出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
(1)土・木・金・火・水の五つの徳。中国,戦国時代に斉の騶衍(すうえん)は,王朝の交替,歴史の変遷を五徳の循環によって説明する,いわゆる五徳終始説をとなえた。それによると,循環は五行相勝(ごぎようそうしよう)の原理,すなわち〈木は土に勝ち,金は木に勝ち,火は金に勝ち,水は火に勝ち,土は水に勝つ〉とされる。それゆえ土徳に当たる黄帝の次には木徳に当たる夏王朝が興り,夏王朝の次には金徳に当たる殷王朝が興り,殷王朝の次には火徳に当たる周王朝が興り,周に代わって天下を統一するのは水徳の王朝(秦)である,と説かれた。
(2)人あるいは事物の五つの徳をさす。(a)《論語》に〈子貢曰く,夫子は温良恭倹譲,以て之を得たり〉と見えるところから,儒家は温・良・恭・倹・譲を身を修める五徳とする。(b)《孫子》は智・信・仁・勇・厳を将軍の備えるべき五徳とする。(c)《韓詩外伝》は文・武・勇・仁・信を鶏の五徳とする。なお,仁・知・義・礼・信は玉の五徳とされる。
→徳
執筆者:日原 利国
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
いろりや土間(どま)の炉、火鉢の中に置き、鉄瓶や湯釜(ゆがま)などをかける道具。かなわ、かなご(鉄輪)ともよばれ、大きさには大小がある。直径7、8ミリメートル程度の鉄の棒を輪にし、それに同じく鉄の棒で3本の脚(あし)をつけたものが多い。3本の脚はそれぞれ先端を平たく打ち、内側に鉤(かぎ)状に曲げ、これを爪(つめ)とよぶ。使い方は、輪を上にして置く方法と、逆に爪を上にして輪を灰の中に埋めて使う方法がある。後者は茶道に始まった使用法といわれている。五徳には真鍮(しんちゅう)製、砲金(ほうきん)製、陶製、土製のものもあり、またテッキ、テッキュウ、吉原五徳、まむし五徳などといって長方形の四隅に脚をつけたものもある。これは渡し鉄が左右に動き、餅(もち)をのせて焼いたりもした。
[小川直之]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…中原地方では扁平な形態をとり,上面に食器や魚,スッポンなどを表現するのに対し,広東地方ではかまぼこ形の形態をとり,ネズミや犬を配するなど地方色も濃厚に出ている。一方,底板を伴い獣足を付けた甑専用の焜炉とか輪に3足をつけたいわゆる鉄製の五徳も知られている。南北朝から隋・唐時代の明器では,焚口に凸字形の障壁を付け,1個の鍋をのせる簡単なものになる。…
…このほか籐製などもある。火鉢の付属品として火箸,灰ならし,五徳(ごとく)(炭火の上に置いて鉄瓶などをかける脚付きの輪,古くは金輪(かなわ)といった)が使われる。 火鉢は和風住宅の暖房器具を代表するものといえる。…
※「五徳」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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