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強制処分 きょうせいしょぶん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

強制処分
きょうせいしょぶん

刑事手続において,被疑者 (被告人) ,証人などの身柄の確保や証拠の収集,保全などのために,相手方の同意の有無にかかわらず,捜査機関または裁判機関がなす処分で,人の身体,自由,財産などに関する権利・利益の侵害を伴うものをいう。強制処分は,個人の生活領域に対する強制的干渉という性質をもつものであり,濫用される危険性も大きい。このため憲法および刑事訴訟法令状主義の原則を採用し,裁判官による事前抑制に意を払っている。強制処分には,逮捕勾留などの対人的強制処分と捜索差押え,検証などの対物的強制処分などがある。

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百科事典マイペディアの解説

強制処分【きょうせいしょぶん】

刑事訴訟法上,広義では,強制力をもって行う一切の処分,狭義では,そのうち証拠調べの性質をもつもの(検証・証人尋問・鑑定など)以外の処分をいう。捜査機関が行うものとしては逮捕・捜索・押収など(強制捜査),裁判機関が行うものとしては召喚勾引勾留などがある。
→関連項目捜索領置令状

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大辞林 第三版の解説

きょうせいしょぶん【強制処分】

刑事訴訟法で、被疑者の逃亡や証拠の隠滅を防ぐために、強制的に被疑者を逮捕・勾留したり証拠物を押収したりすること。
旧民事訴訟法上の用語で、「執行処分」に同じ。 → 執行処分

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

強制処分
きょうせいしょぶん

刑事訴訟手続を実行するために、必要とされる人および物を確保するための強制を伴う処分をいう。広義では、強制的要素を含むいっさいの処分をいう。したがって、証拠調べの性質をもつ検証、証人尋問、鑑定、通訳、翻訳も強制処分に含まれることになる。しかし、強制処分は、一般には、証拠調べの処分を除いた狭義の意味で用いられる。強制処分の主体としては、裁判所または裁判官が行う場合と捜査機関が行う場合とがある。裁判所または裁判官が行う場合としては、対人的強制処分として、召喚、勾引(こういん)、勾留がある(刑事訴訟法57条以下)。被告人に対し一定の日時に一定の場所に出頭することを命ずる出頭命令(同法68条)なども強制処分である。これに対して、対物的強制処分としては、押収、捜索、提出命令がある(同法99条)。捜査機関である司法警察職員、司法警察職員として職務を行うべき者、検察官、検察事務官が行う強制処分としても、対人的強制処分として、逮捕、起訴前の勾留があり(同法199条、207条など)、対物的強制処分として捜索、押収、検証などがある(同法218条など)。
 強制処分は、法律に特別の定めがある場合に限られる(同法197条1項但書)。これを強制処分法定主義とよんでいる。また、捜査機関が強制処分を行うには、原則として、裁判官の令状を得て、これを行わなければならない(憲法33条、35条)。これを令状主義とよんでいる。そこで、どのような行為が強制処分となるかが問題となるが、判例は、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別な根拠規定がなければ許容することが相当でない手段をいうとしている。学説では、個人の重要な利益を侵害する処分を強制処分と解する見解が有力である。なお、通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う処分(いわゆる通信傍受、盗聴)も強制処分とされている(刑事訴訟法222条の2)。[田口守一]

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