(読み)サイ

デジタル大辞泉 「塞」の意味・読み・例文・類語

さい【塞】[漢字項目]

常用漢字] [音]サイ(呉)(漢) ソク(呉)(漢) [訓]ふさぐ ふさがる とりで
〈ソク〉すきまなくふさぐ。ふさがる。「塞源活塞梗塞こうそく充塞栓塞逼塞ひっそく閉塞
サイ
通路をふさいで守りを固めた所。とりで。「要塞
国境地帯。「塞翁塞外辺塞
[名のり]せき

そく【塞】[漢字項目]

さい

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精選版 日本国語大辞典 「塞」の意味・読み・例文・類語

ふさがり【塞】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ふさがる(塞)」の連用形名詞化 )
  2. あきがなくいっぱいになること。また、さしさわりがあること。さしつかえること。
    1. [初出の実例]「大事の娘をそそのかしふさがりのこの国へ」(出典:浄瑠璃・薩摩歌(1711頃)中)
  3. 陰陽家用語で、大将軍太白神天一神などの凶神がいて、その方角をふさいでいること。この方角に向かって事を行なうことを忌む。
    1. [初出の実例]「東はさしあたりたる塞(フサガリ)の方也」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)中)

さい【塞・砦】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 外敵侵入を防ぐ国境の小城。とりで。出城(でじろ)
    1. [初出の実例]「伏乞暫留鎮所、以守諸塞」(出典:続日本紀‐神護景雲三年(769)正月己亥)
  3. さいおう(塞翁)」の略。
    1. [初出の実例]「集まれば散ると悟った塞の馬」(出典:雑俳・柳多留‐一一五(1831))

そこ【塞・塁】

  1. 〘 名詞 〙 要害の地に設けてあるとりで。要塞(ようさい)
    1. [初出の実例]「毎に、要害(ぬみ)の所に、堅く、塁塞(ソコ)を築けむ」(出典:日本書紀(720)敏達一二年是歳(前田本訓))
    2. 「とても勝べき軍ならずと一筋に皆思切たりけれは城を堅し塁(ソコ)を深くする謀(はかりこと)をも事とせす」(出典:太平記(14C後)一九)

ふたがり【塞】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「ふたがる(塞)」の連用形の名詞化 )
  2. ふたがること。ふさがり。
  3. 月経をいう。

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普及版 字通 「塞」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

[字音] サイ・ソク
[字訓] ふさぐ・とりで

[説文解字]

[字形] 会意
正字は(そく)+土。は塞の初文。建物などの入口を、呪具の工を重ねて塡塞し、邪霊などをそこに封じこめる意。土は土主(土地神)。道路や辺境の要地に塞を設けて土神を祀り、異族神や邪霊の通行を禁ずる呪禁とした。〔説文〕十三下に「つるなり」とあり、また〔文選、西京の賦、注〕に引く〔説文〕に「は塞ぐなり」とあって互訓は神域を示す(ふ)(神梯の象)に鬲(れき)(壺の類)を埋めて、聖俗の境を示し、隔離する意。塞をまた、とりでの意に用いるのは、軍事的な施設に転用したものである。わが国の「塞(さえ)の神」が、古い用法である。

[訓義]
1. へだてる、ふさぐ、とどめる、とざす、邪神などを封じこめる。
2. みたす、おおう。
3. まもる、国境、とりで、辺塞。
4. 賽と通じ、神仏にまいる、すごろくの賽。

[古辞書の訓]
和名抄〕塞 曾古(そこ) 〔名義抄〕塞 ツヒヤス・フサグ・ハカル・ソコ・ソフ・カクル・ヘダツ・セキ・ミテリ・アツチ 〔字鏡集〕塞 ミテリ・ハカル・アツチ・ミツ・ツヒヤス・ソコ・シゲル・フサグ・ヘダツ・カクス・マコト・セキ・フクツ・シホル・シゲシ・ソフ

[声系]
〔説文〕は(てん)部五上に属するが、その部には展を属すべく、は宀(べん)部に従うべきであろう。塞声の字に寨・賽の字があるが後起。城塞・辺塞に木柵を用いることが多かった。「塞の神」に祈ることを賽といい、塞の初義を知ることができる。

[熟語]
塞囲・塞垣・塞翁・塞下・塞笳・塞外・塞関・塞雁・塞徼・塞具・塞鴻・塞上・塞斥・塞卒・塞地・塞・塞内・塞北・塞令・塞意・塞噎・塞淵・塞詰・塞・塞源・塞口・塞耳・塞職・塞心・塞井・塞声・塞・塞責・塞絶・塞塞・塞匿・塞閉・塞黙・塞門・塞壅
[下接語]
遏塞・陰塞・隠塞・盈塞・咽塞・掩塞・遠塞・鬱塞・横塞・河塞・隔塞・活塞・捍塞・関塞・檻塞・雁塞・旧塞・窮塞・拒塞・距塞・空塞・啓塞・険塞・古塞・固塞・孤塞・荒塞・哽塞・梗塞・沙塞・朔塞・山塞・四塞・充塞・出塞・障塞・城塞・斥塞・責塞・絶塞・滞塞・築塞・窒塞・塡塞・杜塞・内塞・入塞・廃塞・塞・閉塞・塞・辺塞・補塞・報塞・防塞・北塞・密塞・厄塞・要塞・臨塞・路塞・鹿塞

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【サカ】より

…前5世紀のペルシア戦争の際にペルシア側について参戦したサカは,とりわけ〈アミュルギオンのサカ〉とよばれた人々で,キルギスのステップに住み,尖り帽子,ズボン,独特の弓と短剣,戦斧を身につけた強力な部隊であった。なお中国史料の塞民族をサカにあてる説があるが疑わしい。【小谷 仲男】 時代が下って前1世紀ころサカ勢力は大月氏の西方移動におされて,西北インドに侵入した。…

【謹慎】より

…言動を控え,みずからを戒めることで,刑罰・制裁としても科せられた。江戸時代,慎(つつしみ)と称した公家・武士の閏刑(じゆんけい)(特定の身分の者や幼老・婦女に対し本刑の代りに科す刑)は,《公事方御定書》が規定する塞(ひつそく),遠慮に類似の自由刑で,他出・接見などの社会的活動を制限することに実質的意義があったが,また名誉刑的な性格ももつ。幕末には大名処罰に隠居と併科された例が多くみられる。…

【閉門】より

…江戸幕府法では武士と僧に科せられる刑で,屋敷の門を閉じ,昼夜とも当人および内外の者の出入りを禁じ,ただ病気のときには夜中に医師を招き,また出火,類焼にあたっては消防,避難することは許されていた。自由刑と名誉刑との性質をもつ刑罰で,これより軽いものとして〈塞(ひつそく)〉〈遠慮〉〈戸〆(とじめ)〉〈押込(おしこめ)〉があった。前2者は武士と僧に科するもの。…

※「塞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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