(読み)ギョウ

デジタル大辞泉 「仰」の意味・読み・例文・類語

ぎょう【仰】[漢字項目]

常用漢字] [音]ギョウギャウ)(漢) コウカウ)(慣) ゴウ(ガウ)(呉) [訓]あおぐ おおせ おっしゃる
〈ギョウ〉
上を見あげる。あおぐ。「仰臥ぎょうが仰角仰視仰天仰望俯仰ふぎょう
人を見あげて敬う。「欽仰きんぎょう鑽仰さんぎょう
大げさ。「仰山大仰おおぎょう
〈コウ・ゴウ〉あがめる。「渇仰かつごう景仰けいこう信仰しんこう
[名のり]たか・もち

ぎょう〔ギヤウ〕【仰】

[形動]近世語程度のはなはだしいさま。仰山ぎょうさん。→仰仰ぎょうぎょうしい
「―にお江戸は賑やかだ」〈黄・栄花夢

ごう【仰/業】[漢字項目]

〈仰〉⇒ぎょう
〈業〉⇒ぎょう

こう【仰】[漢字項目]

ぎょう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「仰」の意味・読み・例文・類語

おおせおほせ【仰】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おおす(仰)」の連用形の名詞化 )
  2. 上位者のいいつけを敬っていう。おいいつけ。御命令。
    1. [初出の実例]「この玉取りえでは家に帰り来なとのたまはせけり。各仰承てまかりぬ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. 「それ程御存じの筈〈略〉それをいかにお主様の命(オホセ)だとて」(出典:二人比丘尼色懺悔(1889)〈尾崎紅葉〉怨言)
  3. ( 「いいつける」語気が薄い場合 ) おっしゃること。おことば。
    1. [初出の実例]「北の方〈略〉典薬を呼びすゑて〈略〉といへば、典薬がいらへ『ことわりなきおほせなりや〈略〉』と述べ申したるに」(出典:落窪物語(10C後)二)
    2. 「ハイ、仰(アフセ)の通り、どうも目上に縁がございません」(出典:怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉二〇)

ぎょうギャウ【仰】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 程度のはなはだしいさま。おおげさなさま。仰山。
    1. [初出の実例]「Guiôna(ギョウナ) ヒト〈訳〉物事を大げさに言う人」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    2. 「それはさほどな事でもござらぬ。越後のかたはぎゃうな事」(出典:咄本・軽口大わらひ(1680)三)

仰の語誌

→「ぎょうさん」「ぎょうぎょうしい」の語誌


あおあふ【仰】

  1. 〘 名詞 〙 上向きのさま。おもにあおむきの寝姿をいう。
    1. [初出の実例]「あをになるを あをのけだま」(出典:浜荻(庄内)(1767))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「仰」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

[字音] ギョウ(ギャウ)・ゴウ(ガウ)
[字訓] あおぐ・おおせ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(こう)。は二人相対する形であるが、上下の関係を以ていえば、上からは抑、下からは仰となり、左右では(迎)となる。仰は〔説文〕八上に「擧ぐるなり。人に從ひ、に從ふ」と会意に解するが、その訓も字義に適切でなく、字もその構造法からは形声としてよい。の繁文で、仰ぐことをいう。〔詩、小雅、車(しやかつ)〕に「高山は(あふ)ぐ」と、なおの字を用いている。

[訓義]
1. あおぐ、したう。
2. おおせ、命令。
3. たのむ、よる、まつ。
4. 昂と通じ、たかい。

[古辞書の訓]
名義抄〕仰 アフグ・タノム・ノタマフ・オホス・ネムコロ/俯仰 ワレニモアラズ・フシアフグ 〔字鏡集〕仰 アフグ・カタブク・ネンゴロ・ノゾム・オボス・タノム・オホセ・オヨブ

[語系]
仰ngiang、・昂ngangは声義が近い。〔説文新附〕七上に「昂は擧がるなり」とあり、〔説文〕は昂の声義を以て仰を解したのであろう。

[熟語]
仰閲・仰屋・仰荷仰臥・仰感・仰観仰企・仰窺・仰泣・仰給仰欽仰顧仰亢・仰高仰嗟仰賛・仰止・仰視・仰思・仰・仰首・仰手・仰承・仰食・仰属仰羨仰瞻仰訴・仰奏・仰息・仰仰眺仰鴆・仰天・仰倒・仰登・仰毒・仰攀・仰披・仰鼻・仰仆・仰俯・仰眄・仰慕・仰奉・仰望・仰秣・仰薬・仰頼・仰禄
[下接語]
愛仰・畏仰・嘉仰・渇仰・欽仰・敬仰・景仰・慶仰・虔仰・高仰・祗仰・視仰・夙仰・聳仰・属仰・信仰・瞻仰・戴仰・俯仰・覆仰・眄仰・慕仰・遥仰

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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