南魚沼(市)(読み)みなみうおぬま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「南魚沼(市)」の意味・わかりやすい解説

南魚沼(市)
みなみうおぬま

新潟県南東部にある市。2004年(平成16)南魚沼郡六日町(むいかまち)と大和町(やまとまち)が合併して成立。新市名は旧所属郡の郡名による。2005年に南魚沼郡塩沢町(しおざわまち)を編入。西は1000メートル級以下の魚沼丘陵の低山が、東は1700~2000メートル級の越後山脈山並が連なる。町域の西寄りを魚野川(うおのがわ)がほぼ北流し、流域には沖積低地魚沼盆地)が開ける。南東端部は清水峠などを介して群馬県と接する。魚野川に並行し、JR上越線、上越新幹線、国道17号(三国街道)、関越自動車道が通じ、新幹線の浦佐駅、関越自動車道の六日町、塩沢石打の各インターチェンジがある。これら幹線路線の東方を国道291号が縦断し、西部を353号が走る。また、上越線六日町駅から上越市方面に北越急行(ほくほく線)が分岐、六日町北方の美佐島(みさしま)では国道253号が17号から分かれ、同じく上越市方面に向かう。中心市街は六日町だが、塩沢、浦佐などにも小市街が形成される。冬季には市街地でも積雪が2メートルを越える豪雪地帯である。

 中世、北部の浦佐一帯を除いては上田荘の荘域で、室町・戦国期、同荘を基盤とする上田長尾氏が坂戸城(さかどじょう)(城跡は国指定史跡)に拠り一帯に勢力を振るった。上杉謙信養子となった上杉景勝は上田長尾氏の出身。江戸時代、長岡船道(信濃川舟運)の支船道である浦佐船道や六日町船道(魚野川舟運)が開発され、蒲原(かんばら)平野部との物資の交流が盛んとなる。当時の特産品は越後縮布で、とくに縮布と同じ苧麻を原料とする平織の越後上布は知られた。塩沢地区では大正中期に、伝統技術を生かして絹織物へと転換し、現在の塩沢紬に継承。

 現在の基幹産業は農業と観光。農業では稲作(魚沼コシヒカリ)やスイカ(八色(やいろ)西瓜)栽培などを組み合わせた複合経営が多い。工業では酒造業のほか各工業団地へ機械、食品、電子部品、金属製品などの製造工場が進出。六日町温泉郷のほか、大沢山、上野(うわの)、栃窪、丸山などの温泉があり、市域に10か所以上あるスキー場や越後三山(八海(はっかい)山、駒ヶ岳、中ノ岳)とともに観光の核となっている。『北越雪譜』を著したことで知られる鈴木牧之(ぼくし)は塩沢の縮仲買商の子として生まれ、塩沢に鈴木牧之記念館(雪の文化館)がある。現在、3月第1土曜日に行われる浦佐普光(ふこう)寺(毘沙門堂)の裸押合大祭(はだかおしあいたいさい)は、『北越雪譜』にも「浦佐の堂押」とみえ、国選択無形民俗文化財。面積584.55平方キロメートル、人口5万4851(2020)。

[編集部]


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