ビッグ・バン(読み)びっぐばん(英語表記)Big Bang

翻訳|big bang

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ビッグ・バン
びっぐばん
Big Bang

宇宙が火の玉として始まる瞬間を表すことば。ビッグ・バンは、宇宙の姿は永遠に不変であるとする「定常宇宙論」の提唱者であるF・ホイルが、ベルギーのG・ルメートルの「宇宙は原始原子として生まれた」という理論をラジオ番組で紹介したとき、揶揄(やゆ)するような表現として使ったことばである。しかし、このことばはこの理論を的確に表現していることから、よく使われるようになった。1948年、G・ガモフらは、ルメートルの仮説を発展させ、宇宙に存在する元素の起源を説明するために、宇宙は火の玉で始まったという理論を提唱した。
 今日、ビッグ・バンとは、ルメートルの理論ではなくガモフの提唱した火の玉宇宙の始まりの瞬間を表すことばとなった。1929年、E・ハッブルによって宇宙は膨張していることが発見され、時間的にさかのぼれば宇宙は物質の密度がきわめて高い状態から始まったことになることがわかった。また、一般相対性理論の一つの解として宇宙が膨張することも、1922年、A・フリードマンによって、また、1927年、ルメートルによって示されていた。ガモフは原子核物理学の知識に基づき、宇宙初期では物質密度が高いだけでなく、もし温度もきわめて高かったとすれば、核融合反応により現在宇宙に存在するすべての元素が合成されるはずであるという、火の玉仮説を提唱した。この理論は、アルファーRalph Alpher(1921―2007)、ベーテBethe、ガモフGamowという3人の連名で発表され、著者の頭文字から、αβγ(アルファベータガンマ)理論とよばれている。高温高密度の中性子ガスで始まった宇宙では、中性子が崩壊して生じた陽子に中性子がくっつき軽い原子核がつくられ、さらにその原子核が次から次へと中性子捕獲とβ崩壊を繰り返しながらウラニウムに至るすべての元素が合成されるとしたのである。しかし宇宙初期で合成されるのは、水素、ヘリウム、リチウムなどの軽元素のみであることが、のちの理論や観測によって明らかになった。
 しかし、宇宙が火の玉で始まった証拠である宇宙マイクロ波背景放射が、1965年に発見され、定常宇宙論は否定され、ビッグ・バン理論は不動のものとなった。
 さらに「宇宙が膨張し温度が下がるにつれガスが固まり、恒星、銀河、銀河団など宇宙の構造がつくられていく」というシナリオは、多くの天文学的観測によって裏づけられ、今日の宇宙の標準理論となっている。[佐藤勝彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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