マラソン

デジタル大辞泉 「マラソン」の意味・読み・例文・類語

マラソン(marathon)

陸上競技の一。長距離のロードレース。正式の距離は42.195キロ。また一般に、長距離競走・耐久競走にもいう。マラソン競走。→ハーフマラソンフルマラソン
長い時間を費やして物事を行うことのたとえ。「マラソン外交」
[補説]1は、紀元前490年、ギリシャのアテネ軍が侵入したペルシア軍を撃破し、一人の兵士が戦場のマラトンからアテネまでの約40キロの距離を走り、戦勝を報じて死んだという故事に基づく。1924年以降、現行の距離となった。
(2024年9月現在)
世界記録男子:2時間00分35秒(2023年10月8日 ケルビン=キプタム ケニア)
世界記録女子:2時間11分53秒(2023年9月24日 ティギスト=アセファ エチオピア
日本記録男子:2時間04分56秒(2021年2月28日 鈴木健吾)
日本記録女子:2時間18分59秒(2024年1月28日 前田穂南)
[類語]競走レース競歩徒競走障害物競走駅伝競走耐久競走長距離競争持久走継走リレーレースメドレーリレーかけくらべかけっこ

マラソン(Marathon)

米国フロリダ州南部、フロリダキーズ諸島の中ほどにあるベイカーキーの中心地。

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精選版 日本国語大辞典 「マラソン」の意味・読み・例文・類語

マラソン

  1. [ 1 ] ( Marathon ) ⇒マラトン
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( [英語] marathon ) 陸上競技の長距離競走。紀元前四九〇年、アテナイの勇士が戦場のマラトンからアテナイまで走り続け、マラトンの戦いでの戦勝を報じて絶命したという故事にちなむ競技。オリンピック競技など、正式の競技では四二・一九五キロメートルに統一されている。転じて一般に、耐久競争のことをいう。マラソン競走。また、長い時間を費やしてなにかを行なうことのたとえにもいう。「マラソン交渉」 〔舶来語便覧(1912)〕

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百科事典マイペディア 「マラソン」の意味・わかりやすい解説

マラソン(スポーツ)【マラソン】

陸上競技の一種目。前490年,マラトンの戦で伝令がアテナイまでの約40kmを走って勝利を告げたという故事にちなむ。1896年のアテネオリンピックではマラトン古戦場からアテネの競技場までのロードレース(のちの実測では36.750km)を行った。1920年のアントワープオリンピックまで距離は40km前後でまちまちだったが,1921年に,1908年のロンドンオリンピックのときの距離42.195kmを正式距離と決定。1984年のロサンゼルスオリンピックからは女子マラソンも正式種目。コースは片道,往復,環状など特に規定はない。オリンピック大会の花とされ,また世界陸上競技選手権大会でも毎回もっとも注目される種目の一つとなっている。日本では1911年に初めて正式に行われ,金栗四三が優勝,1936年のベルリンオリンピックでは日本統治下の朝鮮の孫基禎が優勝。1964年の東京オリンピックでは円谷幸吉銅メダル,1968年のメキシコシティーオリンピックで君原健二が銀メダルを獲得したがその後は低迷している。女子では有森裕子が1992年のバルセロナオリンピックで銀メダル,1996年のアトランタオリンピックで銅メダルを獲得,2000年のシドニーオリンピック高橋尚子が日本陸上史上で女子初の金メダルを獲得,さらに2004年のアテネオリンピック野口みずきが金メダルに輝き,4大会連続でメダル獲得となり日本女子マラソンの黄金時代といわれた。しかしその後振るわず,2020年の東京大会に向けて抜本的な強化策の必要が指摘されている。2006年,ワールドマラソンメジャーズ(WMM)が結成され,オリンピック以外の主要大会でポイントを競う陸上競技シリーズが発足した。WMMはボストンマラソンロンドンマラソンベルリンマラソンシカゴマラソンニューヨークシティマラソンと2年に一度の世界陸上競技選手権マラソン。2013年から東京マラソンの参加が認められた。男女ともケニア,エチオピアなどアフリカ勢の優位が続いている。各地の国際大会では一般市民参加のマラソン大会とするところも多い。→ウルトラ・マラソン
→関連項目高地トレーニングザトペック瀬古利彦

マラソン(農薬)【マラソン】

有機リン系殺虫剤の一種。マラチオンとも。パラチオンの人畜毒性を軽減したもので,毒性は低い。速効性で稲のツマグロヨコバイ,ウンカに特効。野菜,果樹のアブラムシ,ダニ類その他害虫の防除にも使用され,ハエ,カなどの衛生害虫にも有効。(図)
→関連項目殺虫剤

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改訂新版 世界大百科事典 「マラソン」の意味・わかりやすい解説

マラソン
marathon

陸上競技の一種目。42.195kmを走る長距離のロードレース。前490年,アテナイがマラトンの戦でペルシアの大軍を破ったとき,一人の兵士がアテナイまでの約40kmの道を走って勝利を告げ,そのまま息絶えたという。1896年の近代オリンピック第1回大会(アテネ)が開かれる際,フランスの言語学者M.ブレアルがこの故事にならいオリンピック種目にマラソンを入れることを提唱,正式種目となった。このときはマラトンの古戦場からアテネの競技場まで約40kmだった。以来,第7回大会まで距離は40km前後で一定しなかったが,国際陸連は1924年の第8回パリ大会から現行の42.195kmに統一した。これは1908年の第4回ロンドン大会(ウィンザー城~ロンドン市内の競技場)の距離が基準となった。

