径山寺味噌(読み)キンザンジミソ

デジタル大辞泉 「径山寺味噌」の意味・読み・例文・類語

きんざんじ‐みそ【径山寺味×噌/金山寺味×噌】

った大豆大麦こうじをまぜて塩を加え、刻んだなすや瓜・しょうがなどを入れて熟成させたなめ味噌。和歌山県湯浅名物径山寺から製法が伝わったという。
[類語]味噌赤味噌白味噌嘗め味噌鉄火味噌トウバンジャンコチュジャンエックスオージャン

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精選版 日本国語大辞典 「径山寺味噌」の意味・読み・例文・類語

きんざんじ‐みそ【径山寺味噌・金山寺味噌】

  1. 〘 名詞 〙 なめみその一つ。炒(い)った大豆と、大麦の麹(こうじ)食塩を加えて仕込んだ桶に、茄子白瓜などを刻み入れ、密閉して熟成させたもの。中国浙江省の径山寺の製法を伝えたという。きんざんじ。
    1. [初出の実例]「経山寺未醤(キンザンジミソ)」(出典:和漢三才図会(1712)一〇五)

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改訂新版 世界大百科事典 「径山寺味噌」の意味・わかりやすい解説

径山寺味噌 (きんざんじみそ)

なめみそ一種。金山寺みそとも書く。〈金山寺みそは紀州若山金山寺の名物にて,江戸に流行出しは享保年中よりとなむ〉と《嬉遊笑覧》は書いているが,和歌山に金山寺という寺はなかったようである。もともと中国浙江省の径山寺でつくっていたみそが名高く,その製法を法灯国師覚心が伝えて1254年に帰朝,請われて紀州由良の興国寺開山となったため,その近傍の湯浅に伝わって同地の名産になったとされている。紀州家の徳川吉宗が将軍になってから献上させ,それから江戸に広まったというから,〈享保年中より……〉というのは妥当かもしれない。いったダイズをひき割り,これに麦こうじと塩を合わせ,塩圧(しおおし)したウリナスショウガなどを刻んでまぜて仕込み,さらにウイキョウ,サンショウ,シソなどを加え,密封して3ヵ月ほど熟成させる。風味のよい赤褐色のみそで,そのまま食べ,あるいは,あえものに用いる。
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日本の郷土料理がわかる辞典 「径山寺味噌」の解説

きんざんじみそ【径山寺味噌/金山寺味噌】


なめみその一種。いってひき割りにした大豆と大麦で作った麹(こうじ)に塩を加え、なす・うり・しょうが・しその実などを刻んで塩漬けにしたものを混ぜて熟成させたもの。麹に米を加えることもある。また、砂糖や水あめなどの甘みを加えて作るものもある。◇中国浙江(せっこう)省の径山寺から製法が伝わったとされ、9世紀に唐僧・湛誉(たんよ)がもたらしたとも、13世紀の臨済宗の僧、覚心が宋に渡り持ち帰ったともいわれる。和歌山・湯浅町などの名産品となっているが、これは覚心が帰国後に西方寺(後の興国寺。和歌山・由良町)を開山し、ここから製法が広まったものと伝わる。

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百科事典マイペディア 「径山寺味噌」の意味・わかりやすい解説

径山寺味噌【きんざんじみそ】

嘗(なめ)味噌の一種。〈金山寺味噌〉とも。中国の径山寺(径山)から伝来したという。炒(い)ったダイズのひき割に麦こうじと塩を合わせ,一夜漬けのナス,ウリなどを刻んで混ぜて十分仕込み,赤褐色のみそにし,甘みを加えそのまま食する。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「径山寺味噌」の意味・わかりやすい解説

径山寺味噌
きんざんじみそ

野菜類のこまぎれを漬込んだ嘗味噌の一種。中国の径山寺でつくられたものが,鎌倉時代に伝えられ,一般には紀州を中心に享保年間 (1716~36) から食されるようになった。

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