升・枡・桝・斗(読み)ます

精選版 日本国語大辞典 「升・枡・桝・斗」の意味・読み・例文・類語

ます【升・枡・桝・斗】

〘名〙
度量衡器の一つ。穀物や酒・油などの量を量る木製、または金属製の器(うつわ)方形または円筒形で、容量によって一斗升・一升升・五合升・一合升などがある。古くは、特に、一升升または一斗升をさすことが多かった。
※延喜式(927)一二「女孺厨 〈略〉年料庸布五段〈略〉笥一百合。斗一口。升二口」
今昔(1120頃か)一三「斗(ます)を以て此を量(はか)るに、一の瓠(ひさこ)の中に五斗の白米有り」
② ①を用いてはかった分量。また、升形の枠。ますめ。
※観智院本三宝絵(984)中「一人の僧ごとに、小飯四升をうく」
③ 水を引く樋(ひ)の接続部分などに設けてある、大きな箱。
④ 銭湯などで、湯船や水船などから湯や水をくみ出すのに用いる箱形の器。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前「水舟の升(マス)陸湯(おかゆ)の桶」
⑤ 江戸時代からの劇場や相撲小屋などで、四角形の区切りを設けた見物の座席。定員は四人または六人。升席。
※雑俳・柳多留‐一〇七(1829)「大当り升にぎっしり八つ頭」
⑥ 紋所の一つ。①の形を図案化したもの。枡、三つ入れ子枡などの種類がある。
※俳諧・本朝文選(1706)三・賦類・鼠賦〈去来〉「早業得たりがほなるも、思はず升(マス)にかかりていかばかりの思ひをすらん」
⑧ (斗) 社寺建築で、肘木と交互に組合わせて組物(斗栱)を構成する平面が方形または長方形の材。使用される場所あるいは形により、大斗・方斗・巻斗など各種のものがある。升形。
※東南院文書‐長元八年(1035)一一月二日・東大寺撿損色帳「一、七間二重瓦葺金堂一宇〈略〉斗・肬木・丸桁垂木等朽損」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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