 長い間〈肉体的に無理〉とされてきた女子マラソンは,1960年代後半からジョギング・ブームの延長としてマラソンを走る女性が出はじめ,女人禁制だったボストン・マラソンに男性にまぎれて参加するなど話題となった。その後72年ボストン・マラソンに女子選手の正式参加が認められて以来,急激に盛んになり84年のロサンゼルス・オリンピックから正式種目として登場した。日本でも1979年に女性だけの東京国際女子マラソンが初めて行われ,以後女子だけの大会も開かれるようになった。

 日本最初のマラソンは1911年に行われたストックホルム・オリンピック国内予選会で,のちに日本の〈マラソンの父〉といわれた金栗四三が優勝。以来,日本の人気種目の一つとなり,36年のベルリン・オリンピックでは朝鮮出身の孫基禎が優勝した。さらに第2次世界大戦後は,63年に寺沢徹,65年に重松森雄が世界最高を記録したほか,オリンピックでも64年東京大会3位の円谷幸吉,68年メキシコ大会2位の君原健二,92年バルセロナ大会2位の森下広一がメダリスト,世界選手権でも91年の第3回大会で谷口浩美が優勝した。女子は世界選手権第3回大会で山下佐知子が2位,93年の第4回大会で浅利純子,97年の第6回大会で鈴木博美がそれぞれ優勝した。さらにオリンピックでは,バルセロナ大会(2位)に続き96年アトランタ大会(3位)で2回連続メダリストに輝いた有森裕子,2000年シドニー大会優勝の高橋尚子,04年アテネ大会優勝の野口みずきなど,近年の日本女子マラソンは世界でも一,二を誇る強さと層の厚さを見せている。

 国内の大きな大会としては,歴史の古い福岡国際マラソン,別府大分毎日マラソン,びわ湖毎日マラソンに加え,最近では北海道マラソン(夏),東京マラソン,大阪国際女子マラソン,東京国際女子マラソン(2008年まで),名古屋国際女子マラソンなどが目白押しで,テレビの視聴率も高い。海外では大衆マラソンの元祖であるボストン・マラソン(アメリカ)が有名だが,ニューヨーク,パリ,ロンドン,ベルリン,シカゴ,アムステルダム,北京などの大都市でのマラソンが急増している。

 マラソンの規則では,飲食物は約5kmの間隔で用意することができ,また飲料水,スポンジは気象状況に応じて飲食物供給所のほぼ中間点,あるいはそれ以上の地点に用意できる。最近では給水時の混乱を防ぐために,選手の番号カードの下1けたの数字によってテーブルの場所を変えるなど選手が取りやすいよう工夫している。またかつては選手自身が取らなければ失格となっていた飲食物も,その後指定された役員ならば手渡してもよいと変更された。ほかにはさして制約はなく,コースも片道コース,折返しコース,巡回コースのいずれでもよい。したがってコース条件が著しく異なるため記録は公認されず,〈世界最高〉〈日本最高〉の表現が使われる。男子世界最高は第2次世界大戦前は2時間26分台だったが,戦後はオリンピック2連勝のアベベ(エチオピア)らによって短縮され,最近は2時間3分台,女子も2時間15分台に到達している。
陸上競技
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マラソン
Malathon



アメリカのアメリカン・シアナミド(ACC)社によって開発された低毒性有機リン酸エステル系殺虫剤。商品名であるが,日本ではマラチオンmalathionとともに一般名として用いられる。殺虫力はパラチオンやスミチオンにやや劣ることが多いが,速効的で残効性が少ないのが特徴である。イネ害虫ツマグロヨコバイの防除に多用されたが,近年この種の害虫に抵抗性が生じてきている。他の有機リン酸エステル系殺虫剤と同様,神経系のアセチルコリンエステラーゼの活性を阻害することによって殺虫力を示す。哺乳類に対する急性毒性は,50%致死量LD50=720~886mg/kg(マウス(雄),経口)と著しく低い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マラソン」の意味・わかりやすい解説

マラソン
marathon

陸上競技の距離競走の一つ。 42.195kmの公認長距離走路を走り,その着順を競う。古代ギリシアのマラトンの戦いの勝報を,一兵士がアテネまで約 40kmを走り抜いて知らせて,落命したという故事によってできた競技で,近代オリンピック第1回大会 (1896) から実施されたが,現在の距離に定着したのは 1924年にパリで開催された第8回大会からである。日本には 1900年頃から伝わっていたが,1909年に神戸-大阪間の長距離競走を「マラソン」と称したのが始まり。走路には 5kmごとに飲食物供給所を置き,その中間にはスポンジポイントを設けて水を供給する。

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とっさの日本語便利帳 「マラソン」の解説

マラソン

マラトン(Marathon)▼紀元前四九〇年、ペルシャの大遠征軍が海路アッティカに上陸。これを迎えたギリシャ軍は、マラトンの野で重装歩兵によってペルシャ軍の撃破に成功。ギリシャ軍の兵士は、勝利の報を伝えるためにアテネまでの約四〇kmを走り抜いた。マラトンはアッティカ東海岸の小村であり、戦跡には戦死者の塚が現在も残っている。この故事にちなんで、一八九六年に第一回近代オリンピックがアテネで開催された時にマラソン競走が始まった。現行の距離四二・一九五kmが定められたのは、第八回パリ大会から。

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世界大百科事典(旧版)内のマラソンの言及

【マラトンの戦】より

…マラトンの野に残る円墳(トロス)はアテナイ軍戦没者192名を弔った塚と信じられているが,近年発掘された〈プラタイアイ人の塚〉は発掘者の命名にもかかわらず,合戦との直接的関連性は薄い。なお近代オリンピックの競技種目マラソンは,勝利を告げる伝令が,〈われら勝てり〉と伝えて息絶えたという後代に生まれた伝承に基づく。ペルシア戦争【馬場 恵二】。…

※「マラソン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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