日本大百科全書(ニッポニカ) 「中央環境審議会」の意味・わかりやすい解説
中央環境審議会
ちゅうおうかんきょうしんぎかい
環境に関する政策全般について議論し、政府に諮問・提言する環境省の審議会。中環審と略される。1993年(平成5)、環境基本法(平成5年法律第91号)の成立により、それまで公害対策を審議してきた中央公害対策審議会の業務などを引き継いで、同年11月に発足した。環境大臣などの諮問に応じて環境保全に関する重要事項について調査・審議するほか、内閣総理大臣らに環境政策などを提言する。政府の長期的な環境政策を体系づける環境基本計画についても意見を述べる。環境大臣が環境分野の専門家や有識者などから委員を任命する。委員の定員は30人以内で、任期は2年。エネルギー政策については経済産業省の総合資源エネルギー調査会が審議するが、中央環境審議会も地球温暖化問題など環境保全の観点から政策決定に一定の影響力をもつ。
中央環境審議会に諮問などをする必要があると明記された法律は循環型社会形成推進基本法、自然公園法、野性動植物保存法、動物愛護法、農用地汚染防止法、ダイオキシン類対策特別措置法、石綿被害救済法など広範におよぶ。このため中央環境審議会には総合政策部会、循環型社会計画部会、地球環境部会、土壌農薬部会、動物愛護部会など9の部会(2013年8月時点)がある。地球温暖化、大気汚染、土壌汚染、水質汚濁、騒音、悪臭、廃棄物などの対策のほか、環境税や炭素税の導入、排出量取引制度の創設、放射性物質のモニタリング基準、アスベスト被害者の認定基準、希少動植物の指定、国立公園・国定公園・鳥獣保護区などの指定や区分見直し、レジ袋有料化などについて答申や政策提言などを行っている。
[編集部]