三山(読み)サンザン

デジタル大辞泉 「三山」の意味・読み・例文・類語

さん‐ざん【三山】

有名な三つの山。香具山かぐやま畝傍山うねびやま耳成山みみなしやま大和やまと三山月山がっさん湯殿山羽黒山出羽でわ三山など。
熊野三山」に同じ。

みやま

福岡県南部にある市。平成19年(2007)1月瀬高町山川町高田町が合併して成立長茄子などの野菜果実生産が、海岸部では海苔養殖が盛ん。人口4.1万人(2010)。

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精選版 日本国語大辞典 「三山」の意味・読み・例文・類語

さん‐ざん【三山】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 三つの山。特に、天香久山、畝傍山、耳成山の「大和三山」をさす。また、月山羽黒山、湯殿山の「出羽三山」、熊野本宮、新宮、熊野那智大社の「熊野三山」をもいう。
      1. [初出の実例]「出雲の国の阿菩の大神大和の国の畝火・香具山・耳梨の、三山相たたかふと聞かして」(出典:播磨風土記(715頃)揖保)
      2. 「三山の別当定遍僧都は無二の武家方にて候へば、熊野辺に御忍あらん事は成り難く覚へ候」(出典:太平記(14C後)五)
    2. さんざんかん(三山冠)」の略。
      1. [初出の実例]「三山。唐冠之時用之」(出典:深窓秘抄(室町中頃か))
  2. [ 2 ]
    1. [ 一 ] 中国で三つの仙山、蓬莱、方丈、瀛州の総称。三神山。
      1. [初出の実例]「嗟呼三山与五天。不知又不知」(出典:本朝文粋(1060頃)一〇・落葉声如雨詩序〈慶滋保胤〉)
    2. [ 二 ] 中国江蘇省江寧県、揚子江に臨んで連なる三峰の総称。

みつ‐やま【三山】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 三等分すること。また、そのもの。
      1. [初出の実例]「何でも三つ山の約束に」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油屋)
    2. 楊弓・大弓で、銭を賭物(かけもの)にするとき、九銭をいう符丁。きわ。
      1. [初出の実例]「銭を数ふる異称 〈略〉九銭、きは(際)或九騎打又三山」(出典:類聚名物考(1780頃)調度部一五)
    3. 紋所の名。三つの山を、その頂上を中心に円形に配して図案化したもの。
  2. [ 2 ] 謡曲。四番目物。宝生・金剛流。作者未詳。「万葉集」による。良忍上人が耳成山に行くと、里の女が来て、昔香具山に住む男が畝火山の里の桜子と耳成山の里の桂子の二人と契りを交したが、しだいに桜子の方に心を移したので桂子は池に身を投げて死んだという三山のいわれを語り、桂子を名帳(みょうちょう)に入れるように頼んで姿を消す。上人が桂子の跡を弔っていると、桜子の霊が狂乱の態で現われてざんげする。つぎに桂子の霊も現われて桜子を打ち散らすが、やがて恨みを晴らしてともに成仏する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三山」の意味・わかりやすい解説

三山
さんざん

14世紀から15世紀初期の沖縄に存在した三つの小国家の総称。沖縄本島の北部一帯に山北(さんほく)(または北山(ほくざん))が、中部地方に中山(ちゅうざん)が、南部地方に山南(さんなん)(南山(なんざん))が鼎立(ていりつ)し抗争を繰り返していた。

 12世紀前後から沖縄では按司(あんじ)とよばれる首長が登場し、それぞれ政治的地域小単位を形成して、相互に対立を繰り返すようになった。この争乱のなかから、より強大化した按司が出現し、他の按司を従属させて広域的な勢力圏を構築するようになる。やがて沖縄本島を中心に三つの小国家に集合されたが、山北の拠点は今帰仁(なきじん)城、中山の拠点は浦添(うらそえ)城(のちに首里(しゅり)城)、山南の拠点は島尻大里(しまじりおおざと)城であった(山南は内部抗争の結果、島添(しまそえ)大里城に拠点が移ったこともあるという)。1372年に中山王察度(さっと)が明(みん)に入貢して外交・交易関係を樹立すると、他の二山もただちに同様の関係を樹立して抗争を続けた。83年、明の太祖洪武帝(こうぶてい)は使臣を遣わして、対立をやめるよう三王に説諭したが、やまなかった。1406年、ダークホースのように登場する佐敷(さしき)按司尚巴志(しょうはし)は中山を攻略して覇権を手中にすると、16年には山北を、29年には山南を滅ぼして沖縄を統一し、琉球(りゅうきゅう)王国を発足させた。三山鼎立の時代を沖縄歴史では三山時代とも称している。

[高良倉吉]

『高良倉吉著『琉球の時代』(1980・筑摩書房)』

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とっさの日本語便利帳 「三山」の解説

三山

出羽三山▽月山(がっさん)、羽黒(はぐろ)山、湯殿(ゆどの)山
大和三山▽畝傍(うねび)山、香具(かぐ)山、耳成(みみなし)山

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

世界大百科事典(旧版)内の三山の言及

【琉球】より

…10~12世紀になってやっと米,麦などの穀類農耕が開始され,そのころに〈按司(あんじ)〉と呼ばれる首長が各地に登場しはじめていた。按司は〈ぐすく(城)〉と称する城塞を築造して抗争し,12世紀末から13世紀には舜天,英祖などの強大な按司が出現し,14世紀に入ると沖縄本島を中心に〈三山(さんざん)〉と呼ばれる小国家が出現した。北部には今帰仁(なきじん)城を拠点とする〈山北(さんほく)(北山)〉が,中部には浦添(うらそえ)城(のちに首里(しゆり)城)を拠点とする〈中山(ちゆうざん)〉が,南部には島尻大里(しまじりおおざと)城(一時は島添(しまそえ)大里城)を拠点とする〈山南(さんなん)(南山)〉が割拠して互いに覇を競った。…

【福建[省]】より

…省内でもっとも早く開けたところで,福州の名は唐代から始まる。市内に烏石山,于山,屛山が鼎立するので別名を三山ともいう。市域は旧市街と閩江を隔てた南台島とからなり,閩侯県を管轄する。…

※「三山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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