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吸血動物 キュウケツドウブツ

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デジタル大辞泉の解説

きゅうけつ‐どうぶつ〔キフケツ‐〕【吸血動物】

他の動物の皮膚について、その血液や体液を吸って栄養とする動物。ノミシラミヒルなど。

出典|小学館 この辞書の凡例を見る
監修:松村明
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大辞林 第三版の解説

きゅうけつどうぶつ【吸血動物】

人間や動物の皮膚から血を吸って自分の栄養とする動物。昆虫類に多く、ノミ・カ・シラミ・ブユ・ナンキンムシなどの類。また、ダニ・ヒルの類やチスイコウモリ・ヤツメウナギなども含まれる。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

吸血動物
きゅうけつどうぶつ

広義には、他動物の生き血を吸って自分の栄養とする動物の総称で、ふつうは陸生脊椎(せきつい)動物、なかでもヒトや家畜に対して外部から吸血行動をするものをいう。体内で吸血する内部寄生性のもの(扁形(へんけい)動物門吸虫類の日本住血吸虫・ジストマ、条虫(じょうちゅう)類のサナダムシなど)は、「寄生虫学」のおもな対象としてしばしば別に扱われる。種類も個体数も昆虫類(吸血昆虫)およびダニ類が多く、ほかにヒル類などがあげられるが、体液・血液は栄養面でほぼ完全な成分をもつので、これら以外にも、魚類や節足動物などにたかる広義の吸血動物は、動物界にはかなり多い。
〔1〕節足動物門 (1)クモ綱 ダニ目=イエダニ、ヒゼンダニ(皮膚病をおこす)、ワクモ(鳥類に寄生)など、マダニ類、ツツガムシなど。(2)昆虫綱 シラミ目=コロモジラミ、アタマジラミ、ケジラミなど。カメムシ目(半翅(はんし)目)=ナンキンムシ(トコジラミ)、サシガメ類。ハエ目(双翅目)=カ亜目のヤブカ、アカイエカ、ハマダラカなど、ブユ類、ヌカカ類、サシチョウバエ類。ハエ亜目のウシアブ、ツェツェバエ、サシバエ、シラミバエ類など。ノミ目(隠翅目)=ヒトノミ、イヌノミ、ネズミノミなど。
 これらは、分類群のすべての種、また世代や雌雄のすべてが吸血行動を行うものではない。たとえばダニ類の多くは自由生活をし、人畜に寄生するのは一部であるが、ノミ類は世界に分布する約2000種のすべてが吸血する。またツツガムシは吸血するのは幼虫だけで、逆にカは産卵に栄養が必要な雌の成虫だけが吸血する。宿主(しゅくしゅ)の選択性は種によって異なり、たとえばイヌノミよりネコノミのほうが多くの種の動物にたかる。これらには吸血行動への特異な形態的、生理的な適応、分化がみられる。器官では、口器は宿主の体に刺し込む「吸い口型」あるいは「咬(か)み口型」であり、シラミでは口に鉤(かぎ)を備え、カやノミでは血を吸い上げるポンプ作用をする頭部の「吸筋」、吸った血をためる「吸嚢(きゅうのう)」を発達させている。行動面では、動物の体温や呼気に含まれる二酸化炭素にきわめて敏感であり、それに反応して宿主に接近し、吸血する。なお、マダニは正確には吸血ではなく、頭(顎体(がくたい)部)を宿主の皮膚内に潜らせ、消化液を分泌して組織を液化し吸収する。
 これらには、吸血に伴ってヒトや家畜に病原体を媒介する「媒介動物」が多く含まれ、重要な「衛生昆虫(衛生害虫)」として駆除の対象とされる。たとえば、発疹(はっしん)チフスはシラミ、三日熱マラリアはシナハマダラカ、デング熱や黄熱(おうねつ)はネッタイシマカ、日本脳炎はコガタアカイエカ、フィラリア症(糸状虫症)はアカイエカ類、オンコセルカ症(河川盲目症)はブユ、睡眠病はツェツェバエ、ペストはネズミノミによって、またつつが虫病、野兎(やと)病、Q熱などはダニ類の刺咬(しこう)によって感染がおこる。現代の全地球的な交流拡大や地球温暖化は、これら害虫の生息域の拡大、したがって感染の拡大という新たな問題を引き起こし、WHO(世界保健機関)の課題とされている。
〔2〕環形動物門 ヒル型綱ヒル目=陸生のヤマビル、ウマビル、水生のチスイビルなど。口器は吸盤となり、魚貝類、両生類などのほか人畜の体表にも吸着し血を吸う。チスイビルは「医用ビル(薬用ビル)」と称され、人体の悪血の滞り、すなわちうっ血を除く医療に用いられた。その唾液腺(だえきせん)には、血液凝固を防ぐ作用をもつ物質「ヒルジン」が含まれるため、吸われた血は固まらない。
〔3〕その他の吸血動物 魚類のヤツメウナギ類の幼魚は、ほかの魚類に円形の口で吸着し、並列した歯で肉をそぎ取るようにしながら血液を吸い取る。哺乳(ほにゅう)類のチスイコウモリ(キュウケツコウモリ)はメキシコ以南の南アメリカにすみ、鋭い門歯と犬歯で睡眠中の動物の皮膚を切り、血をなめとることがある。
 吸血動物は、刺咬によってかゆみ、痛み、腫(は)れ、さらに病気の感染や飼育動物の生育不良などをもたらすので忌み嫌われ、「街のダニ」といった表現をはじめとし、清少納言(せいしょうなごん)の『枕草子(まくらのそうし)』には「にくきもの」としてカとノミがあげられ、芭蕉(ばしょう)の『おくのほそ道』にも一晩中ノミやシラミに責められ眠れぬ旅の苦難が記されている。無事を意味する「つつがない」の語源もツツガムシにかかわるとされる。さらに、血を生命のシンボルとする観念にかかわって、ドラキュラなど不死の「吸血鬼伝説」が世界各地に存在するが、これらは吸血動物の存在と無縁ではない。[後藤耀一郎]
『石崎達監修、川島健次郎ほか著『新医寄生虫学』(1988・第一出版) ▽池庄司敏明著『蚊』(1993・東京大学出版会) ▽八杉龍一ほか編『岩波生物学辞典』第4版(1996・岩波書店) ▽高岡宏行著『昆虫による病原体伝播のしくみ――医昆虫学をはじめて学ぶ人のために』(1997・南山堂) ▽青木淳一編『ダニの生物学』(2001・東京大学出版会)』

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