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16世紀から18世紀にかけてヨーロッパで重用された鍵盤付撥弦楽器の一種。チェンバロcembalo,クラビチェンバロclavicembalo(ともにイタリア語),クラブサンclavecin(フランス語)とも呼ばれる。一定の音高に調律された弦を,鍵に連動するプレクトラムで弾いて音を出す。この点が,ハンマーで弦を打って音を出すピアノとは大きく異なり,まったく別種のタッチを必要とする。弦を鍵盤と直角に張った現代のグランド・ピアノに似た形であるが,広義には弦の張り方が異なるスピネットやバージナルをも含めてハープシコード族と呼ばれることもある。図に示したように,鍵を打つと鍵の向こう端に立つジャックが飛び上がり,その側面に突き出た鳥の羽軸または革製のプレクトラムが弦を弾き鳴らす。鍵を離すとジャックは下りて元の位置に戻るが,その際ばねじかけの木片の動きによってプレクトラムは弦に触れずにくぐり抜け,フェルトが弦を押さえて音を消す。音域は時代により異なるが,5オクターブを超えるものもあり,鍵盤は2段のものが多い。さらにピアノと異なり,レジスター(ストップ)を備える。つまり,一つの鍵盤に複数セットの弦とジャックとが対応しており,ノブあるいはペダルの操作によってレジスターを切り替えたり組み合わせたりして,音域や音色を変えることができる。18世紀の典型的な楽器は,標準音高のレジスター(オルガンがパイプの長さで区別するのにならってこれを8フィートと呼ぶ)が2,1オクターブ高い4フィートが1,の計3レジスターであったが,1オクターブ低い16フィートが加わる場合もあった。
16世紀に,おもにイギリスの作曲家たち,アストンHugh Aston(1485ころ-1558),W.バード,ブルJohn Bull(1562ころ-1628)らの手によって,ハープシコード独自の音楽語法やジャンルが開拓されていった。これに続くバロック時代こそハープシコードが最も活躍した時代である。独奏楽器として(トッカータ,フーガ,組曲など),また当時の合奏で欠かすことのできない通奏低音の楽器として,さらにオペラなどのレチタティーボの伴奏楽器として,きわめて重要な役割を果たす。おもな作曲家は,フレスコバルディ,フローベルガー,パーセル,J.S.バッハ,D.スカルラッティらである。フランスではJ.C.シャンボニエール,F.クープラン,J.P.ラモーらが,装飾音を豊かに散りばめた華麗な作品を書いた。しかし18世紀も後半に入ると,ピアノの改良・普及に伴って,ハープシコードはピアノに取って代わられるようになる。エマヌエル・バッハ(《チェンバロとピアノのための二重協奏曲》1788)や初期のハイドンの作品には過渡的な状況が見られる。その後この楽器はいったん廃れたが,19世紀末から復興が試みられ,20世紀に入るとW.ランドフスカら優れたハープシコード奏者たちの活躍もあずかって,バロック音楽復興とともに広く愛好されるようになった。近代の作曲家による作品も増えつつある(M.deファリャ,F.プーランクら)。
執筆者:津上 智実
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…高速で回転するといしを用い,これに機械的にある一定の切込みを与えて行われるほか,といしに圧力を加えて研削を行う方法としてホーニングや超仕上げがあり,また砥粒のついたベルトにより加工するベルト研削加工もある。 遊離砥粒を用いて行う加工には,工具と加工物との間に砥粒あるいは砥粒と油などを混合したものを入れて,加工物を押し付けながら相対運動を行わせ,砥粒によりきわめて微小の切りくずを削りつつ加工を行うラッピング,砥粒を周囲に接着したホイール状の工具を高速回転させ,これに工作物を押し付けて加工するバフ仕上げ,バレルと称する容器内に砥材と工作物と工作液を入れて,回転または振動させて表面の仕上げを行うバレル加工などがある。なお切りくずを出す加工ではないが,滑らかな表面をもつ工具を加工物の表面に押し付けながら移動させ,加工物表面に塑性変形と加工硬化を生じさせながら滑らかな仕上面を得るバニシング加工も機械加工の中に含めることが多い。…
※「ハープシコード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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