しつ‐れい【失礼】
〘名〙
① (形動)
礼儀や
礼式を欠くこと。礼儀をわきまえないこと。また、相手に対して礼儀を欠いているさま。先例故実にはずれること。
無礼。
欠礼。
失敬。しつらい。
※九暦‐九暦抄・天徳元年(957)一〇月五日「貫首有明親王謝酒間失礼」
※十訓抄(1252)一「公事につけて失礼をもし、うちあるふるまひにも越度の出来つるは口をしき事なり」 〔春秋左伝‐定公一〇年〕
② (①の意をこめて挨拶(あいさつ)に用いる) 礼儀に外れるが止むを得ず行なわなければならないような場合、それをわびる気持を表わす語。人に問いかけたり、他者の話題に口をはさんだりするときに用いる。
※人情本・春色梅児誉美(1832‐33)後「わたしが何も角(か)もといふはどうも失礼(シツレイ)だが」
※其面影(1906)〈二葉亭四迷〉五一「どうも生意気な事を申して、失礼でした」
③ 別れること。いとまごいをすること。また、退出するときや別れるときに挨拶としても用いる。
※其面影(1906)〈二葉亭四迷〉五一「余り晩(おそ)くなりますから、是で失礼してよ」
④ 相手の無作法をたしなめたり、非難したりするときにいう語。
※洒落本・色深

睡夢(1826)上「ヲヲ
しつれい。どふでおまへのとこのやといどさんのやうな、好
(すき)なんとはちがひます」
しち‐らい【失礼】
※宇津保(970‐999頃)国譲下「見苦しきをば笑はせ給へば、〈
略〉
天下のしちらいをつかうまつりあへり」
しつ‐らい【失礼】
〘名〙 (「らい」は「礼」の呉音) =
しつれい(失礼)〔書言字考節用集(1717)〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
しつ‐れい【失礼】
[名・形動](スル)
1 他人に接する際の心得をわきまえていないこと。礼儀に欠けること。また、そのさま。失敬。「失礼なやつ」「先日は失礼しました」
2 他人のもとを立ち去ることのていねいな言い方。「お先に失礼します」
[感]軽く謝るとき、人に何かたずねたり頼んだりするとき、また人と別れるときなどのあいさつの言葉。「失礼、ちょっと前を通してくださいませんか」「また近いうちに会おう、では失礼」
[用法]失礼・失敬・無礼――「人の足を踏んでおいて謝りもしないとは失礼な(失敬な・無礼な)やつだ」のように、礼儀を心得ないの意では相通じて用いる。◇「失礼」は、問いかけたり、わびたり、別れたりするときなど、礼儀に外れないために、もっとも普通に男女ともに用いる。また、相手が目上・同輩・目下だれにでも使える。「失礼ですが、山本さんでいらっしゃいますか」「お名前を読み間違えてたいへん失礼いたしました」「お先に失礼」など。◇「失敬」は、やや古い語で、主に男性が同輩・目下に対して使う。敬意の程度は「失礼」よりも軽く、「きのうは失敬した」「これで失敬するよ」などと用いる。◇「無礼」は古風な語で、目上に対して身分をわきまえないという意味合いを含む。「ご無礼いたします」「この無礼者」
[類語](
1)失敬・無礼・ぶしつけ・無作法・非礼・欠礼・不敬・無遠慮・礼を失する・遠慮会釈もない・忌憚ない・馴れ馴れしい/(
)バイバイ・失敬・さようなら・ごきげんよう
しつ‐らい【失礼】
「しつれい」に同じ。
「先達は洗湯で御―つかまつりました」〈滑・七偏人・初〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報