序の舞(読み)ジョノマイ

デジタル大辞泉 「序の舞」の意味・読み・例文・類語

じょ‐の‐まい〔‐まひ〕【序の舞】

舞事まいごとの一。初めの部分がある静かで典雅な舞。また、その囃子はやし。笛地に大鼓小鼓および太鼓ではやす。三番目物シテの優美な女性などが舞う。
歌舞伎下座音楽の一。時代物貴人の邸の場などで、人物出入りせりふの間に用いる静かな鳴り物。大鼓・小鼓・太鼓ではやす。
[補説]作品名別項。→序の舞

じょのまい【序の舞】[作品名]

女流日本画家、上村松園後期代表作。昭和11年(1936)の文展招待展に出品政府買上げとなった美人画。国指定重要文化財。
宮尾登美子小説。日本画家、上村松園モデルとする。昭和57年(1982)、上下2巻で刊行。第17回吉川英治文学賞受賞。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「序の舞」の意味・わかりやすい解説

序の舞
じょのまい

能の舞の名称。呂中干中 (りょちゅうかんちゅう) の地 (じ) の定型を繰返す譜につれてきわめてゆるいテンポで舞うもの。初めに序という部分があって足拍子を踏んでから舞う。普通は,序のあとに3段 (正式には5段) あって,次第にテンポが速くなる。三番目物の女性や精霊のシテに多い。笛の旋律をおもに,大鼓,小鼓が囃し,曲によってこれに太鼓が入る。笛は黄鐘 (おうしき) 調の旋律によるが,特定の曲 (『雪』) や,小書 (こがき) という特殊演出の行われるときには盤渉 (ばんしき) 調の旋律になる。また,特別なものに「真の序の舞」があり,老体の神などが舞う。

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デジタル大辞泉プラス 「序の舞」の解説

序の舞

1984年公開の日本映画。監督中島貞夫、原作:宮尾登美子、脚本:松田寛夫、撮影:森田富士郎。出演:岡田茉莉子、名取裕子、風間杜夫、水沢アキ、三田村邦彦、成田三樹夫、三田佳子ほか。女流画家・島村松翠の半生を描く。第39回毎日映画コンクール女優助演賞(三田佳子)ほか受賞。

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世界大百科事典(旧版)内の序の舞の言及

【序】より

…しかしこれらは,舞楽の序の概念や実態からはかなり離れたものである。能の舞事(まいごと)の中で,序ノ舞と神楽の二つは,その冒頭にそれぞれ固有の,序と称する部分を備えている。これはリズム様式が両方とも本体部分のそれと相違しており,規模はさほど大きくはないにしても,舞楽の序の概念にかなり近いといえよう。…

【舞事】より

…能の舞事には,笛(能管)・小鼓・大鼓で奏する〈大小物(だいしようもの)〉と太鼓の入る〈太鼓物〉とがあるが,その両者を含めて,笛の基本の楽句である(じ)の種類によって分類されることが多い。すなわち,呂中干(りよちゆうかん)の地といわれる共用の地を用いる〈序ノ舞〉〈真(しん)ノ序ノ舞〉〈中ノ舞(ちゆうのまい)〉〈早舞(はやまい)〉〈男舞(おとこまい)〉〈神舞(かみまい)〉〈急ノ舞〉〈破ノ舞(はのまい)〉などと,それぞれが固有の地を用いる〈楽(がく)〉〈神楽(かぐら)〉〈羯鼓(かつこ)〉〈鷺乱(さぎみだれ)(《鷺》)〉〈猩々乱(《猩々》)〉〈獅子(《石橋(しやつきよう)》)〉〈乱拍子(《道成寺》)〉などの2種がある。〈序ノ舞〉は女体,老体などの役が物静かに舞うもので,《井筒》《江口》《定家》などの大小物と《小塩(おしお)》《羽衣》などの太鼓物がある。…

※「序の舞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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