%と高い。毒の本体はテトロドトキシンで,15μg/kgの皮下注射でマウスを殺す猛毒である。アルカリ性では不安定であるが,中性ないし弱酸性では加熱してもかなり安定である。…

【フグ(河豚)】より


[フグ毒]
 フグは数多い魚の中でも特別の珍味とされているが,ときにはこれを食べて中毒を起こし,死に至ることがある。この毒は田原良純により初めて卵巣から抽出され(1912),テトラドトキシン(現在はテトロドトキシンtetrodotoxin)と命名されたが,その後津田恭介によりC12H19O9N3なる分子式ときわめて特異な構造式が明らかにされた(1962)。これは一種の神経毒で,知覚および運動の麻痺を起こし,重症の場合は呼吸麻痺により死に至る。…

※「テトロドトキシン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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