味気無い(読み)アジケナイ

デジタル大辞泉 「味気無い」の意味・読み・例文・類語

あじけ‐な・い〔あぢけ‐〕【味気無い】

[形][文]あぢけな・し[ク]おもしろみや魅力がなくつまらない。あじきない。「―・い話」「―・い人生
[補説]「味気」は当て字
[派生]あじけなさ[名]
[類語]散文的素っ気ない無機的無風流味気あじきないつまらない興醒きょうざ興醒きょうざまし不興しらけるつや消し色消ししらじらしいぞっとしない鼻白む無味無味乾燥無趣味没趣味索然砂を噛むよう

あじき‐な・い〔あぢき‐〕【味気無い】

[形][文]あぢきな・し[ク]《「あずきなし」の音変化。「味気」は当て字》
あじけない」に同じ。「―・い世の中」
乱暴である。不当である。
いまし甚だ―・し」〈神代紀・上〉
努力するかいがない。無益である。
「愚かなる人の目を喜ばしむる楽しみ、また―・し」〈徒然・三八〉
耐え難い。やるせない。
「―・く、一つ心なる人に向ひたる心地して」〈狭衣・一〉
[派生]あじきなげ[形動]あじきなさ[名]

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「味気無い」の意味・読み・例文・類語

あじき‐な・いあぢき‥【味気無】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]あぢきな・し 〘 形容詞ク活用 〙 ( 「味気」はあて字 ) 今更どうにもならない状態や、それに対するあきらめを含んだ不満な気持をいう。あじけない。
  2. 乱暴で手がつけられない。道にはずれていて、どうにもならない。
    1. [初出の実例]「素戔嗚尊、汝(いまし)甚無道(アチキナシ)」(出典日本書紀(720)神代上(水戸本訓))
    2. 「わが罪のほどおそろしう、あぢきなきことに心をしめて生ける限りこれを思ひなやむべきなめり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
    3. 「無端 アヂキナシ」(出典:書陵部本名義抄(1081頃))
  3. 努力するかいがない。する意味がない。無益、無用だという感じだ。
    1. [初出の実例]「やど近く梅の花植ゑじあぢきなくまつ人の香(か)にあやまたれけり〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春上・三四)
    2. 「さしもあやふき京中の家をつくるとて、宝を費し、心を悩ます事は、すぐれてあぢきなくぞ侍る」(出典:方丈記(1212))
  4. 自分の気持に反していておもしろくない。ゆとりや味わいに乏しくて風情がない。情けない。あじけない。
    1. [初出の実例]「人知れず我こひ死なばあぢきなくいづれの神になき名おほせん」(出典:伊勢物語(10C前)八九)
    2. 「あぢきなきもの わざと思ひ立ちて宮仕に出で立ちたる人の、物憂がり、うるさげに思ひたる」(出典:枕草子(10C終)七九)
  5. 胸がしめつけられるように耐え難い。やるせない。
    1. [初出の実例]「在五中将の恋の日記を、いとめでたう書きたるなりけりと見るに、あぢきなく」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)一)
  6. やるせないほどに魅力的である。何とも言えず美しい。
    1. [初出の実例]「天気もよいころにあたたかに世界も花などの香がにをうてあぢきなうなって花はさきみだれて」(出典:玉塵抄(1563)二六)

味気無いの語誌

万葉集」に見える「あづきなし」(「小豆無」などと表記)が転じたものか。「日本書紀」の「無道」「無状」にあてた古訓や古辞書などの「無端」「無情」の訓みなどを始め、平安時代以降には「あぢきなし」となり、現代語の「あじけない」は、さらにこの語が転じたもの。

味気無いの派生語

あじきな‐が・る
  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙

味気無いの派生語

あじきな‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

味気無いの派生語

あじきな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

あじけ‐な・いあぢけ‥【味気無】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙あじきない(味気無)
    1. [初出の実例]「人は知らぬが、彼の其夜の夢は云方も無く味気無(アヂケナ)いものであった」(出典:恋慕ながし(1898)〈小栗風葉〉一七)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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