農民運動の指導者。政治家。大阪府出身。大阪府立農学校在学中に沖野岩三郎を知り,キリスト教徒となる。1909年東北学院神学部を卒業し,仙台で牧師となる。伝道の過程で農民解放運動の必要を痛感し,以後,農民運動に尽力する。20年大阪に転住し,賀川豊彦を訪れ,共に運動を行うようになる。22年1月雑誌《土地と自由》を創刊し,広く農民に呼びかけて4月日本農民組合(日農)を結成,組合長となる。26年労働農民党中央執行委員長,27年全日本農民組合(全日農)組合長,28年全国農民組合(全農)中央委員長となる。32年全国労農大衆党から衆議院議員に当選する。同年8月の救農議会に小作人保護法案を提出するも通過しなかった。42年翼賛選挙には翼賛政治会に推薦された。第2次大戦後,日本社会党の顧問となるが,47年公職追放となる。51年衆議院に復帰。日本社会党代議士会会長,農村議員団団長,衆議院副議長を歴任し,また,東北学院大学理事長,日本クリスチャン・アカデミー名誉理事長を務めた。著書に《小作争議の実際》(1926),《農村貧窮論》(1929)などがある。
執筆者:大門 正克
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農民運動家、政治家。大阪府生まれ。大阪府立農学校在学中クリスチャンとなり、東北学院神学部卒業後、東北地方のキリスト教農村伝道に従事し、同時に農民に農業技術や経営の指導を行う。1920年(大正9)大阪に帰り賀川豊彦(かがわとよひこ)と会い、生涯の同志となる。1922年賀川らと最初の全国的農民組合である日本農民組合を設立し組合長に就任、1926年労働農民党委員長となる。無産政党の分裂に際して同委員長を辞任し、中間派の日本労農党に属するが、1928年(昭和3)の農民組合合同によって全国農民組合委員長となり、また同組合解散後の1938年大日本農民組合委員長となる。
1932年全国労農大衆党から衆議院選挙に出馬して以来連続4期当選したが、1942年の翼賛選挙で推薦候補となったことにより、戦後公職追放となる。追放解除後の1951年(昭和26)社会党から衆議院議員に当選、1955年衆議院副議長に就任した。
[赤澤史朗]
『『土地と自由のために――杉山元治郎伝』(1965・杉山元治郎伝刊行会)』▽『杉山元治郎先生追悼録刊行会編『聖愛の種まく人』(1969・キリスト新聞社)』
大正・昭和期の農民運動指導者,政治家 日本農民組合創立者;全日農顧問;元・衆院議員・副議長。
出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「新訂 政治家人名事典 明治~昭和」(2003年刊)新訂 政治家人名事典 明治~昭和について 情報
1885.11.18~1964.10.11
大正・昭和期の農民運動家。大阪府出身。東北学院神学部別科卒。牧師になり,農村問題に開眼する。1921年(大正10)大阪で賀川豊彦と協議,翌年日本農民組合を結成,委員長となる。26年(昭和元)労働農民党初代委員長,以後の分裂・合同の歴史ではおおむね中道派に属す。32年以後,代議士当選連続4回。第2次大戦後再建日本農民組合顧問となり,一時公職追放されたが51年国会に復帰し,55年に衆議院副議長に選出された。
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…この年,全農は大衆行動をいっさい休止して挙国一致に協力する方針を打ち出し,戦争協力を表明した。そして翌38年2月には,全農から大日本農民組合(杉山元治郎,三宅正一ら)が分裂し,また稲村隆一,長尾有らが東方会支持の日本農民連盟を結成したため,全農はここに解体した。
[第2期]
第2次大戦後に結成された農民組合の全国組織。…
…大正期以後,3次にわたって日本農民組合と称する全国的農民組織が結成され,いずれも日農と略称する。(1)日本最初の全国的農民組合組織 1922年4月9日,賀川豊彦,杉山元治郎,山上武雄,古瀬伝蔵らを指導者として神戸で創立。杉山を組合長とし,機関紙《土地と自由》を発刊した。…
…
[戦前]
第1次大戦による日本資本主義の急激な膨張を背景に,地主・小作間の矛盾は各地で顕現し,小作争議件数は,1918年250件,20年408件と年々増勢した。この高揚のなかで,21年10月には賀川豊彦,杉山元治郎らが中心となって農民組合の全国組織を計画,翌22年4月9日,神戸で日本農民組合(組合長杉山)が創立された。日農が結成されると下部組織は西日本を中心に急速に広がり,岡山,大阪,兵庫,香川などでは日農の指導のもとに大規模で激しい農民運動が展開した。…
※「杉山元治郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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