デジタル大辞泉
「五徳」の意味・読み・例文・類語
ご‐とく【五徳】
1 五つの徳目。温・良・恭・倹・譲(「論語」)、智・信・仁・勇・厳(「孫子」)など。
2 金属や陶器で作った3本または4本脚のある輪。火鉢や炉の火の上にかぶせて立て、やかんや鉄瓶などをかける。
3 紋所の名。2の形を図案化したもの。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
Sponserd by 
ご‐とく【五徳】
- 〘 名詞 〙
- ① 中国古来の学説による万物組成の五元素。木・火・土・金・水の五つをいう。五行(ごぎょう)。
- [初出の実例]「於レ是四時更謝、寒暑往来、五徳逓遷」(出典:経国集(827)二〇・道守宮継対策文)
- [その他の文献]〔史記‐孟子伝〕
- ② 儒教でいう、温・良・恭・倹・譲の五つの徳目。〔論語集解‐学而〕
- ③ 「孫子‐始計」に見える兵家・武将の重んずべき五つの徳目。智・信・仁・勇・厳。〔新論‐兵術〕
- ④ 仏語。五種の徳。自恣五徳・瞻(せん)病五徳・戒師五徳などがある。また、「無量寿経」には経を説くとき、釈尊は禅定に入って五徳を現わしたという。
- ⑤ 守るべき五つの徳目。各種の分野で重んじられ、守るべき規律、約束事、知識などを五項目に分けたもの。
- [初出の実例]「五得ありと申せり。一能飛不越一屋。二能穴不隠一身。〈略〉五能縁不究一木」(出典:名語記(1275)六)
- ⑥ 俳諧で、五つの長所。俳諧の五つのまさった楽しみ。
- [初出の実例]「俳諧の集つくる事、古今にわたりて此道のおもて起べき時なれや〈略〉五徳はいふに及ばず、心をこらすべきたしなみなり」(出典:俳諧・猿蓑(1691)序)
- ⑦ 火鉢や炉の中に釜(かま)、鉄瓶(てつびん)、薬鑵(やかん)などをかける道具。三脚または四脚で、鉄・陶器製の輪。かなわ。
- [初出の実例]「裏座敷平三畳囲炉裏五徳すへ茶碗今やきに道具仕入て」(出典:宗湛日記‐天正一四年(1586)一一月二七日)
- ⑧ 紋所の名。⑦を図案化したもの。五徳、据五徳(すえごとく)、丸五徳(まるごとく)など。
五徳@据五徳
- ⑨ 鉄灸(てっきゅう)のこと。〔物類称呼(1775)〕
- ⑩ 夜駕籠(かご)が三挺並んでいくことを、駕籠かきなどがいう語。〔洒落本・古契三娼(1787)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
Sponserd by 
五徳
ごとく
中世からみえる地名。香春岳と牛斬山地との間に開けた谷奥の狭小な地で、金辺川支流の五徳川の上流域に比定される。永禄二年(一五五九)一〇月一日の佐田隆居手負注文(佐田文書/熊本県史料 中世篇二)に「於田川郡五徳小屋、当石衆注文」とあり、毛利方に通じた北豊前・北筑前の国人を制圧するために大友軍による香春岳城攻撃の前哨戦が当地で行われた。この戦闘で、毛利方の礫に当たって負傷者が出ている。西隣には夏焼庄(現田川市)があって早くから開発されたとみられ、鎌倉時代初期とみられる弥勒寺喜多院所領注進状(石清水文書/大日本古文書四―二)にみえる「護得名田」四〇町は当地の可能性が高い。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
Sponserd by 
五徳 (ごとく)
Wǔ dé
(1)土・木・金・火・水の五つの徳。中国,戦国時代に斉の騶衍(すうえん)は,王朝の交替,歴史の変遷を五徳の循環によって説明する,いわゆる五徳終始説をとなえた。それによると,循環は五行相勝(ごぎようそうしよう)の原理,すなわち〈木は土に勝ち,金は木に勝ち,火は金に勝ち,水は火に勝ち,土は水に勝つ〉とされる。それゆえ土徳に当たる黄帝の次には木徳に当たる夏王朝が興り,夏王朝の次には金徳に当たる殷王朝が興り,殷王朝の次には火徳に当たる周王朝が興り,周に代わって天下を統一するのは水徳の王朝(秦)である,と説かれた。
(2)人あるいは事物の五つの徳をさす。(a)《論語》に〈子貢曰く,夫子は温良恭倹譲,以て之を得たり〉と見えるところから,儒家は温・良・恭・倹・譲を身を修める五徳とする。(b)《孫子》は智・信・仁・勇・厳を将軍の備えるべき五徳とする。(c)《韓詩外伝》は文・武・勇・仁・信を鶏の五徳とする。なお,仁・知・義・礼・信は玉の五徳とされる。
→徳
執筆者:日原 利国
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
Sponserd by 
五徳
ごとく
いろりや土間(どま)の炉、火鉢の中に置き、鉄瓶や湯釜(ゆがま)などをかける道具。かなわ、かなご(鉄輪)ともよばれ、大きさには大小がある。直径7、8ミリメートル程度の鉄の棒を輪にし、それに同じく鉄の棒で3本の脚(あし)をつけたものが多い。3本の脚はそれぞれ先端を平たく打ち、内側に鉤(かぎ)状に曲げ、これを爪(つめ)とよぶ。使い方は、輪を上にして置く方法と、逆に爪を上にして輪を灰の中に埋めて使う方法がある。後者は茶道に始まった使用法といわれている。五徳には真鍮(しんちゅう)製、砲金(ほうきん)製、陶製、土製のものもあり、またテッキ、テッキュウ、吉原五徳、まむし五徳などといって長方形の四隅に脚をつけたものもある。これは渡し鉄が左右に動き、餅(もち)をのせて焼いたりもした。
[小川直之]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
Sponserd by 
普及版 字通
「五徳」の読み・字形・画数・意味
【五徳】ごとく
温・良・恭・倹・譲の五つの徳。他に五行の徳を配するものなどがある。〔論語、学而〕夫子(ふうし)(孔子)は
良恭儉讓、以て之れを得たり。字通「五」の項目を見る。
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
Sponserd by 
ごとく【五徳】
火鉢や炉などで炭火の上に立て、鉄瓶ややかんなどを置く、輪に3本または4本の脚のついた鉄製・陶製の道具。輪の方を下にして灰の中に据え、脚の先が爪になっていてその上に鉄瓶などを置く。また、ガスこんろのバーナーの上に鍋などを置くための、爪のついた枠もいう。
出典 講談社食器・調理器具がわかる辞典について 情報
Sponserd by 
世界大百科事典(旧版)内の五徳の言及
【かまど(竈)】より
…中原地方では扁平な形態をとり,上面に食器や魚,スッポンなどを表現するのに対し,広東地方ではかまぼこ形の形態をとり,ネズミや犬を配するなど地方色も濃厚に出ている。一方,底板を伴い獣足を付けた甑専用の焜炉とか輪に3足をつけたいわゆる鉄製の五徳も知られている。南北朝から隋・唐時代の明器では,焚口に凸字形の障壁を付け,1個の鍋をのせる簡単なものになる。…
【火鉢】より
…このほか籐製などもある。火鉢の付属品として火箸,灰ならし,五徳(ごとく)(炭火の上に置いて鉄瓶などをかける脚付きの輪,古くは金輪(かなわ)といった)が使われる。 火鉢は和風住宅の暖房器具を代表するものといえる。…
※「五徳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
Sponserd by 