佐田岬半島(読み)サダミサキハントウ

デジタル大辞泉 「佐田岬半島」の意味・読み・例文・類語

さだみさき‐はんとう〔‐ハンタウ〕【佐田岬半島】

愛媛県西部に細長く突き出た半島中央構造線に沿って西南西に約40キロメートル、最大幅6.4キロメートル、最小幅0.8キロメートルの半島。瀬戸内海伊予なだ宇和海を分けている。ミカン栽培漁業が盛ん。西部の三崎みさき海岸は亜熱帯植物アコウの北限地。半島先端佐田岬灯台周辺は瀬戸内海国立公園に属する。三崎半島

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日本歴史地名大系 「佐田岬半島」の解説

佐田岬半島
さだみさきはんとう

八幡浜やわたはま市から西へ約四〇キロ細長く突き出し、北の伊予灘と南の宇和海を隔てている半島。「さだのみさき」半島ともいう。西宇和郡に属する伊方いかた町・瀬戸せと町・三崎みさき町の三町がある。半島の脊梁として東西に連なる山地は、基部の保内ほない雨乞あまごい(四九九メートル)が最高で、半島中央部の見晴みはらし(瀬戸町)は標高三九五メートルである。

大分県臼杵うすき市から三崎町を経て八幡浜市に至る「九四フェリー」が就航し、三崎町から大洲おおず市へ向けて国道一九七号が通じている。

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改訂新版 世界大百科事典 「佐田岬半島」の意味・わかりやすい解説

佐田岬半島 (さだみさきはんとう)

愛媛県西部,豊予海峡(速吸(はやすい)瀬戸)に突出した全長40kmの半島。三崎半島ともいう。古来〈三崎十三里〉といわれ,日本一狭長な半島として有名である。西宇和郡伊方町に属し,面積は約95km2。半島の先端,豊予海峡に望む佐田岬は海上交通の要衝で,第2次大戦中まで要塞地帯であった。岬端付近には岩礁が多く,その一つ黄金碆(おうごんばえ)は海の難所として知られる。地質は三波川変成岩よりなり,各所に含銅硫化鉄鉱床を含んでいる。明治中期から第2次大戦にかけては,30余の中小銅山が稼働し,一時は別子銅山に次ぐ産銅地であった。地形は急峻な山地が海に没し,平たん地はほとんど見られない。耕地山腹斜面に段畑として展開し,集落も山腹斜面に立地するものが多い。北岸の中央部にある三机(みつくえ)湾は砂嘴にいだかれた天然の良港で,真珠湾攻撃の特殊潜航艇の訓練地であった。

 気候は温暖で,西部では年平均気温16℃,天然記念物のアコウの老木があり,亜熱帯植物の北限をなす。農業は段畑を利用して,夏作にサツマイモ,冬作に麦を栽培していたが,1960年ころからかんきつ類の栽培が盛んとなっている。伊方町の旧三崎町は全国有数のナツミカンの産地として知られる。漁業は旧三崎町で盛んで,串地区にはアワビ,サザエの磯物を潜水して漁獲する海士(あま)が多い。また岬端部一帯は寒ブリの一本釣りの好漁場でもある。半島はかつては陸の孤島といわれたが,1963年三崎までバスが通じ,69年には三崎~佐賀関(大分県)間にフェリーが就航した。海食崖や岩礁に富む海岸線は1965年佐田岬半島宇和海県立自然公園に指定された。佐田岬などは瀬戸内海国立公園の一部でもある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「佐田岬半島」の意味・わかりやすい解説

佐田岬半島
さだみさきはんとう

愛媛県西部に突き出た半島。中央構造線に沿って西南西に約40キロメートル、最大幅6.4キロメートル、最小幅0.8キロメートルの細長い半島で、瀬戸内海の伊予灘(いよなだ)と豊後(ぶんご)水道の宇和海をくぎっている。半島の頸部(けいぶ)は西宇和郡伊方(いかた)町、中央部は瀬戸町、西部が三崎町となっていたが、3町は2005年(平成17)に合併したため、現在は半島全域が伊方町に属する。面積は約95平方キロメートル、人口約1万1000(2010)。

 半島の地質は古生代三波川(さんばがわ)系結晶片岩類からなり、北側はいくつかの胴切り断層があり、それに沿って独特の海食崖(がい)と海岸線をなし、南側はリアス海岸である。海岸近くには碆(ばえ)とよばれる隠顕岩礁が数多くあり、水産資源の宝庫である。とくに佐田岬先端の黄金碆(おうごんばえ)は海中で硫化銅が輝くことで有名。三崎海岸にはアコウの老大木があり、亜熱帯樹の生育北限となっている。佐田岬半島宇和海県立自然公園に指定され、半島の先端の佐田岬灯台周辺は瀬戸内海国立公園に含まれている。三机湾(みつくえわん)では第二次世界大戦中特殊潜航艇の訓練が行われた。伊方町九町(くちょう)には四国電力の伊方原子力発電所がある。国道197号(佐田岬メロディーライン)が半島の先の三崎まで延びていて、さらに三崎港からは大分県の佐賀関と別府を結ぶフェリーが就航している。

[深石一夫]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「佐田岬半島」の意味・わかりやすい解説

佐田岬半島
さだみさきはんとう

愛媛県西部,宇和海伊予灘を分かつ半島で,速吸瀬戸 (豊予海峡) を挟んで大分県に対する。東西約 40km。伊方町に属する。北側にリアス海岸をもち,入江,岬,岩礁,暗礁などが多い。平地に乏しいが,階段状の耕地がみられ,柑橘類の栽培,沿岸漁業,養殖漁業が行なわれる。先端部は瀬戸内海国立公園に属し,半島は 1965年佐田岬半島宇和海県立自然公園に指定された。半島西部に自生する亜熱帯性植物アコウは国の天然記念物。中部の三机湾は 1941年の真珠湾攻撃の特殊潜航艇訓練基地であった。半島南側を国道 197号線が通り,大分県の佐賀関および別府間をフェリーが運航する。

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百科事典マイペディア 「佐田岬半島」の意味・わかりやすい解説

佐田岬半島【さだみさきはんとう】

愛媛県西部に細長く突出する半島。先端は佐田岬。平地がほとんどなく,海岸は出入りの多い沈降海岸。西端に近い集落は漁業が主,東部では山腹の段々畑でナツミカンを中心にサツマイモなどを栽培。瀬戸町(現・伊方町)は三崎牛の本場。
→関連項目伊方[町]瀬戸[町]保内[町]三崎[町]

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