伊丹(市)(読み)いたみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊丹(市)」の意味・わかりやすい解説

伊丹(市)
いたみ

兵庫県南東端にある大阪市の衛星都市。1940年(昭和15)伊丹町と稲野(いなの)村が合併して市制施行。1947年(昭和22)神津(かみつ)村を編入。JR福知山線(ふくちやません)、阪急電鉄伊丹線、中国自動車道、国道171号が通じる。猪名(いな)川、武庫(むこ)川がつくる沖積台地猪名野に位置し、奈良時代に僧行基(ぎょうき)が灌漑(かんがい)用の昆陽池(こやいけ)を掘り、昆陽寺建立。緑ヶ丘には7世紀後半建立の伊丹廃寺跡(国指定史跡)がある。戦国時代には加藤氏、伊丹氏の城下町。そののち荒木氏が城主となり、伊丹城は有岡城と改められた。織田氏の有岡城攻略後、江戸時代には天領近衛(このえ)家領となった。慶長(けいちょう)年間(1596~1615)には100以上の酒倉が建ち並ぶ酒造地で、猪名川水運で各地に酒が送られた。

 1920年(大正9)阪急伊丹線が開通、紡績、化学、電機などの工場が進出した。1959年には伊丹空港が拡張され、大阪国際空港となった。大阪府の豊中(とよなか)市、池田市との境にあるが、空港面積の70%が伊丹市にある。酒造業のほか、電機、機械、食品、化学、製薬などの工場がある。市の北部は造園用の苗木植木産地。俳人鬼貫(おにつら)の生地で、猪名野神社句碑がある。伊丹廃寺跡の出土品、酒造道具を展示する市立伊丹ミュージアムがある。面積25.00平方キロメートル、人口19万8138(2020)。

[藤岡ひろ子]

『『伊丹市史』全7巻(1968~1973・伊丹市)』


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