旧総理府の外局として国土庁設置法に基づき1974年(昭和49)に設置された国の行政機関。当初、国土総合開発庁として構想され、1974年の国土総合開発法案(国土利用計画法となる)とともに開発の文字が削られて成立したが、2001年(平成13)1月の中央省庁再編により、建設省、運輸省、北海道開発庁とともに、国土交通省に統合された。
国土庁は、国土を適正に利用することにより、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図り、豊かで住みよい地域社会の形成に寄与するため、国土に関する行政を総合的に推進することを主たる任務としていた(国土庁設置法3条)。所掌事務は、全国総合開発計画の作成等国土の適正な利用に関する総合的かつ基本的な政策および計画の企画、立案ならびに国土の利用に関する基本的な政策および計画についての関係行政機関の事務の調整等であり、企画調整機能が重要な位置を占める。1970年代からは、大規模地震対策の推進にも力を入れ、防災の日(9月1日)等、防災訓練、啓蒙(けいもう)活動の実施も行っていた。
国土庁には、国務大臣たる長官の下に、内部部局として、長官官房、計画・調整局、土地局、大都市圏整備局、地方振興局、防災局が置かれ、審議会等として、国土審議会、土地政策審議会、土地鑑定委員会、水資源開発審議会、奄美(あまみ)群島開発審議会、小笠原(おがさわら)諸島振興開発審議会が置かれていた。
国土庁の内部部局のうち、防災局は内閣府に移行するが、計画・調整局、地方振興局、大都市圏整備局は、再編後、国土交通省国土計画局、土地局は、同省土地・水資源局となり、国土庁の事務の多くは、国土交通省に引き継がれた。
[平田和一]
国土に関する総合的行政を推進するため国土庁設置法(1974公布)に基づき設置された総理府の外局。国際収支の大幅黒字,相次ぐ金融緩和などを背景とする過剰流動性などで,1971年以降全国的に土地投機が発生し,地価が暴騰するという状況下(田中角栄内閣の発足は1972年),政府は国土に対する総合的行政を強力に推し進める目的で,新国土総合開発法の制定および国土総合開発庁と国土総合開発公団設置のための法案を国会に提出したが,野党の反対で,究極的にできたのが,それぞれ国土利用計画法(略称,国土法),国土庁,地域振興整備公団である。国土庁の長官は国土庁長官とされ,国務大臣をもってあてる。長官官房のほか,計画・調整局,土地局,防災局,大都市圏整備局,地方振興局の5局がおかれ,付属機関に土地鑑定委員会がある。国土庁の主たる事務は,(1)国土の適正な利用,(2)人口・産業集中の著しい大都市の機能改善に関する総合的・基本的政策の企画立案・推進,(3)首都圏整備計画や東北・九州等の各地方開発促進計画の実施に関する調整,(4)長期的水需給の総合的・基本的政策の企画立案・推進,などである。単なる計画策定にとどまらず,国土総合開発に関して関係各省間の調整を図る権限を有する。なお土地鑑定委員会は毎年〈地価公示〉として,全国の都市計画区域から選んだ標準地の1月1日現在の公示地価を発表している(〈地価〉の項参照)。2001年の省庁再編により運輸省,建設省,北海道開発庁と統合されて国土交通省となった。
執筆者:黒田 満
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