精選版 日本国語大辞典 「以上・已上」の意味・読み・例文・類語
い‐じょう ‥ジャウ【以上・已上】
[1] 〘名〙
① ある数量や程度より上であること。
(イ) (数量、段階などの基準を表わす語について) その基準を含んでそれより上であることを示す。⇔以下(いか・いげ)。
※続日本紀‐文武天皇元年(697)八月壬辰「賜二王親及五位已上食封一各有レ差」
(ロ) (物事を比較するとき、一方の事柄を表わす語について) その他がそれより程度の著しいことを示す。
※古い玩具(1924)〈岸田国士〉一「黙ってゐるのが、云ひ出すのと同じくらゐ、いや、それ以上恐ろしいやうな気がするんです」
③ 箇条書、目録などの文書の終結部分に使う文言。しめくくりの意。
※相模三島神社文書‐大永二年(1522)九月一一日・伊勢北条印状家朱「定法度。一西郡大井之宮社領〈略〉。一神領之事〈略〉。一社人等事〈略〉。以上。右定置条、若背二此旨一輩有レ之付而者」
④ (男子の書状の末にしるしたところから) 男のことをしゃれていう語。
※雑俳・柳多留‐四(1769)「師匠さまかしこと以上別に置」
⑤ 上にあげた事柄。今まで述べた事柄。
※雑俳・柳多留‐六(1771)「けんきゃうの娘以上へやる気也」
⑦ (接続詞のように用いる)
(イ) その後。また、その結果。つまり。
※平治(1220頃か)上「親類皆梟(けう)せられ、已上義朝一人にまかりなり候へば」
(ロ) 全部で。合わせて。合計。
[2] 〘副〙 どうしても。まるっきり。
※人情本・縁結月下菊(1839)上「さっきから考へますが、いじゃうわけがわかりませぬ」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二「あせる計りで凄み文句は以上見附からず」
[語誌]「以上」で示される基準に達しない場合は、「以下」あるいは「未満」を用いて表現する(「五人以上」⇔「四人以下・五人未満」)。現代語では「以下」は基準となる数値を含んでその数値を割る場合、「未満」は基準となる数値を含まないで、その数値を割る場合である。なお、古典語の場合、基準となる数値を含むかどうかは必ずしも厳密ではない。
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