(読み)ガン

デジタル大辞泉 「岸」の意味・読み・例文・類語

がん【岸】[漢字項目]

[音]ガン(呉)(漢) [訓]きし
学習漢字]3年
ガン
きし。「岸頭岸壁右岸沿岸河岸海岸護岸接岸対岸彼岸
角立っている。いかめしい。「魁岸かいがん傲岸ごうがん
〈きし(ぎし)〉「岸辺川岸山岸
[難読]河岸かし

きし【岸】

陸地の、海・川・湖などの水に接している所。みずぎわ。「に打ち寄せる波」
土地の切り立った所。がけ。
「あしひきの山かも高き巻向まきむくの―の小松にみ雪降り来る」〈・二三一三〉
[類語]岸辺右岸左岸両岸岸壁向こう岸対岸川岸河岸かがん河岸かし湖岸

きし【岸】[姓氏]

姓氏の一。
[補説]「岸」姓の人物
岸清一きしせいいち
岸信介きしのぶすけ

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精選版 日本国語大辞典 「岸」の意味・読み・例文・類語

きし【岸】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 陸地が川・湖・海などの水に接したところ。みずぎわ。なぎさ。
    1. [初出の実例]「静けくも岸(きし)には波は寄せけるかこれの家通し聞きつつ居れば」(出典:万葉集(8C後)七・一二三七)
    2. 「或は橋の上を歩ませ、或は河瀬を渡して、向の岸(キシ)に懸驤る」(出典:太平記(14C後)六)
  3. 岩石または地などのきり立ったところ。がけ。きりぎし。山ぎし。岩壁。
    1. [初出の実例]「あしひきの山かも高き巻向の木志(きシ)の子松にみ雪降り来る」(出典:万葉集(8C後)一〇・二三一三)
    2. 「山のきしに小き菴室をかまへて、後世菩提の行おこたらず」(出典:米沢本沙石集(1283)一〇本)
  4. 桶・井戸など水のはいっているものの縁(ふち)
    1. [初出の実例]「子持に風呂の岸を譲りて」(出典:雑俳・歌羅衣(1834‐44)二)

きし【岸】

  1. 姓氏の一つ

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普及版 字通 「岸」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

[字音] ガン
[字訓] きし・がけ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(かん)。〔説文〕九下に「水にして高き者(ところ)なり」とし、干(かん)声とする。金文の字があり、おそらく岸の初文であろう。厂(かん)は傾斜面、干にほとりの意がある。〔詩、小雅、小宛〕に「岸に宜しく獄に宜し」とあり、〔韓詩〕に岸をに作る。・獄は獄訟、ともに犬牲を伴う字で、犬牲を以て祓う意。岸はその通用義として用いる。人に移して傲岸・魁岸のようにいう。

[訓義]
1. きし、がけ、山涯、きわだつ地形のところ、たかい。
2. 人に移して、かどかどしい、おごる。また、ひたい。
3. と通じ、うったえ、ひとや。

[古辞書の訓]
名義抄〕岸 キシ・タカシ・カギリ・ナギサ・ウタヘ・シナシナ・カタフク

[声系]
〔説文〕馬部に岸声の字を収める。声系としては、干声の字と声義の通ずるものが多い。

[語系]
岸ngan、干kanは声義近く、嵒・巖ngeam、垠nginも声義に通ずるところのある字である。

[熟語]
岸異・岸岸・岸曲・岸巾・岸傑・岸限岸谷・岸獄岸忽・岸岸峭岸上岸垂・岸勢・岸前岸然・岸側・岸・岸頭・岸畔・岸風・岸辺
[下接語]
異岸・偉岸・沿岸・遠岸・河岸・廻岸・海岸・魁岸・崖岸・涯岸・隔岸・危岸・奇岸・碕岸・宜岸・夾岸・曲岸・近岸・空岸・渓岸・湖岸・護岸・江岸・岸・高岸・傲岸・沙岸・山岸・残岸・斬岸・此岸・州岸・峭岸・上岸・深岸・水岸・垂岸・青岸・接岸・側岸・対岸・岸・岸・断岸・長岸・墜岸・汀岸・登岸・坡岸・半岸・阪岸・畔岸・攀岸・楓岸・壁岸・擁岸・柳岸・稜岸・臨岸

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