三番叟・三番三(読み)さんばそう

精選版 日本国語大辞典 「三番叟・三番三」の意味・読み・例文・類語

さんば‐そう【三番叟・三番三】

〘名〙
① 三番目に舞う翁(おきな)の意。
(イ) 能楽の祝言曲、式三番(しきさんば)で、第一に千歳(せんざい)が舞い、第二に翁が舞った後、三番目に狂言方が出てつとめる老人の舞。黒い面をつけて舞うところから、その面をもいう。三番申楽。
※多聞院日記‐天文一一年(1542)二月一三日「遠国にて猿楽三はさうにことをかきて、禅僧とまゐまゐとさるかゐとに行合たる間」
(ロ) 能から歌舞伎人形浄瑠璃に移入し、序幕の前に祝儀として舞うもの。特に歌舞伎では、「三番叟物」として発達し、晒(さら)し三番、舌出し三番、式三番、子宝三番、操(あやつ)り三番などの種目がある。
※俳諧・西鶴五百韻(1679)何餠「先三番三をはじめいはじめい〈西鶴〉 あいた所へてうとまいってぐっすりと〈西友〉」
② ①を模した人形あやつりの玩具。糸で上方から動かす南京操(なんきんあやつり)の人形をまねて、多くの糸をつけて、板からつるしたもの。〔洒落本・青楼昼之世界錦之裏(1791)〕
③ 物事の最初にすること。物事の手はじめ。序幕。
※洒落本・仇手本(1801)一「このところお定りのさかづきいで、まづさんばそうに玉子焼でさけをもってくる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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