心太(読み)ココロブト

デジタル大辞泉 「心太」の意味・読み・例文・類語

こころ‐ぶと【心太】

[名]
テングサ別名
ダイコンの別名。
ところてん
盂蘭盆うらぼんの夜もすがら、―売ることしかり」〈七十一番職人歌合
[形動ナリ]心がしっかりして動じないさま。大胆であるさま。
大蔵もとより―なれば」〈読・春雨・樊噲上〉

ところ‐てん【心太/瓊脂】

海藻テングサを煮て寒天質をこし、型に流し込んで冷やし固めた食品ところてん突きで突き出してひも状にし、酢醤油二杯酢などをかけて食べる。夏の味覚とされる。 夏》

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精選版 日本国語大辞典 「心太」の意味・読み・例文・類語

こころ‐ぶと【心太】

〘名〙
植物てんぐさ(天草)」の異名。〔正倉院文書‐天平宝字四年(760)四月一五日・経所見物注文案〕
山家集(12C後)下「磯菜摘まん今おひ初むる若布海苔海松布ぎばさひじきこころぶと」
② 植物「だいこん(大根)」の異名。
③ 「ところてん(心太)」の異称。《季・夏》
※米沢本沙石集(1283)五末「心太(ココロフト)のやうなる物を生たりければ、あやしみて、鉢に入て門の榎のまたにさしあげてけり」
④ (形動) 心がしっかりしていて動じないさま。大胆な。
毛利家文書‐永祿元年(1558)八月日・毛利元就書状写「誠小者小中間まて心太に成候て、中中不趣候」

こころ‐ぶと・し【心太】

〘形ク〙 心がしっかりしていて動じない。大胆である。また、横着である。ふてぶてしい
※伊勢貞親教訓(1457‐60頃)「四時にわたり、風雅の面白き光陰を只に違る事心ふとくあさましき也」
こころぶと‐さ
〘名〙

こころ‐てい【心太】

〘名〙 ところてん。こころてん。
※七十一番職人歌合(1500頃か)七一番「うらぼんのなかばの秋の夜もすがら月にすますや我心てい〈略〉右は、うらぼんのよもすがら、心ぶとうることしかり。心ていきく心地す」

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改訂新版 世界大百科事典 「心太」の意味・わかりやすい解説

心太 (ところてん)

テングサ,イギスオゴノリなどを煮て寒天質を溶出させ,それを凝固させた食品。古くはテングサなどをさして〈こころぶと〉と呼び,心太と書いた。平安京の東西の市には〈心太〉があったが,この店のほかに〈海藻〉〈海菜〉もあったことからすると,この心太店はあるいはテングサ屋ではなくて,現在同様に加工されたところてんを売っていたのかもしれない。《七十一番職人歌合》には女のところてん売が登場し,ところてん突きで突き出している姿が描かれているが,彼女の詠んだ歌には〈こころぶと〉を〈こころてい〉とあり,この〈こころてい〉が変じて〈ところてん〉になったと,荻生徂徠はいっている。ところてんは,めん(麵)状に突き出したものに酢じょうゆ,からしじょうゆ,砂糖みつなどをかけて食べ,あるいはさいの目状に切ってみつ豆の材料とする。成分は99%までが水分で栄養分がないため,美容食としても利用される。なお,ところてんの一種に〈おきゅうと〉がある。昔は〈うけうと〉とも呼んだもので,エゴノリでつくる。博多地方で愛好されているものであるが,貝原益軒はどういう理由によるものか,〈佳品に非ず,食すべからず〉といっている。
寒天
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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「心太」の解説

ところてん【心太】

天草(てんぐさ)という海藻を煮溶かし、煮汁をこして型に流し入れ、冷やし固めた食品。ところてん突きで細く麺状に突き出し、からしや青のりを添えて酢じょうゆで食べるのが一般的。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「心太」の解説

心太 (ココロブト)

植物。アブラナ科の越年草,園芸植物,薬用植物。ダイコンの別称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の心太の言及

【寒天】より

…テングサなどの熱水抽出液の凝固物であるところてん(心太)を凍結乾燥した海藻加工品。ところてんはすでに奈良時代に食用にされていたが,江戸時代に至り,偶然戸外に捨てたところてんが寒気で凍り乾燥したことが契機となり製造されるようになったため,寒天と名付けられた。…

※「心太」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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