仰山(読み)ギョウサン

デジタル大辞泉 「仰山」の意味・読み・例文・類語

ぎょう‐さん〔ギヤウ‐〕【仰山】

[形動][文][ナリ]
言動物事が大げさなさま。「仰山ないでたちで現れる」「仰山身ぶりで話す」
程度数量のはなはだしいさま。副詞的にも用いる。「仰山なおみやげをいただきまして」「今日は仰山釣れた」
[補説]「仰」は当て字。→仰仰ぎょうぎょうしい
[類語]沢山多く多い数数かずかず多数数多すうた無数多量大量大勢おおぜいおびただしいいっぱいあまた多多いくらもいくらでもざらにごろごろどっさりたっぷり十二分に豊富にふんだんに腐るほどごまんとわんさとしこたまたんまりうんとたんとなみなみ十分しっかりがっつり大挙多勢多人数大人数衆人莫大膨大巨万豊か潤沢無尽蔵山ほど盛り沢山がっぽりがっぽがっぽ多め幾多過多最多多作多め数知れない数知れぬ数え切れない十指に余る枚挙にいとまがない掃いて捨てるほど

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「仰山」の意味・読み・例文・類語

ぎょう‐さん ギャウ‥【仰山】

[1] 〘形動〙
① 程度、数量のはなはだしいさま。
※虎明本狂言・鍋八撥(室町末‐近世初)「ぎゃうさんなたかごゑしていふによって」
※浮世草子・人倫糸屑(1688)妾狂「澆山(ギャウサン)に見事な奥様や内方(ないはう)をもたれても」
② 行為や言葉などの大げさなさま。誇大。
※虎明本狂言・金岡(室町末‐近世初)「わごりょはぎゃうさんに物をいひなすの」
※浮世草子・世間子息気質(1715)二「仰山なる張札門柱(もんばしら)に」
[2] 〘副〙 はなはだしく。はなはだ多く。
咄本・軽口曲手鞠(1675)二「ぎゃうさんふるき下帯を」
※浮世草子・傾城禁短気(1711)五「仰山無理をいはんす」
[語誌](1)「天草本伊曾保物語」「日葡辞書」などに「ギョウ」という合音形が記され、「明暦刊本句双紙抄」も「げうさんに」と合音形である。また、安原貞室の「かた言‐二」には「ぎゃうぎゃうしきとは、業々敷とかくなれば、ぎゃうさんとは業山(ゲウサン)とや書侍るべき歟」とある。これらよりすれば、本来は合音形のギョウサン、ゲウサン、ゲフサンのいずれかであろうが、そのどれとは決めがたい。同源と見られる「ぎょうぎょうしい」とも考え合わせる必要があろう。
(2)「ぎゃうさん(仰山)」の表記が一般に行なわれるようになるのは、近世に開音形「ぎゃう」と合音形「ぎょう」「げう」などの区別がなくなってからである。

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