〘他ラ五(四)〙
① ばらばらのものを縄や紐(ひも)などで一つにたばねる。まとめて結ぶ。まとめる。
※
万葉(8C後)一三・三三三〇「玉こそば 緒の絶えぬれば 八十一里
(くくリ)つつ またも逢ふといへ」
※俳諧・猿蓑(1691)五「此夏もかなめをくくる破扇
(やれあふぎ)〈園風〉 醤油ねさせてしばし月見る〈
猿雖〉」
② 物のまわりを縄や紐などでしばる。締める。ゆわえる。
※古本説話集(1130頃か)五八「腰をくくられて」
※名語記(1275)五「皮にて、まろく、くくりなせる、まり」
③ 自由を束縛する。強制して物事をさせる。
※浮世草子・傾城色三味線(1701)湊「あけ暮渡世のいとなみにくくられて」
④ 物事に、ある区切りやまとまりをつける。まとめる。しめくくる。「かっこでくくる」
※改正増補和英語林集成(1886)「カンジョウヲ kukuru(ククル)」
⑤ 物事のありさまをあらかじめはかる。予想する。「高をくくる」
※浮世草子・傾城禁短気(1711)五「地の人ならねば跡を引かれてからが、高が知れてあると、中括りに括って」
⑥ 括染(くくりぞめ)にする。
※古今(905‐914)秋下・二九四「ちはやぶる神世もきかずたつた川から紅に水くくるとは〈在原業平〉」
⑦ (縊) (首をくくるの意から) 縊死(いし)する。
⑧ 双六(すごろく)で、敵の進出するのをはばむ意か。
※浄瑠璃・加賀国篠原合戦(1728)三「六さきくくった双六に、くぐれ松山一六を、振り出したる如くなり」
⑨ 絵の主要な部分などを、すこし濃い色で線を加えたり、隈取(くまど)りしたりする。